2018年4月20日

広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】

走ることに慣れてくると、「ここは好きな道」「ここはあまり好きじゃない道」と、勝手に決めつけてしまう。なんだか、ちょっとわがまま。

道は、旅人にとってどれも同じ道。
「今日も世界の道は平和だった」と、フォトグラファー・ノロミホさんが教えてくれる。

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

【vol.6 静かな島の小さなチャイ屋】

大きな大きな木の下に、すっぽり収まるようにして建つピンクの小屋。
周りにはチャイを片手におしゃべりするおじさんたち。
椅子に腰掛けたり、木陰で涼んだりと自由気ままな様子。
小屋の中では、無口そうな店主が手際よくチャイを作っている。

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

午前8時。
まだ少し眠たげな人たちが自転車で通っていく。
目の前の道はとても広く、車はほとんど走っていない。

ここはウィリンドンアイランド。
ケララ州コーチの小さな島。
インドらしい生活感はなく、人も活気も少なく感じる。
車よりトラックが多く、民家よりも工場や会社が多い。
大きな貨物船が行き交う港があり、貿易が盛んな島らしい。
ここは住む島というよりは働く島なのかもしれない。

始業時間にはまだ早いのか、みんなのんびりとした時間を過ごしている。
これから始まる一日のため、思い思いに心を落ち着かせているよう。

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

朝の光が眩しく照らし、
大きな木が見守るように揺れている。
お店から漂う甘い香りと熱々の湯気。
グラスの触れる音が響き、言葉少ないおじさん達の話し声がする。
大げさに言うと、そこはまるで映画のワンシーンのようだった。

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

チャイを一杯いただくことに。
温かくて優しい味が目覚めたばかりの体に染みわたる。
朝のチャイは気づけば日課のようになっていた。
自分の体が少しずつインドに染まっているようで、ちょっと嬉しい。

そう言えば、どこのチャイ屋でもお客はいつも男の人ばかり。
ここも例外なくおじさんばかり。
甘いチャイをおいしそうに飲むおじさんたち。
なんだか可愛い。

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

「広い道に現れた一軒のチャイ屋は「おじさんの楽園」【ノロミホの旅】」の画像

朝の雰囲気も素敵だけど、
お昼になったらどんな人たちがやってくるんだろう。
わいわいと賑やかな時間もあるのかな。
夜はお酒も飲める場だったらいいのに。
無口な店主はバーのマスターみたいだし、きっと美味しいお酒を出してくれるはず。

そんな妄想をしながらお店を後にした。

オアシスのような一軒のチャイ屋。

広い道に現れた、思いがけないお店。次に訪れる時にもありますように。

関連記事

ノロミホが執筆した記事