ランニング中の意識は“内向き”“外向き”どっちがいい? プロスポーツメンタルコンサルタントが解説
Aug 19, 2016 / COLUMN
May 26, 2017 Updated
私の例で恐縮ですが、調子の良い時は、「良いランニングのイメージ」が思い浮かび、足の運びが軽くなります。逆に、「今日は調子が良くないな……」という時は、「1km走るのに6分以上かかっている」「目標距離まで残り14kmかぁ……」など、ネガティブな考えに引っ張られてしまいます。時間や距離にしばられていくと、なかなか良い走りができませんよね。
仕事でもスポーツでも何でもそうですが、メンタルの善し悪しがパフォーマンスに影響することがあります。特にマラソンは長距離・長時間と体力の求められる競技ですので、メンタルの置きどころが大切と言えるでしょう。実際のレースでも、他のランナーとの駆け引きをするシーンもありますよね。
作新学院大学准教授で、プロスポーツメンタルコンサルタントの笠原彰さんは、自著『誰でもできるスポーツメンタルトレーニング』の中で、長距離種目に求められるテクニックを紹介しています。
プロはどのようなことを大切にしているのでしょう。代表的なものは下記の3点。
・走行中のリラクセーションと緊張の上げ・下げ
・風向、起伏、身体状態など、内的・外的な広い集中、狭い集中を使い分けるスキル
・トラブルへの対処準備
長いレースの中で状況が急変することもあります。そういった環境でも普段の力を発揮できるかどうかが、勝負の分かれ道となります。ただ、上記のメンタルテクニックを実践するために常に集中していると、今度は集中力を持続することに疲弊してしまう可能性がでてきます。ですので、笠原さんは「4種類の集中力」を使い分けると良い、とアドバイスしています。
A:【広い外的な集中】→よく顔を動かし周囲を見る
B:【広い内的な集中】→情報を分析、適切な戦術をピックアップ
C:【狭い外的な集中】→ポイントを見て実行
D:【狭い内的な集中】→戦術を決断、実行への準備
「広い外的な集中」「広い内的な集中」「狭い外的な集中」「狭い内的な集中」と、集中力を4つのカテゴリにわけているのです。“集中力”と一言でいっても、このようにカテゴリわけができるんですね。
「どのタイミングでどのように実施するか、その作戦いかんによって、レース展開が変わります。このような集中力を身につけることで、冷静な判断力や適度な緊張感を身につけることができます」と同書で解説しています。
レース中に何を考えるかは選手によって異なるかと思いますが、上記のようなメンタルテクニックを取り入れると効果的。集中しはじめると、つい自分の中に入り込んでしまうランナーもいるかと思いますが、上記の「4種類の集中力」にもあるように、外的な集中というのもありますので、しっかり周囲から情報をキャッチしながら、内的なものに生かすと良いでしょう。
とはいっても長時間におよぶレースになりますので、楽しいことや嬉しいことなどポジティブなことを考えながら走ることも、モチベーションアップの秘訣。集中することに集中してしまうと息切れしてしまうこともありますので、リラックスモードのなか、笠原さんのテクニックを取り入れましょう。