誰かが既に私の席に座っている……15時間の電車の旅【ノロミホの旅】

走ることに慣れてくると、「ここは好きな道」「ここはあまり好きじゃない道」と、勝手に決めつけてしまう。なんだか、ちょっとわがまま。

道は、旅人にとってどれも同じ道。
「今日も世界の道は平和だった」と、フォトグラファー・ノロミホさんが教えてくれる。

「誰かが既に私の席に座っている……15時間の電車の旅【ノロミホの旅】」の画像

【vol.3:ドキドキの寝台列車】

チェンナイで3日間ほど過ごし、トリヴァンドラムへ移動の日。
せっかくだから寝台列車に乗ってみようと張り切って乗車。
階級がいくつかあって、私たちは一番庶民的なスリーパークラスを選んだ。

値段は一人680ルピー(1,156円)
チケットは事前に購入済み。

電車は遅れることなくホームに着き、思っていたよりスムーズに乗車できた。
が、ほっとしたのもつかの間。ここはやはりインド。
私たちの席にはもう別の人が座っていたのだ。

席番号の書かれたチケットを見せると「いや、こっちも持ってるよ!」と。
でもよく見るとそのチケットには番号が見当たらず、明らかにおかしい、、、。
「大丈夫、寝るときには移動するから〜」と席を詰めて居座り続けた。

周りはインド人だらけ。
きっとこんなことは日常茶飯事なんだろう。
もうなるようになれ、と腹をくくり寝ることにした。

「誰かが既に私の席に座っている……15時間の電車の旅【ノロミホの旅】」の画像

しかし、朝起きると昨夜の出来事が夢だったかのよう。
とても穏やかな時間が流れていた。
風が気持ちよくて、海が見えてきて、途中で降りる人にバイバイしたりなんかして。

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電車と並行して続く道を眺めながら思った。
道はたくさんあるんだ。
怖かったけど勇気を出して乗ってよかった。

いくつもの町を通り抜け、
“次はここに来たいな” “あの道を歩いてみたいな”と、もう次の旅のことを思っていた。

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目的地のトリバンドラムにはお昼前に到着。
15時間の電車の旅。
この旅で一番スリリングなインドらしい体験だった。

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