トレーニング目的で訪れた国で「選手育成キャンプ」を設立することになった1人のアスリートの話
Dec 28, 2018 / COLUMN
Dec 28, 2018 Updated
今年の6月から9月まで、再度ケニアでトレーニングを行いながらRDC KENYAプロジェクトを進めていましたが、まず施設の建設は順調に進んでいます。時間があったらチェックに行っていましたので(笑)
メンバーに関しては、加入希望の選手達と直接話したり、一緒にトレーニングをして選定しました。基本的には貧困の問題で満足いく環境で競技を出来ていないケニア人ランナーのサポートをしたいので、僕の思いと、選手の思いや目標が合致した場合のみ、RDC KENYAに加入させるようにしています。
そこはあくまでビジョンと合致する選手を採用されるんですね。
ケニア人と日本人の競技に取り組む姿勢の違いはありますか?
一概に比較できるものではないですが、良くも悪くもケニア人は競技でお金を稼がなければ食べていくことが出来ない環境に身を置いているので、”強くなるために人生を懸けている”というハングリーさが強い印象はあります。
指導する上では、もともと彼らのトレーニングメソッドは画一的で、選手にとってはあまり良いものではないなと感じました。科学的なことは取り入れていないし、計画性もほとんどない。だからこそ、環境だけでなくトレーニング観点からもケニア人ランナーをサポートしたいと思っています。
彼らは能力は非常に高いですが、それを発揮するだけの準備や機会にめぐまれていない。ただ能力に頼りきっているように思います。しかし、マラソンとなると、僕もすごく苦労していますが、決して簡単ではありません。個々によって様々なアプローチ方法を考えたり、中長期的な育成計画を立てる必要があると思っています。
彼らと一緒に自分も強くなりたいし、彼らには世界で活躍してほしい
八木さんは現役選手でありながら RDC KENYAを設立されました。
八木さんにとって、彼らとどのような立場で接したいと思われていますか?
難しいですね。友達でもあり、ライバルでもあり、マネージャーでもあり、オーナーでもあり、コーチでもある。メンバーも困惑しているかもしれません(笑)
ただ、彼らには何でも思ったことは伝えるようにと言っています。僕は一番重要なのはコミュニケーションだと思っています。まだまだケニア人の考えを全て理解していないですし。そもそも僕の英語力でコミュニケーションを取れているかは不明ですが(笑)
いろんな立場から物事を見れるので、大変ですが、それが僕自身の成長に繋がっていると感じています。彼らと一緒に自分も強くなりたいし、彼らには世界で活躍してほしい。そんな思いです。
とても新しい選手のあり方だと思います。
ご自身の競技感に変化はありますか?
もっと自分自身のやりたい事や、やらなければならない事に向き合う必要があるなという考えが強くなりました。いい意味で、今まで日本でやってきて当たり前だった価値観や競技観というものが自分の中で変わってきたように思います。すごくシンプルだなと。