ランニングで多いケガTOP3は?ケガ予防につながるエクササイズも紹介

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(左から)プロランニングコーチ・黒川遼さん、スポーツMC・ヤッホーカレンさん

秋や冬のマラソンシーズンに向けて、練習を積みたい夏の時期。ケガをして困っているランナーの方や、ケガをした経験があり不安に思っているランナーの方も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はプロランニングコーチ・黒川遼さんをお招きして、ランニングで起こりやすいケガTOP3やケガ予防につながるエクササイズを紹介いただきます。

ランナーのケガに共通していること

カレン:ランナーのケガに共通していることはありますか。

黒川:繰り返すことで生じる慢性障害の場合が多いです。練習を頑張りすぎたことで足の腱や関節に無理な負荷がかかり、ケガしてしまうのです。

カレン:他にもケガの要因はありますか。

黒川:主な要因は『疲れ』。過度なトレーニング、栄養不足、睡眠不足、ストレスにより、体の回復が追いつかないということが原因となります。

カレン:ボロボロな状態で走っていると、ケガにつながりやすいんですね。一つずつ改善が必要ですね。

黒川:頑張りすぎないことが大切です。

ランニングで多いケガTOP3とその原因

第1位:腸脛靭帯炎

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黒川:腸脛靭帯は、骨盤の上部から脛の前まで付く靭帯のことを指します。そして、腸脛靭帯が膝の外側と繰り返し擦れてしまうことで腸脛靭帯炎が生じ、膝の外側が痛くなります。

カレン:走り過ぎた時など、かなり高負荷の練習で痛めてしまうのですね。

黒川:そうですね、腸脛靭帯が繋がっているお尻や太ももの外側が張ると痛みが出てしまいます。

カレン:お尻や太もも外側の筋肉をほぐすサインにもなりますね。どのような動きをすると起こりやすいですか。

黒川:例えば、股関節が硬い人は脚が後ろに伸びにくいため、地面を押す動きを膝で代替してしまいます。そのような低い姿勢の動きを繰り返すことで、膝に負担がかかり痛くなってしまいます。ゆっくりした動きをした時に痛みが生じやすく、距離走が一番リスクが高くなります。

第2位:足底筋膜炎

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黒川:足底筋膜炎は、かかとから指先まで足裏の硬い部分で起こる炎症のことを指します。足裏の柔軟性が低下している時に生じやすい炎症です。

カレン:柔軟性以外の原因はありますか。

黒川:動き方も原因の一つになります。指先を上げたまま着地したり。踏み込む時に足裏で押したりすると足底筋膜炎になりやすいですね。

カレン:足裏がピキッとなるというお悩みはよく聞きますよね。

黒川:足底筋膜炎は特に初心者ランナーに多いケガだと思います。体重を減らしたり、重心移動を上手く行うことが重要です。

第3位:シンスプリント

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黒川:シンスプリントは症例の名前ですが、脛の3分の1から下に痛みが出ることが多いです。疾走型と跳躍型の2種類があり、疾走型は地面を強く蹴ることで脛の下の部分が痛くなり、跳躍型は高跳び・幅跳びなどの強い跳躍を行うことで脛の真ん中部分が痛くなる場合を指します。

カレン:ランナーは疾走型が多いですか。

黒川:そうですね、足の接地音が大きいランナーは跳躍型の場合もあります。足指の内側やふくらはぎの硬さが原因となるので、しっかりとケアしていきましょう。

ケガの予防方法

負荷の管理

怪我はオーバートレーニングが原因となるので、負荷の管理がとても重要です。負荷管理を考える際は、外部負荷と内部負荷を分けて考える必要があります。

外部負荷は走行距離や時間、テンポ、フォームなど外からの要因によるものを指します。一方、内部負荷は呼吸やメンタルなど身体の中で起こる変化のことを指します。

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主観的運動強度(RPE)

さらに、これらの負荷をコントロールするために主観的運動強度(RPE)というものがあり、運動時の活動が肉体的・精神的にどの程度困難であるかを示す10段階の指標です。10が『最大限にきつい』、5は『きつい』、3は『やや楽である』に該当します。

10の練習を毎日続けると緊張度が高くなり怪我をしやすい状態になってしまうことも。一方、RPEが低い練習だけをしても身体に刺激がなく、逆に身体が重くなってしまうこともあります。そのため、ランニングウォッチなどを用いて心拍数や走行距離を管理しながら、様々な強度の練習を行うことが大切です。

しなかやかさ×重心移動改善エクササイズ

体幹をしっかりと使うために、背骨、骨盤、肋骨を動きやすくすることがポイント。

エクササイズ①:キャット&カウ 股関節を開くver.

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・四つん這いになり、肘を地面に付ける。
・腿の内側についている内転筋が伸びる位置まで両脚を開く。
・息を吐きながら、おへそを上げるように腰を丸める。
・後ろにストレッチしながら丸める。
・胸の前を地面に付けるように前に伸ばす。この時、腰の後ろではなく胸の後ろが動くように意識しましょう。
・再度、息を吐きながら腰を丸める。
この動きを10回程度丁寧に行っていきましょう。

エクササイズ②:ソラシックローテーション 前後開脚ver.

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・ランジのような姿勢を取る
・右手を横から出して空に向かってひねるようなイメージ。この時腕は伸ばし、腰は落とすことを意識しましょう。
・地面を押さえている側は手でグーっと押す。
・一度腕を下して内側にもひねる。
・反対側も同様に行う。肩甲骨、背骨に効いていればOKです。呼吸は止めずに自然に行いましょう。

エクササイズ③:骨盤の上下運動 立位段差ver.

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・段差に片足を乗せて立つ。
・浮いている側の足を下に落として上げるを繰り返す。支えている側の足で頑張るよりは、浮いている足に意識を向けましょう。
自分の手で足の上げ下げを邪魔することで、さらに負荷をかけることも可能です。

セルフケア

怪我を予防するためには、セルフケアも大切です。整骨院など、プロの力を借りて身体のケアをすることがおすすめですが、通うことが大変な場合には、疲れやすい部分を集中的に自分でほぐしてあげましょう。さらに、睡眠、栄養、入浴などのセルフケアも大切。日常生活の中でも怪我を予防できます。

引き続き、ランニングライフを楽しむために、参考にしてみてはいかがでしょうか。

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