厚底シューズによる怪我のリスクとは?新プロジェクト『アシトレプロジェクト』始動!
Oct 20, 2025 / COLUMN
Oct 20, 2025 Updated
厚底ランニングシューズの普及により、多くのランナーが記録向上などのメリットを享受できるようになりました。その一方で従来にはあまり見られなかった新たな怪我に悩むランナーも増えています。
このたびRuntripが立ち上げたのは『アシトレプロジェクト』。こちらは『アシトレ(足のトレーニング)』を通じて、厚底シューズをしっかりと扱える足をつくり、怪我のリスクを減らしながら「楽しく、長く走り続けられる」ランナーをサポートするプロジェクトです。
今回は、現代のランナーが直面している「怪我のリスクと特定の部位への負担増大」「ランニングフォームの変化と技術的な課題」について、それぞれ解説します。
怪我のリスクと特定の部位への負担増大
股関節周りの怪我の増加
薄底シューズを着用することの多いランナーの悩みは、下肢(脚における膝から下の部位)の故障が中心でした。一方で厚底シューズを着用する機会の多いランナーは、股関節や大腿骨、仙骨の疲労骨折など、股関節まわりの怪我が増えていると指摘されています。これは厚底シューズに内蔵されたカーボンプレートによる強い反発力や、着地時の身体の使い方に関係していると考えられます。
実際にエリートランナーが仙骨を骨折するケース、大腿骨の疲労骨折が見られたという例もあり、体への負担が大きいことが分かります。
そのためカーボンプレート入りのシューズは限られたシーンでのみ使用するなど、シューズの履き分けを行っているランナー・チームも見受けられています。
足元が不安定になることによる怪我
厚底シューズはクッション性が高い反面、ソールが柔らかく、着地時に横ブレが生じやすい傾向があります。その結果、足首の捻挫や靭帯の故障、膝や股関節への負担が増加する可能性があります。
また接地時の不安定さを補うために足裏の筋肉や足底筋膜が過剰に働き、負担が増すことで炎症につながることもあります。実際に、通常のシューズとは足裏の感覚がまったく違うと感じるランナーも多く、足元まわりの怪我が新たな課題として挙げられています。
特定の筋肉への負担
カーボンプレートの反発力により、ふくらはぎの筋肉の活動量が減るという報告がある一方で、ふくらはぎが痙攣しやすくなる事例も報告されています。体の大きい中心部をうまく使えず、アキレス腱に負荷がかかり怪我につながるケースもあるのです。
また不安定な着地を支えようとして、足底や足の指の筋肉に過度な負担がかかることもあります。厚底シューズの反発をしっかりと受け止めるためには、その土台となる足の機能づくりが欠かせません。
ランニングフォームの変化と技術的な課題
「シューズに頼りすぎる」ことによる弊害
厚底シューズは、推進力とクッション性に優れるため、ランナー本来の筋力や機能が発達しにくくなる可能性があります。シューズの性能に頼りきってしまい、本来の身体の使い方を忘れてしまいやすいことも課題の1つです。
厚底シューズを「履きこなす」ための筋力と技術の必要性
厚底シューズの性能を最大限に引き出し、怪我を防ぐためには、負荷に耐えるための筋力(特に体幹や股関節周り)が必要です。また厚底シューズに適したランニングフォーム(前傾姿勢や、足首を固定した走り方など)の習得も不可欠です。
地面との接地感覚の喪失
厚底シューズはクッション性が高く、地面からの衝撃を和らげる効果があります。そのため、地面との接地感覚が鈍くなることがあります。ふわふわの絨毯の上を進んでいるような感覚に近いと感じるランナーもいます。
一方で、接地感覚がある方が自分の足を機能的に使って走っている感覚を得やすく、足の感覚を養うことが近年のトレンドにもなっています。練習に応じて薄底シューズを併用するなどして、接地感覚を養うことが推奨されます。
まとめ
厚底シューズの強力な恩恵を受けつつ、こうした課題を認識し、向き合うことで、怪我なく楽しく走ることができるでしょう。『アシトレプロジェクト』では主に動画の視聴者からのリクエストやコメントをいただきながら、さまざまな専門家に話を聞き、楽しく長く走るための情報を発信していく予定です。
【動画からご覧の方はこちら】
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