島をぐるりと2周!大自然を駆け抜ける「伊豆大島ウルトラランニング」【大会レポート】
Apr 24, 2016 / EVENT
Apr 26, 2019 Updated
竹芝客船ターミナル(東京都港区)からジェットフェリーで2時間弱。伊豆諸島で最大の“伊豆大島”で、2016年3月27日(日)、「第12回 伊豆大島ウルトラランニング」が開催されました。
58km・100kmという2つの種目が用意された本大会は、それぞれ島を1周・2周するという大胆なコース。島内に設けられた一周道路を基本としながら、三原山山頂まで訪れます。今回私が出場したのは100kmの部。そのレースの模様、そして魅力をご紹介しましょう。
1周目:暗闇のスタート、そして三原山山頂へ…
スタートは朝5時。辺りはまだ暗闇です。58km・100kmは同時スタート。『元町港船客待合所』前には、早くから大勢のランナーが集結していました。
10kmも走らないうちから、少しずつ空が明るくなり始めました。すると目の前には海が広がり、早くも“島ラン”の醍醐味が味わえます。100kmの道中では、多くの豊かな自然と触れ合えることでしょう。
コースは基本的に“平地なし”と言っても過言ではないほど、アップダウンばかりが続きます。登って下って、また登って…ベテランランナーでも退屈しない、起伏に富んだコースです。100kmの部はこれを2周。後半にできるだけ疲れを残さないよう、走り方やペース配分が大切でしょう。
1周目最初の難所がこちらの激坂。永遠と登り続ける急勾配に、まだ30km手前の序盤ながら歩いてしまったランナーも多かったはず。坂道の途中に設けられたエイドが、天国のように感じられました。
前半は海を眺め、中盤以降は木々に囲まれた道を走る。いつの間にか周囲にランナーがいなくなって寂しい状況になりましたが、目に飛び込む景色が素晴らしく、飽きることはありません。
42km付近からは、いったん一周道路を外れて三原山山頂へ。下りのない上り坂は勾配10%にも及び、疲労の溜まり始めた身体にこたえます。しかし山頂に辿りつけば、疲れなど吹き飛ぶ景色が待っていました。
朝は曇っていた空はいつしか晴れ渡り、山頂では頭上に青空が広がりました。こういう景色を目にすると、「登ったなー!」という達成感があります。そう、本大会ではこの三原山山頂が最も高い場所。ここからは一気に下って『元町港船客待合所』へ向かいます。
下り坂の途中にあった50kmの距離表示。5km毎に配置されている看板ですが、それぞれ“熱い”メッセージが書かれているのが素敵ですね。ここから半分、特に初めてウルトラマラソンに挑戦している出場者にとっては、まさに“夢の実現”に向けた一歩を進んでいることでしょう。
そして58km、1周目が終了しました!
58kmの部はここでゴールですが、100kmの部はここから反対周りにあと1周。58kmの走者を迎えるゴールムードに後ろ髪を引かれつつ…残り42km、後半戦へと向かいます。
2周目:同じ島でも景色が違う!時計回りの42km
2周目は時計回りに走りますが、その前半部分は1周目と少し違います。三原山へは登らず、その代わりずっと『大島一周道路』を走るコース。トンネルを通ったり橋を渡ったり、まだ見ていない大島のスポットを堪能できました。
もちろん反対周りとはいえ同じ島ですから、コースはアップダウンの連続です。しかし緑に囲まれた道路はとても気持ちよく、爽やかな気持ちで走ることができました。すべて舗装路なので、走りやすいのも本大会の魅力ではないでしょうか。
必死になって登り続けた急坂、実は背後にこんな美しい海が広がっていたんですね。この時点ですでに1周目のコースを逆走していますが、同じ場所とは思えないほど異なる景色に胸が踊ります。
元町へ入れば、もうゴールは目前。体は間違いなく疲れていますが、「もうすぐゴールだ。」という意識だけでテンションが上がります。
そして再び戻ってきた『元町港船客待合所』。ラストに緩やかな下り坂を気持ちよく走れるのは、なかなか嬉しいコース設定ではないでしょうか。そしていよいよ…
100kmのウルトラマラソン、完走です!
完走者に贈られる完走メダルは、なんと同じ伊豆諸島に属する新島で造られた“新島ガラス”製。透き通ったメダルは重厚感もあり、まさに他では手に入らない逸品です。
制限時間は100kmが14時間、58kmが9時間です。最後はすっかり辺りも暗くなりましたが、懸命にゴールを目指すランナーを迎えようと、多くのスタッフや応援の方々がゴール地点に集まっていました。人々の温かさを感じる、とても素晴らしい大会です。
コース上で訪れる観光スポット3選
大自然を満喫できる「伊豆大島ウルトラランニング」ですが、コース上にはいくつか観光スポットも点在していました。ここでは、ぜひ見て頂きたい3つのスポットを厳選してご紹介しておきましょう。
1)筆島
約25km・85km地点で見られる筆島。筆のような形状をした岩礁です。
2)地層大切断面
約15km・94km地点にある地層大切断面は、約500mにもわたって続いています。その見た目はまるでバウムクーヘン。大島は火山島ですが、その噴火による降下火砕物が蓄積した地層のようです。
3)裏砂漠
三原山付近を通る道中には、何箇所かに“裏砂漠”への入口があります。火山灰によって出来た、正真正銘の砂漠。時間があれば、大会後に訪れてみるのも良いでしょう。
海の幸が美味しい大島は、観光地としてもオススメの場所。美味しい食べ物、そして素晴らしい景色を堪能する「伊豆大島ウルトラランニング」は、また走りたいと思わせてくれる大会でした。コースは厳しいですが、だからこそ、ゴール後の達成感も大きいでしょう。気になった方は、ぜひ参加してみてください。