フルマラソン完走のカギは『運動強度』!? マラソン完走に向けたポイントをプロランニングコーチが解説

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(左から)スポーツMC・ヤッホーカレンさん、プロランニングコーチ・黒川遼さん

各地で多くのマラソン大会が開催される秋・冬。「今年こそフルマラソンを完走したい」——。そんなランナーに向けてラントリップではフルマラソン完走に向けたコツをお届けする企画がスタート。

第1弾のテーマは「完走したいランナー必見!マラソン完走に向けたポイント」。スポーツMC・ヤッホーカレンさんとともに、プロランニングコーチの黒川遼さんによるマラソン完走に向けたトレーニングについて解説します。

トレーニングの観点『運動強度』とは?

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フルマラソン完走を目指すうえで意識したい観点が「運動強度」のコントロールです。強度は大きく分けて「低強度・中強度・高強度」の3つ。とくにフルマラソン完走を目標にしている方に最も意識してほしいのは「低強度」のコントロールであると黒川さんは話します。

低強度の目安として「お喋りしながら走れるペース」が指標であり、フルマラソン完走を目指す人にとって効果的な強度であると黒川さん。また少し息が上がってきて「軽くゼーハーするけど、ぎりぎり会話できる」くらいが中強度、「喋るのは苦しい」と感じるペースが高強度の指標であると話します。

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黒川さんによると、多くのエリートランナーはトレーニングの大部分を「低強度」のペースで走っているとのこと。トレーニング全体の70%以上を低強度のペースで行い、無理なく走り込むことで、体に必要な持久力を効率的に養っているのです。

代表的なトレーニング戦略は、“量の土台”を低強度でしっかり築き、そこに中〜高強度の刺激をバランス良く加える方法が一般的です。高強度は少量でも大きな効果をもたらすため、全体量を抑えながら質を重視して取り入れますが、完走の場合は無理に取り入れる必要はありません。

ただトレーニング内容を意識しすぎてしまうとランニングが苦しくなってしまうことも……。走る際の強度にこだわりすぎないことを意識することも大切であると黒川さんは補足します。

ゆっくり走るのが苦手な人・忙しい人には中強度・高強度トレーニングも

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「今日はゆっくり走ろう」と思っても、つい目標タイムを意識してペースが上がってしまう。また仕事や家庭など、忙しさによってはゆっくりと走る時間を確保できないランナーも少なくないでしょう。

ゆっくり走ることや長く走ることが苦手な方・忙しい方には、中強度以上のトレーニングを行うこともおすすめと黒川さん。現に低強度+高強度を組み合わせたグループと、中強度中心のグループでは、持久力や体脂肪率の改善に大きな差はあまりなかったという研究結果もあるといいます。

中強度のトレーニングとして、30分〜1時間ほど一定のペースで走る『ペース走』、徐々にペースを上げていく『ビルドアップ走』がおすすめ。また高強度のトレーニング『インターバル走』や『レペティション』の活用も有効であると黒川さんは話します。

インターバル走は、強度の高い運動と休憩を交互に取り入れるトレーニング法。たとえば200mを速く走ったあと、100mをゆっくり走りながら呼吸を整えるといった運動を何本か繰り返して行います。

一方のレペティションは、全力に近いペースで疾走したあと、走った時間の2倍ほどの休憩をはさむトレーニング方法。休憩時には歩いたり座ったり、水を飲んだりして身体を完全に回復させることがポイントです。

ただトレーニング強度を急激に高めることには注意が必要。学生時代に運動部で活躍していた方も、久しぶりに身体を動かす際には低強度のトレーニングから行うことが推奨されます。

「低強度」を意識した具体的なトレーニングメニュー

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低強度トレーニングのメリットは「負荷が少ない分、走行距離を積み重ねやすいこと」。けがのリスクを抑えつつ、確実に体力を向上させることができます。

走行時間の目安は「走れるだけ走ればOK」。ただし、やりすぎは禁物です。回復が追いつかないほど走るとけがのリスクが高まるため、時間に余裕のある週末などに、90分〜2時間、長くても2時間半程度を目安にすると良いでしょう。黒川さんは一例として、週3~4回走ることができる方は平日に5~10km、休日にできるだけ長く走るといったルーティンを推奨しています。

そのなかで余裕を感じたとき、トレーニング強度を高めたいときには「がんばりすぎない範囲で刺激を入れる」ことがポイント。アップダウンのある坂道で走ることや、30分ゆっくりと走って5分に1回ダッシュを行うといったスピードに変化をつけることにより、心肺機能への負荷を高めることができます。

苦しさ・つらさは「“今までできなかったチャレンジ”をしている証」

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ゆっくり走るのが苦手な方や忙しい方、もしくは速く走るのが苦手な方。さまざまなタイプのランナーでも、それぞれのやり方で成果を出すことができると黒川さん。大切なのは、自分に合ったスタイルを見つけて続けていくこと。

「フルマラソン完走を目指すランナーは、足が痛くなったり、練習がつらく感じることもあると思います。でも、それは“今までできなかったチャレンジ”をしている証。前向きにとらえて、自分を誇りに思ってほしいです。」(黒川さん)

自分のペースやスケジュールに合わせて、トレーニングを無理なく調整することが、フルマラソン完走への近道になります。

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