夫婦マラソン日本記録樹立? ゴールドコーストマラソンで達成された快挙と、圧倒的すぎる世界記録とは
Jul 21, 2017 / COLUMN
Jul 24, 2017 Updated
「結婚とは、長いマラソンを夫婦で走ること」
という格言がある通り、結婚はよくマラソンに例えられることがあります。
しかし、世の中にはその言葉通り、本当に夫婦でマラソンを走っているカップルもたくさん存在します。今月2日に行われたゴールドコーストマラソン(豪州)では、日本のトップマラソンランナーである野口拓也選手と竹中理沙選手が夫婦で表彰台に上がる快挙を達成。そんな彼らの功績と、〝夫婦マラソン〟というカテゴリーについてご紹介します。
野口拓也選手と竹中理沙選手がゴールドコーストで快挙
7月2日、豪州で行われた『ゴールドコースト・マラソン』で、野口拓也選手(コニカミノルタ)が2時間8分59秒の大幅自己新で優勝しました。3位には8月に行われるロンドン世界陸上の男子マラソン代表に選ばれている川内優輝選手(埼玉県庁)が入り、世間的にはそちらが注目を浴びたこのレース。女子の部では竹中理沙選手(資生堂)が2時間28分32秒の3位に入り、夫の野口選手とともに夫婦メダルを達成しました。
日本における夫婦マラソン最速合計記録は、世界選手権の長距離、マラソン種目で3回の入賞経験を誇る弘山晴美さん(自己記録:2時間22分56秒/2000年)と、その夫である勉さん(現・筑波大陸上競技部駅伝監督/自己記録:2時間11分37秒/1990年)による4時間34分33秒。
ただし、同一大会における日本記録は今年の東京マラソンで記録された遠藤夫妻による5時間15分31秒(靖士さん:2時間26分18秒、摩耶さん:2時間49分13秒/当時・世界最速)で、今回の野口夫妻の記録(4時間37分31秒)はそれを大幅に更新するものでした。
【参考リンク】東京マラソン参加の遠藤さん 夫婦タイムでギネス記録(北海道新聞)
ゴールドコーストマラソン3位でした。環境も変わり試行錯誤の日々でしたが、今回の結果は今の自分にとって、嬉しかったです。旦那さんの頑張りも嬉しく思います?応援して下さった皆様、ありがとうございました☺️#GCMarathon pic.twitter.com/CxB0EIVUrl
— 竹中理沙 (@liisa_t) July 3, 2017
ともに日本陸上界のトップ選手
夫の野口拓也選手は実業団のコニカミノルタに所属し、日体大時代には箱根駅伝3区区間賞、元旦のニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)でも区間賞を獲得するなどロードに強い選手として知られています。これまでのマラソン自己記録は2時間11分04秒(17年東京)でしたが、一気に2分以上も縮め、2017年の日本ランキング2位(7月2日現在)に躍り出ました。
一方の竹中理沙選手も、立命館宇治高(京都)、立命館大で駅伝日本一を経験し、現在は実業団・資生堂で活躍するトップ選手。2014年には世界ハーフマラソン選手権の日本代表にも選ばれています(17位)。
そんな最強カップルは最近結婚したばかりのようで、新婚パワーでダブル表彰台を勝ち取りました。
皆様のお陰で、無事に結婚式を挙げることが出来ました。野口拓也さんと共に陸上競技、頑張ります! pic.twitter.com/GcM0M2WY1w
— 竹中理沙 (@liisa_t) March 26, 2017
これまでの夫婦マラソン記録。そして世界記録は……
夫婦によるマラソン記録更新は近年過熱しており、2014年の東京マラソンで佐藤健太・紀子夫妻がギネス世界記録(5時間28分23秒)を打ち立てたことから始まりました。その後2015年10月に記録は5時間27分08秒まで短縮され、そして前述の遠藤夫妻の記録(5時間15分31秒)につながっていきます。
【参考リンク】「夫婦で最速」狙った 福岡マラソン女子1位の佐藤さん(朝日新聞デジタル)
そして今回のゴールドコーストでは、日本のトップ選手同士による不滅の記録が誕生したわけですが、実はこの記録、世界記録ではないんです。というのも、遠藤夫妻がギネス世界記録を上回った2か月後のパリマラソン(4月)にて、ケニアのロニャンガタ選手とリオノリポ選手が夫婦合計で4時間27分05秒というタイムを叩き出したからです。(出典:『月刊陸上競技』2017年6月号)
夫のロニャンガタ選手は2時間06分10秒、妻のリオノリポ選手が2時間20分55秒と、それぞれ世界トップクラスのタイムで優勝。現役日本人最速の今井正人選手(2時間7分39秒)と安藤友香選手(2時間21分36秒)が束になっても勝てない記録が誕生してしまいました……。
ちなみに両選手は今年8月に行われるロンドン世界陸上のケニア代表補欠にも選ばれており(※)、これがギネスに認定されてしまうと、日本人には果てしなく遠い記録になってしまいます。今後、この記録を上回るような日本人カップルは現れるのでしょうか?
※出典:『月刊陸上競技』2017年8月号別冊