ランニング業界に新しい風を 横田真人氏・神野大地氏が株式会社ラントリップの株主として目指す未来とは

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(左から)岡田氏、神野氏、横田氏、大森

男子800m競走の元日本記録保持者である「TWOLAPS」代表・横田真人氏、箱根駅伝で「山の神」として活躍した「MABP マーヴェリック」監督・神野大地氏が株式会社ラントリップ(以下、ラントリップ)の株主となった。

ラントリップ代表・大森とともに、ランニングを通じて活動する3人がそれぞれが目指すゴールとはどんなものなのかーー。今回はスポーツMC・岡田拓海氏の司会のもと「ランニング界の未来」について語り合った内容をお届けする。

陸上競技の価値を社会に還元する「TWOLAPS」横田真人氏

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横田氏が代表を務める「TWOLAPS」はトップアスリートの育成から大会運営、企業のマーケティング支援、キッズスクール運営まで多岐にわたる事業を展開している。新谷仁美選手らトップ選手が所属するクラブチームを運営しているほか、世田谷区を拠点としたキッズスクールではこれまで約300人の子どもたちへ指導してきた。

横田氏が事業を始めた背景には、現役時代の苦い経験がある。800mで日本記録を樹立し、44年ぶりにオリンピックにも出場したが、期待していたような注目は集まらなかった。「(競技シーンで)活躍するだけでは不十分で、(陸上競技の)価値を自分たちできちんと伝えていかないといけないと気づいた」と当時を振り返る。

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横田氏は持続的に陸上の価値を伝えていくために事業化が必要だと判断。「陸上競技の価値を社会に還元していく。世界で唯一無二の陸上競技で稼いでいく会社を作る」という理念のもと、活動を続けている。

特に中距離という種目に着目しているのは、競技の特性が市民ランナーによるランニングとアスリートによる陸上競技を繋ぐ緩衝水域になると考えているからだ。「800m、1500m、5000m。このあたりの領域が市民ランナーと陸上選手を繋ぐところになる」と横田氏は語る。また「(中距離種目とともに)横田真人もランニングと陸上競技をつなげる存在になりたい」と決意を語った。

市民ランナーと実業団の架け橋「MABP マーヴェリック」神野大地氏

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神野氏は現在、大きく2つの活動を展開している。ひとつは市民ランナー向けのクラブチーム「RETO RUNNING CLUB」の運営だ。現役のプロランナーとして走り続けていた際に、多くの市民ランナーと交流するなかで生まれた本チーム。「ランニングで人生を豊かにする」という理念のもと運営し、4年目を迎えた現在の会員数は100人超となり、新規募集では定員を超過するほどの人気となっている。実はスポーツMC・岡田さんも「RETO RUNNING CLUB」の会員のひとりだ。

神野氏がクラブを立ち上げたきっかけは、市民ランナーとの交流の中で感じた課題感。「みんな目標に向かって忙しい中トレーニングしているのに、なかなか結果が出ないという悩みがある。(当時)現役のプロとしてやっているうちに、自分がクラブをつくることに意味があると考えた」と語る。

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もうひとつの活動が実業団チーム「MABP マーヴェリック」の監督兼選手としての挑戦だ。きっかけは株式会社M&Aベストパートナーズの副社長から届いたSNSのダイレクトメッセージ。「陸上界で何かお取り組みしたい」という申し出から、わずか数ヶ月でチーム設立に至った。

「MABP マーヴェリック」の特徴は、SNSをフル活用した情報発信だ。「選手たちの取り組みや思いといった物語的なところは、ファンからは見えづらい。ファンがどう応援したらいいか明確になるくらい、チームの情報発信を全力でやろう」という方針のもと、良いときだけでなく悪いときも含めて発信し、ファンに愛されるチームづくりを目指している。

現に本格始動1年目から「ニューイヤー駅伝」への出場を決めるなど、着実に成果も出始めている。さらにランニングイベントやランニング教室の開催を通じて、エリート選手と市民ランナー、子どもたちとの交流も積極的に図っているのだ。

2つのチーム運営のほか、さまざまな領域で活動する神野氏の思いはどんなところにあるのか。口にしたのは「陸上競技って日本ではまだ稼げるスポーツではない。選手たちが報われる仕組みがないと『陸上をやりたい』子どもたちが増えることはなく、少子化の時代では業界のレベルも下がってしまう」という危機感だという。

なぜ横田氏・神野氏はラントリップの株主に?3者が見据える共通のゴール

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大森氏は今回の資金調達で意図的に10%程度を小分けにし、ステークホルダーとして一緒に活動したい人たちに声をかけたという。横田氏と神野氏に声をかけた理由について「それぞれが違う登り方で同じ頂上を目指している気がした。一緒に活動できたら、もっと自由に楽しく走る世界へという目標が加速するのではないか」と説明する。

ラントリップは創業当初から「タイムだけではない、走る喜び」を強く発信してきた。しかし10年以上活動を続けるなかで「楽しい」と「自己成長」が相反するものとして捉えられがちになっていたという。大森氏は「楽しさと自己成長は相反するものではない。ランニングの楽しさやコミュニティといった横の広がりだけでなく、自己成長を軸にした縦のベクトルも表現していきたい」と語る。

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「仲間とランニングを楽しむこと、昨日の自分に打ち勝っていくこと、どちらもランニングの醍醐味。そういう楽しさも含めて、走ることを止めない世界を作りたい」(大森)

自己ベストを目指す時期もあれば、ランニングを純粋に楽しみたい時期もある。どのモチベーションでも走ることを止めなくて済む世界を目指しているのだ。トラック種目と駅伝という異なる領域で活動してきた2人のアスリートが株主となることで、ラントリップが目指す「より自由に楽しく走る世界」の幅を広げることができると大森は考えている。

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横田氏はラントリップの株主になることに二つ返事で応じた。「陸上競技やランニングを事業化している人はそれほど多くない。チームをつくって何かやることがランニング・陸上競技業界にとって大切」と、株主という立場での協業に意義を見出している。神野氏も「自分たちを知ってくれている人と、また違った層の人たちと一緒に何かやることで、自分たちの活動も加速し、広がっていく」と期待を寄せる。

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陸上競技(アスリート)とランニング(市民ランナー)の間にある壁を取り払いたいという思いが共通している3者のつながりは、あえて具体的な計画を決めずにスタートした。

今後の展開として考えられる可能性としては、ラントリップが持つ膨大なランニングデータを活用したコーチングサービスや、横田氏・神野氏のメソッドを取り入れたトレーニングプログラム、メディア運営など多岐にわたる。

また、それぞれが同じことをやろうとする場面でリソースを共有したり、役割分担をしたりすることで、業界全体にとって最適な選択ができるようになるという利点もあるだろう。

横田氏・神野氏が株主を務めるラントリップが歩む、はたまた走る道のりは未だ道半ば。しかし「もっと自由に、楽しく走る世界へ」という思いはたしかに広がり続けている。

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