避けて通れない「坂道」、上りと下りでツラいのはどっち? 運動生物学の博士が分析

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皆さん、今年度はどのようなレースに参加しましたか? 暑い日が続く8月にはメジャー大会が少なくなりますが、この秋冬に向けて準備をしているランナーも多いことでしょう。全国にたくさんあるレースで、必ずついてまわるのが「坂道」。あなたはそんな「坂道」を得意にしていますか? それとも苦手にしていますか?

フラットな道とは違い、フォームやペース配分が気になる坂道。この坂道は勝負の分かれ目になることもありますので侮れません。筆者は下り坂が続くと、「この後、同じ分だけの上りが待っているんじゃないか……」と、どうでも良いことに気をもんでしまうタイプです。

そんな坂道ですが、上りと下りは一体どちらがキツいのでしょうか。

エネルギーの消費について、書籍『走りのサイエンス』で詳しく紹介されています。何となく上りの方がエネルギーを消費しそうな感じがしますが、実際はどうなのでしょう。

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「平坦な道と勾配10%(走行距離100mで10mの高低差)の上り・下りを走ったときの消費エネルギーを調べてみると、同じ10km/時で走っても、上り坂は下り坂の約3倍ものエネルギーを消費する」(同書より)

なんと、上りと下りでは約3倍もの違いがあるんですね。どうりで上りは辛いはず同書では箱根駅伝を例に、上りと下りのエネルギー消費を紹介しています。むしろ、ダイエットをしたい時は上りのコースを走れば良いのでしょうか。

一方の下りを見てみましょう。消費するエネルギーのことを考えると、上りよりは随分と楽そうですが、下りは下りで体への負担があるようです。

「下り坂を走るということは大腿四頭筋や前脛骨筋に大きな負担がかかります。これは筋が伸ばされながら力を発揮するエキセントリック収縮が起こっているからです。この収縮時に筋線維は損傷を起こしやすく、ダメージも大きくなります」(同書より)

下りは下りで筋肉への影響がかなり大きいということ。下りを一気に駆け抜けてダメージを与えてしまうと、それを修復するにもエネルギーを使いますよね。

同書の著者であり運動生物学の博士・桜井智野風さんは、筋力へのダメージを減らす走り方として、「ストレートレッグ走法」をおすすめしています。着地の際に足首と膝を伸ばすこの走り方。膝を深く曲げないことで、モモの筋肉の過度な引き延ばしを回避します。蹴り出し時にはつま先で地面を蹴るのではなく、カカト側で地面を蹴るのがポイント。

こういったストレートレッグ走法などを取り入れながら、長距離のランニングに挑戦してみてはいかがでしょう。

ということで、ランニングにおける上りと下りでは、どちらもそれなりにツラいことが判明。逆に、この坂道を上手く走ることで、あなたのランニングのレベルをひとつ上に引き上げることでしょう。

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