衣類通り・おもちゃ通り・食品通り……迷路のようなインドの道【ノロミホの旅】
May 06, 2018 / COLUMN
May 06, 2018 Updated
走ることに慣れてくると、「ここは好きな道」「ここはあまり好きじゃない道」と、勝手に決めつけてしまう。なんだか、ちょっとわがまま。
道は、旅人にとってどれも同じ道。
「今日も世界の道は平和だった」と、フォトグラファー・ノロミホさんが教えてくれる。
【vol.8 ローカルマーケットを歩く】
インドの旅を振り返ると、買い物ばかりしていた気がする。
地元の人が通うような小さな商店、観光客向けの大きなショッピングモール。
アットホームなマーケットも多く、見つけると立ち寄らずにはいられなかった。
特に楽しかったのは商店街のようなローカルマーケット。
八百屋や薬局、文房具などの生活必需品がずらりと並ぶ。
大通りだけでも見所が多く、お腹いっぱいになりそう。
だが、そこから枝分かれするように細い路地が無数に延びる。
衣類通り、おもちゃ通り、食品通り。
ガタガタな道に、迷路のように入り組んだ道。
ちょっと危険で、とても魅力的な路地が歩くたびに現れる。
ローカルなマーケットには“ザ・お土産”みたいなものはない。
その代わりにノートやハンカチ、食器にキッチン用品など、
インドの人たちが日常的に使うであろうものが溢れている。
それがいちいち可愛くて、立ち止まっては悩み、なかなか先に進まない。
そして進まない理由はもうひとつ。
いろんな人に出会うということ。
煎りたてのナッツを売る人、自転車でチャイを売る人。
次から次へと試食させてくれる人。
あれやこれやと色んなものを勧めてくる人。
買い物に人間ウォッチングにとなかなか忙しい道中になる。
お店の人との値段交渉も楽しみのひとつ。
やりとりをしているうちに仲良くなることもしばしば。
あるスパイス屋には2日連続で行き、すっかり友達気分になっていた。
みんなフレンドリーでいい感じの適当さ。
物にも人にも出会えた道。
こんなマーケットがあれば永遠に歩いていられる気がする。
気がつけば、辺りは暗くなっていた。