寄り道しながら歩いた通学路を走ってみたくなる?【ノロミホの旅】

走ることに慣れてくると、「ここは好きな道」「ここはあまり好きじゃない道」と、勝手に決めつけてしまう。なんだか、ちょっとわがまま。

道は、旅人にとってどれも同じ道。
「今日も世界の道は平和だった」と、フォトグラファー・ノロミホさんが教えてくれる。

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【vol.5:インドでのたのしい迷子】

ジャングルみたいな景色の中、奥へ奥へと進む。
小さな水路がいたるところに流れ、その先には大きな運河。
いくつもの手漕ぎ船が行き交い、仕事や学校へ向かう人達を乗せている。
清々しくて穏やかなアレッピーの朝。

早く目覚めた私たちは運河沿いまで行ってみることに。
昨日ボートから見たテーマパークの中へ向かう。
なんだか舞台裏をのぞく気分だ。

舗装されていない砂利道が続き、
歩いていると懐かしい気持ちになってきた。

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よく遊んだ学校の裏山。秘密基地を作った空き地。
寄り道しながら歩いた通学路。
懐かしい光景が頭に浮かぶ。

そんなことを思いながら呑気に歩いていると、突然行き止まりに、、、。
目の前には一軒の家があり、その中からひとりの少年が現れた。
腰に布を巻き、上半身は裸というなんとも野性的な姿。
しかし照れながら微笑む顔はどこかあどけなく、一瞬にして私たちを安心させてくれた。

少年は、お母さんとお姉ちゃんを紹介し、
向かいの家に住むというおじさん家族の家に招待してくれた。

ちょうど朝ごはんの時間だったらしく、テーブルの上には朝食の定番イドリーとパロタ。
手を使って器用に食べる。
“一緒に食べよう”とおじさんが手招きしてくれた。
突然の訪問者にも自然に接するインドの人たち。
この旅で何度も遭遇し、いつも驚かされた。

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家を出ると少年は近くの船着き場に連れていってくれた。
運河で洗濯する人、出航の準備をする人。
出会う人に私たちを紹介しては、ちょっぴり誇らしげだった。

地元の人しか知らないような抜け道を通り、ここは動物も通るんだよと教えてくれる。
あっちには保育園があって、こっちは今工事中なんだと。
嬉しそうにいろんなことを教えてくれた。

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少しシャイで笑った顔がとても優しい少年。
別れ際に黄色いお花を一輪くれた。
道端に咲く名前も知らない小さな花。
甘くて優しい香りがした。

こんな出会いがあるのなら、道に迷ってみるのもたまにはいいな。

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