54歳でサブ2時間40分!現役最強市民ランナー・藤原岳久さんが実践するトレーニングとは?

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フルマラソンの自己ベストは2時間34分、54歳で2時間38分台という驚異的な記録を持つシューズアドバイザー・藤原岳久さん。なぜ藤原さんは年齢を重ねるなかでも競技力・コンディションを保てるのかーー。今回は藤原さんが実践するトレーニング理論、年齢を重ねても記録を伸ばし続ける秘訣に迫ります。

「月間走行距離」より「週間走行距離」を重視

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(左から)ラントリップ・大森、シューズアドバイザー・藤原岳久さん

多くのランナーが気にする月間走行距離について、藤原さんは独自の考え方を持っています。「20代の頃は月間860km走ったこともありますが、今は週間走行距離を重視しています」と藤原さん。

その理由は再現性と故障リスクにあります。「月間走行距離は最後の週に帳尻合わせをしがち。でも週単位で管理すれば、トレーニングにおける過負荷の原則(負荷を与えることでトレーニング効果を期待できるという考え方)と漸進性の法則(負荷を少しずつ高めていくという考え方)をバランスよく守れます」と説明。

現在は週80kmをベースに、大会に向けて80~85km、90~95km、そして100kmと段階的に増やしていく方法を実践しているとのこと。またレース直前は週間走行距離を減らし身体の調子を調整。とくにレース直前は走りたい衝動を抑え、レース当日に調子のピークを迎えられるよう走行距離で判断していると話します。

ポイント練習は週2〜3回、重視しているのはリカバリー

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藤原さんの基本的なトレーニングは週2回のポイント練習(強度の高いトレーニング)。現在は新たな取り組みとして週3回に増やしているものの「代わりにリカバリーを徹底しています。20km以上走った翌日は30分しか走らない、しかも路面は柔らかな土の上」とコメント。

また多くのランナーが早朝に走ること・朝夕の二部練習を意識するなか「毎日、朝に走らなければいけないという固定観念をなくして、夕方だけ走れば半日以上のリカバリー時間が確保できる」という時間単位での考え方も興味深い点。50代のランナーにとって、トレーニングとリカバリーのバランスが重要だと強調します。

藤原さんが実践する『閾値トレーニング』とは?

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トレーニングとリカバリーのバランスを意識するなか、トレーニング時に身藤原さんが取り入れているのが『閾値(いきち)トレーニング』。藤原さんは「有酸素運動と無酸素運動の境界で、乳酸をエネルギーとして使える効率的な状態」と説明します。

具体的には、多くのランナーの10kmやハーフマラソンのペースに相当し、全力で1時間続けられるペースを維持すること。藤原さんの場合、マラソンペースが3分40秒/kmなので、閾値ペースは3分30秒/km程度。「このペースで30分間、7〜8kmを走ることを基本にしています」とのこと。

長い距離を走るトレーニングは体への負担が大きいため月1回程度にとどめ、閾値ペースでの走り込みを中心に据えることで、効率的にマラソン向けの体を作っているそうです。

そんな藤原さんが最近、取り組んでいるのが1日2回閾値トレーニングを行う「ダブル閾値」。ノルウェー式トレーニングとして世界的に注目されている手法です。

ただ藤原さんは年齢などを考慮してアレンジ。自身を追い込みたい日には、午前中は3分40秒/km程度のやや緩めのペースで、午後は閾値ペースといった、無理なくトレーニング量を確保。現に「調子が上がっていることを実感している」と話します。

ニューヨークシティマラソン6位入賞が目標

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藤原さんが次なる挑戦として定めたレースは、11月に開催されるニューヨークシティマラソン。世界マスターズ選手権を兼ねた大会で、M50-54カテゴリーでの6位入賞を目指しています。

ただ「6位入賞の実現・パーソナルベスト(自己記録)は出ないかもしれませんが、トレーニングのプロセスを大切にしています」と藤原さん。その挑戦に注目が集まります。

また藤原さんは世界7大マラソン制覇も視野に入れており「ランニングを生業にする者として、世界のランニングカルチャーを一通り体験したい」と語ります。

シューズアドバイザーとして、フルマラソンのトップアスリートとして、そしてランニング全体の文化を知るランナーとして……。ランニングを多角的に見つめる藤原さんは現在、ニューヨークシティマラソン出走のためのクラウドファンディングを実施中。あなたの支援が藤原さんの1歩を後押しします。

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【プロフィール】

藤原岳久さん

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FS☆RUNNING(旧藤原商会)代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 / JAFTスポーツシューフィッター
元メーカー直営店店長,販売歴20年以上

・ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)

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