誰かが既に私の席に座っている……15時間の電車の旅【ノロミホの旅】
Mar 30, 2018 / COLUMN
Mar 30, 2018 Updated
走ることに慣れてくると、「ここは好きな道」「ここはあまり好きじゃない道」と、勝手に決めつけてしまう。なんだか、ちょっとわがまま。
道は、旅人にとってどれも同じ道。
「今日も世界の道は平和だった」と、フォトグラファー・ノロミホさんが教えてくれる。
【vol.3:ドキドキの寝台列車】
チェンナイで3日間ほど過ごし、トリヴァンドラムへ移動の日。
せっかくだから寝台列車に乗ってみようと張り切って乗車。
階級がいくつかあって、私たちは一番庶民的なスリーパークラスを選んだ。
値段は一人680ルピー(1,156円)
チケットは事前に購入済み。
電車は遅れることなくホームに着き、思っていたよりスムーズに乗車できた。
が、ほっとしたのもつかの間。ここはやはりインド。
私たちの席にはもう別の人が座っていたのだ。
席番号の書かれたチケットを見せると「いや、こっちも持ってるよ!」と。
でもよく見るとそのチケットには番号が見当たらず、明らかにおかしい、、、。
「大丈夫、寝るときには移動するから〜」と席を詰めて居座り続けた。
周りはインド人だらけ。
きっとこんなことは日常茶飯事なんだろう。
もうなるようになれ、と腹をくくり寝ることにした。
しかし、朝起きると昨夜の出来事が夢だったかのよう。
とても穏やかな時間が流れていた。
風が気持ちよくて、海が見えてきて、途中で降りる人にバイバイしたりなんかして。
電車と並行して続く道を眺めながら思った。
道はたくさんあるんだ。
怖かったけど勇気を出して乗ってよかった。
いくつもの町を通り抜け、
“次はここに来たいな” “あの道を歩いてみたいな”と、もう次の旅のことを思っていた。
目的地のトリバンドラムにはお昼前に到着。
15時間の電車の旅。
この旅で一番スリリングなインドらしい体験だった。