「サーフシティー・マラソン」4日前に1人で走った42.195km
Feb 14, 2019 / COLUMN
Feb 14, 2019 Updated
カリフォルニアと言えば何を思い浮かべるだろうか。そう問われたとしたら、青い空、ビーチ、サーファー、パームツリー、というような言葉を挙げる人は多いのではないだろうか。
その意味では、ハンティングトン・ビーチは最もカリフォルニアのイメージに相応しい街だと言えるかもしれない。ロサンゼルス空港から南へ30分ほど車を走らせると、この海岸沿いの街に着く。広大な砂浜と大きな波を持つビーチ以外には、特に観光の目玉と言えるものはない街だが、全米サーフィン大会が例年開催されることで多少は世間から知られている。なにしろ、市の別名称として『サーフシティーUSA』が公式に商標登録されているぐらいだ。ここには海以外に何もないぞ、という市当局の開き直りすら感じられる。
毎年スーパーボウルが行われる日曜日の朝に、この街でサーフシティー・マラソンが開催される。今年は2月3日だ。ハーフとフルの部門があって、フルの参加者は2000人程度。ロサンゼルス・マラソンなどの大都市レースと比べると、はるかに小規模でのんびりしていて、コースもフラットで走りやすい。
ぼくは、このサーフシティー・マラソンを過去に6回走っている。家から20分ほどしか離れていないので便利だということもあるが、それだけではない。地元には他にもたくさんレースがあるけど、そんなに何回も走ったレースは他にはない。なぜそこまでこのレースが好きなのかと言うと、実はこのサーフシティーはぼくの故郷でもあるからなのだ。故郷と言っても中3から高校までの4年間を過ごしただけなのだが、ぼくがアメリカに来て初めて住んだ場所でもあり、色々な意味で忘れられない土地である。
だからこのレースではコースのどこを切り取っても懐かしい場所ばかりだ。一番近い所では、ぼくら家族が住んでいた家から1キロぐらいまで接近するし、ぼくが通っていた高校のすぐ近くも通る。コースの半分以上を占めるパシフィック・コースト・ハイウェイも、あの頃毎日のように車を走らせていた。
10代の頃は、将来ここでマラソンなどを走るなんて想像もしなかった。ぼくにとってサーフシティー・マラソンを走るということは、無垢で純粋で汚れを知らない美しい少年だったあの頃に戻るセンチメンタル・ジャーニーなのだ。何がおかしいんだい?