2019年3月29日

花粉の時期でも快適にランニングを楽しみたい人必見の 花粉症予防・改善策

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まだまだ花粉の季節。花粉症は、ランナーにとって走るモチベーションに関わる症状ですね。年々、花粉症を発症する人が増えているようにも感じますが、東京都健康安全研究センターが都内3区市を対象とした花粉症にかかる人の割合を調査しています。結果、調査を開始した昭和58~62年の10%から、平成28年には48.8%に急増しています*¹。

なぜ、ここまで花粉症にかかる人が増えているのか? そして、そもそもなぜ花粉症になるのか? 花粉の飛散量の増加が大きな原因となっていますが、『食事の変化』も要因の一つとして考えられます。今回は食事と花粉症にどのような関係性があるのか、管理栄養士・佐原の視点でご紹介していきます。

食事→腸内細菌→花粉症 の関係性

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食事の変化が“花粉症”にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。カギとなるのは『腸内細菌』です。現在、腸内細菌は注目を集める研究分野の1つで、花粉症を始めとしたアレルギー疾患や肥満、糖尿病、動脈硬化、大腸がんなど様々な病気との関連が指摘されつつあります。

腸は食べ物などが通る『腸管側』と、囲むように覆う『膜』、その膜を通過して入り込む『体内・血液側』の3つに分類され、腸内細菌は腸の表面である腸管側に棲みついています。その腸内細菌の花粉症に関連した働きの1つが『免疫細胞のコントロール』

腸内細菌は体内・血液側にいる免疫細胞と“コミュニケーション” を取ることで、免疫機能の正常な働きを促しています。このコミュニケーションの不調和により免疫細胞のコントロールが制御不能になり、アレルギー反応が起こります。そのアレルギー反応の1つが花粉症です。

美味しい食事の“欠点”

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腸内細菌と免疫細胞とのコミュニケーションができなくなるのは、腸内細菌側に問題があります。俗にいう“腸内環境の悪化” により正常な機能を保っていた良い腸内細菌が衰えてしまい、健康に悪影響をもたらす悪い腸内細菌が増えていきます。

ドイツの研究では

食環境が豊かな西ドイツはそうではない東ドイツに比べて、アレルギーは2倍、その中でも花粉症は3倍もの差が生じていた*²。

と報告しています。豊かな食環境に変化してくると嗜好性(食べやすさ・美味しさ・見た目など)を求めるようになり、食品の精製度を高めた食品が増えることや、食事バランスの偏りが大きくなるようになります。そのため、身体の調子を整える栄養素が不足しがちなります。日本アレルギー協会が発行する情報誌の中でも、花粉症の予防・改善にはバランスの取れた食事が必要であると示しています*³。

食品の精製度の高まりにより米は玄米から白米へ、小麦は全粒粉から精白粉へ。また食事自体も炭水化物やタンパク質、脂質の割合が多い食事となり、食物繊維の摂取量も減っていきます。

腸内細菌は、小腸で消化しきれなかった栄養素、特に食物繊維などを食糧源としています。本来、ヒトは植物も動物も食べる“雑食動物” です。ヒトは腸内細菌を大腸に棲みつかせることで、賄いきれなかった消化能力や身体の恒常性機能を“委託” しています。腸内細菌が食べる餌となる食物繊維などをしっかりと供給してあげることで腸内細菌の正常な働きが促され、ヒトの体の機能も正常に整っていきます。

体に良い腸内細菌を育もう

では具体的にどのような食事が良いのか。ポイントは大きく分けて2つあります。

1.カラダに良い菌そのもの(プロバイオティクス)を取る

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体に良い菌であるプロバイオティクスを取ることは、主に花粉症の『予防』として効果が期待できます。

プロバイオティクスを選ぶ際のポイントとしては、

  • 菌の種類
  • 菌の量

菌の種類は製品により異なります。1つの製品を1~2週間継続的に摂取してみて、身体に変化があるかをチェックしてみましょう。自分の腸内環境と種類が合うと、お通じの調子が良くなったり、疲れやすさの軽減、肌の調子が良くなるなど、嬉しい変化があるときも。

種類と合わせて、取る量も大切です。腸内には100兆個の腸内細菌が棲んでいるとされていて、大群の中に少数精鋭で立ち向かってもなかなか歯が立ちません。そのためにも、1日当たり1億個~1兆個の量の菌を取ると菌が持つ効果を得やすくなるといわれています。代表的なプロバイオティクスを例に上げると、ヨーグルトの場合『100mL』、納豆の場合『1パック』で十分な量を取ることができますね。

2.食物繊維・プレバイオティクス・オリゴ糖を取る

食物繊維を始めとする栄養素の量を確保することは、元から棲みついている良い菌を生かすために最もシンプルで効果的。食物繊維の食事摂取基準は、18~69歳の男性で1日20g以上、女性18g以上。食物繊維を上手に取るコツは、『3つの食ルート』に分散させて取ることです。

1.野菜や海藻、きのこなどの副菜

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サラダとしてカボチャ・ブロッコリー・玉ねぎ・アボカド・ゴボウを。汁物としてわかめ、長ネギ、シメジや舞茸を。また食材を炒め物や煮物にしてバリエーションを増やしていくことで楽しく、健康的に摂取できますね。
特にカボチャは火の通り遅いため、すぐに調理することが難しい食材です。カボチャを一口サイズに切り、200~240℃のグリルで20~30分(カボチャの量に合わせて調整してみてください)で焼いておくことで、サラダの具材にも使うことができます。冷凍保存も効くので、作り置き食材としてもオススメですね。

2.ご飯などの主食

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“主食からとは意外! ”と思った方、実は、主食は1度に食べる量が多いため、含まれる割合が少なくても総体的には多くの量の食物繊維が摂ることができます。主食にはお米やパン、麺類などがありますが、その際に注目して頂きたいキーワードが“全粒穀物” 。全粒穀物とは精製せずに、穀物の外皮と一緒にそのまま食べるもの。この外皮には多くの食物繊維、ビタミン、ミネラルが含まれます。玄米や全粒小麦のパン、蕎麦などの主食としてチョイスすることで、より多くの食物繊維を摂取しましょう。

3.果物

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果物は、食物繊維や類似したオリゴ糖、抗酸化作用を示す機能性栄養素を多く含みます。先ほどのプロバイオティクスを含むヨーグルトと果物をセットで撮ると、相乗効果が得られるのでオススメ。無糖のヨーグルトに、冷凍されてあるブルーベリーやラズベリーをトッピングすると健康的にかつ美味しいデザートの出来上がり! 果物単品の場合は、キウイフルーツ・リンゴ・柿がオススメ。

上記を普段の食生活に組み込むことで、徐々に腸内環境が整ってきます。


普段積極的に摂取していると思っていても、意外に足りていないことが多いのが食物繊維。外食・中食では野菜や果物を取れる機会が少ないので、『食べた気分』になってしまことも。

花粉症の発症は、植林による花粉の飛散量増加や、大気汚染などの環境の変化、出産・保育・衛生環境の変化などが要因に大きく関係しているといわれますが、食事面を意識することで症状が緩和することもあると考えられています。

走るトレーニングだけでなく食事にも気を配り、健康的な身体へと磨きをかけ、より楽しいランニングライフを送りましょう!

*¹ 東京都健康安全研究センター  花粉症患者実態調査報告書
*² Von Mutius, Erika, et al. “Prevalence of asthma and atopy in two areas of West and East Germany.” American journal of respiratory and critical care medicine 149.2 (1994): 358-364.
*³ 大久保公裕監修(2015)『的確な花粉症の治療のために』, 公益財団法人日本アレルギー協会

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