セドナに行くつもりがフラッグスタッフを走っていた話。アリゾナ州でのラントリップ
Jan 31, 2019 / COLUMN
Jan 31, 2019 Updated
まだ朝の8時ぐらいだった。引き返しても時間の問題はない。だけど、ぼくの中でその目的地にどうしても向かいたいという気持ちがなくなっていた。ここまでの景色は素晴らしかった。だけど同じ道を引き返して同じものを見るより、前に進んだ方がもっと良い景色が見れるのではないかと思ってしまったのだ。
旅をしていると、ぼくにはよくそういうことがある。そして大抵は上手く行かない。移動を続けているうちに、最初に見た場所から比べると感動の目盛りが少しづつ減っていくことが殆どだ。
ともあれ、さらに北上することにした。もっときれいなところはないか、もっとすごいところはないか、と思いつつ車を走らせているうちに、いつのまにかセドナを通り過ぎて、フラッグスタッフまで来ていた。ここまで来ると、世界遺産のグランドキャニオン国立公園までもうすぐだ。
フラッグスタッフの地名は高地トレーニングの名所として記憶にあった。北島康介さんら日本の水泳チームもここで合宿していたし、多くのランナーが強化トレーニングの拠点にしているらしい。海抜2,100メートルということだから、富士山の5~6合目ぐらいだ。
アスリートの適性にもよるけど、高地トレーニングは最低でも3週間ぐらい行わないと効果が出ないとされている。ぼくは以前、別の場所で1週間の高地トレーニングを経験したことがあるが、特に最初の3日間は呼吸が苦しくつらかった。
それでもいいや、話のタネにオリンピック選手がトレーニングするような場所ってどんなものか見てみようと思った。自分の力量をわきまえずにムチャをするのも、またぼくにはよくあることなのだ。そして、これも良い結果をもたらさないことの方が圧倒的に多い。だが、今回はそうではなかった。