増田明美さんに聞く! フルマラソン初心者ランナーにおすすめのリカバリーと食事法

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10月から3月にかけては、多くの主要大会が開催されるマラソンシーズン。街や公園では、レース本番に向けて走り込むランナーの姿も多く見られます。その中には、フルマラソンに初挑戦する初心者ランナーもいれば、すでに複数大会での出場歴があるベテランランナーもいるでしょう。フルマラソンの完走や記録更新のためには日々のトレーニングはもちろん欠かせませんが、トレーニング前後のリカバリーによるケアや食事などによる身体づくりも重要なポイントです。

では、レース本番でパフォーマンスを発揮するためには、一体どのようなリカバリーや食事を意識すればいいのでしょうか。 “細かすぎる解説”でおなじみの増田明美さんに、マラソンに挑戦する初心者ランナーに実践してもらいたいリカバリーや食事法をインタビュー。10年ぶりにフルマラソンを完走した増田さんだからこそ聞ける話を伺いました。

(文:久下真以子/ 写真:落合直哉)

リカバリーのポイントは「筋肉の声を聞く」こと

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写真:落合直哉

―――マラソンに挑戦するうえでは、毎日の走り込み練習に加えて、日々蓄積する疲労とも向き合わなければならないですよね。

増田さん(以下、増田):練習は、疲れたまま続けるのではなく、休息を挟みながら行うほうが、より高い効果を得られます。たとえば、2~3日走って1日休むというサイクルで練習を行うと、記録が出やすくなると言われています。無理して練習を続けると、けがにもつながりますからね。

―――とくにレース本番は身体の調子がいい状態で臨みたいですね。

増田:最後の1週間から10日は、トップランナーもトレーニングの強度を低くします。とはいえ、ジョギングばかりだと筋肉が緩んでしまうので、1000m3本や3000m1本といったスピードを重視した強度の高い練習は取り入れますが、レース直前の練習で無理をすることはおすすめできません。

―――トレーニング前後のおすすめのリカバリー方法を教えてください。

増田:やはりストレッチですね。走った後は、筋肉の中に疲労物質の「乳酸」がたまります。なので、息を吐きながらゆっくりと筋肉を伸ばし、乳酸を抜いていくイメージでストレッチしてください。入浴後など身体がほぐれて柔らかくなっているときに行うと、翌日のコンディションが全然違いますよ。

―――伸ばすのは下半身だけでいいのでしょうか。

増田:“筋肉の声”を聞きながら全身を伸ばしましょう。ランニングは、ももの裏やふくらはぎなど、脚の筋肉はもちろん、上半身の筋肉も使っています。とくに肩甲骨周りは重要です。腕の振りは足の運びにも連動していますし、肩甲骨が柔らかくなると空気を吸いやすくなるので、リカバリーの際は上半身のケアも意識しましょう。自分へのご褒美でときどきマッサージのお店に行くのもおすすめですよ。私は月に1回、タイ古式マッサージを受けています。

―――上半身のケアの意識があまりないランナーの方も多いかと思います。

増田:日本人は頑張りすぎる人が多いので、しっかり身体をほぐすことを意識してほしいです。身体に痛みがある場合は、湿布を貼ることをおすすめします。値段が高めでも少し奮発して、いい湿布を貼ると格段にコンディションが良くなります。また、疲れを取るには十分な睡眠が欠かせません。とくにレース前日は、緊張して眠れなくなる人もいるでしょう。当日も“いつも通りの自分”で臨むためには、好みの音楽を聴いたり、ゆっくりお風呂につかったり、アロマを炊いたりと、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切ですね。

たんぱく質やビタミン摂取でパフォーマンスを維持。レース中は糖分補給も

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―――身体の調子を整えるためには、トレーニング前後のリカバリーだけでなく食事も重要かと思います。

増田:もちろん、食事も大切です! とくに練習の頻度や強度を維持するためには、たんぱく質は欠かせない栄養素ですね。筋肉や骨・血液はたんぱく質から作られているので、たんぱく質を多く含む肉や魚、豆類などを摂りましょう。プロテインドリンクを取り入れるのもいい方法だと思います。また、「疲労回復ビタミン」とも呼ばれるビタミンB1を摂るのも大切です。ビタミンB1は、豚肉や大豆、ほうれん草、ブロッコリーなどに多く含まれていますよ。

―――ランナーの皆さんにおすすめの勝負飯はありますか。

増田:レース前夜にうなぎを食べる方が、トップランナーにもたくさんいますね。土用の丑の日に、夏バテ予防としてうなぎを食べる習慣がありますが、これは理にかなっています。たんぱく質はもちろん、魚介類の中ではビタミンB1がトップクラスと言っていいほど豊富に含まれているからです。ビタミンAやビタミンDなど他の栄養素もたっぷりですし、うな重やひつまぶしにすればご飯をいっぱい食べられます。炭水化物は即効性のエネルギー源になるので、レース前日にはおすすめのメニューです。

―――身体を作る栄養や回復させる栄養と、食事の内容もさまざまですね。

増田:はい、とくに女性は鉄分の多い食事を意識すると良いですね。というのも、鉄分は汗とともに流れてしまいます。それだけでなく、着地の度に足底にかかる衝撃で血管内の赤血球が破壊され、鉄分を失う原因にもなります。鉄分が不足すると貧血になってしまうので、普段からレバーなど鉄分が豊富な食材の摂取がおすすめです。ただ、私はレバーが苦手だったので、牡蠣やほうれん草を食べていました。

―――レース中のスペシャルドリンクのおすすめを教えてください。

増田:2024年10月に『水戸黄門漫遊マラソン』に出場しました。私にとって10年ぶりのフルマラソンでしたが、そのときにコーラを飲んで、元気になりましたよ。レース当日は暑くて、走っている最中は喉が渇いているのに、疲れて水分補給をする気がなくなってしまったのです。ところが、レース中にいただいた冷たいコーラを飲んだおかげで、最後はペースを上げて完走することができました。ブドウ糖がたっぷり入っているのが良かったのだと思います。

―――増田さんの現役時代はどんなドリンクを飲んでいたのでしょうか?

増田:現役時代は、紅茶に蜂蜜を入れて飲んでいました。選手として出場した北海道マラソンでは、5kmごとの給水に大好きなアールグレイ(紅茶)に蜂蜜を入れて準備していました。水分だけでなく、エネルギー補給の目的があったので、10km地点、15km地点と距離を重ねるごとに蜂蜜の量を増やしました。ただ、その日は調子が悪くて、レース中の楽しみがアールグレイだけでしたね。給水所に到着するたび、立ち止まるように紅茶を全部飲んでいたので、ゴール後の体重がスタート前より増えるという前代未聞の記録を作ってしまいました(笑)。

レース本番までに心も身体もリフレッシュ

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―――トレーニングに励んでいるランナーの皆さんにメッセージをお願いします。

マラソンは走ることで経験できる旅です。旅を楽しむためには、心身ともにいい状態で大会本番を迎えられるといいですね。旅の準備は楽しいものですが、走り込むだけでなく、身体のケアや栄養面もしっかり準備できれば、スタートラインに立ったときにきっとワクワクするでしょう。「これからやっと42.195キロを走れる」という気持ちでマラソンの旅に出かけてください。みなさん、よい旅を!

トレーニング・メンタル編はこちら
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