常に楽しそうな雰囲気がある青山学院大学がどんどん力をつけている理由

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全日本大学駅伝が終わり、いよいよ大学の陸上界は、お正月の目玉とも言える「箱根駅伝」に注目が集まりつつあります。お正月のこの時期には、様々なメジャースポーツの大会が実施されます。サッカーの天皇杯や高校選手権、大学ラグビーや高校ラグビー、高校バスケットなど、箱根駅伝だけでなく、スポーツ好きの皆さんには楽しみなシーズンとなりますよね。

これらメジャースポーツと並ぶほど人気の箱根駅伝ですが、他の種目と一線を画しているものがあります。それは、競技のシンプルさ。使うのは一本の襷だけ。あとは、自身の体だけですので実にシンプル。複雑なサインプレーが必要な野球やアメリカンフットボールと比較しても、かなりシンプルであることがわかります。となると、そのトレーニング方法もこれに比例します。

「陸上競技には特別な練習メニューというものがほとんどなく、一定レベルを超えると、選手たちがやっていることはほとんど変わらない」と語るのは、スポーツライターとして箱根駅伝の取材を続ける酒井政人さん。自著『箱根駅伝監督 人とチームを育てる、勝利のマネジメント術』で、各チームのレベルの差は「監督のマネジメント」にあると分析。各大学を取材し、まとめています。

マネジメントといえば、青山学院大学の原晋監督を思い出す方も多いのではないでしょうか。原晋監督は、中学時代から陸上キャリアをスタート。中京大3年生時に全日本インカレ5000mで3位入賞し、卒業後は陸上部第一期生として中国電力に入社。しかし、ケガに見舞われ5年目に引退してしまいました。

そこからの原監督は、社員・提案型営業マンとして再スタート。新商品を全社一売り上げるなど、その営業スキルを発揮しました。その後、特にコーチングを学ぶことなく青山学院大学の監督に就任。営業時代に培った「組織構築術」「人材育成術」を駆使し、同大学を大きく成長させた名監督です。

原監督のアドバンテージは、「陸上しかやっていない」人とは違う、ビジネスの場での経験があること。では、原監督がどのようにマネジメントをしたのか、もう少し詳しくみていきましょう。

同大学に就任した監督は、早速、ビジネスマン時代に当然のように活用していた「目標管理シート」を駅伝に持ち込みました。一週間の目標、一カ月の目標、一年の目標を書かせ、また、6人ほどのグループミーティングで進捗をチェックするのです。どんな小さな大会であっても、目標を設定し、その到達度を確認。「自ら目標を立てて、それを遂行する」という自立した行動を促したのです。他の強豪校では、監督の厳しさに勢いをつけてもらい走る学生も多いですが、同大学では、自ら走るというランナーとしての本質を大切にしているのです。

他の大学とは異なるエピソードが同書で紹介されています。酒井さんが同大学の選手に取材をすると、「沿道の声援に応えて手を上げれば、『よし、いけるぞ!』と声をかけてくれるのが原監督です。他の大学では絶対にないでしょうし、そもそも監督が怖くて、そんなことできないと思うんですよ」とのこと。

この雰囲気が緩いと思うのか、チャライと思うのか、それぞれ受け手にとって異なるかと思いますが、ただ、チャライだけではこれまでのような優秀な結果は残せないでしょう。

「宝塚歌劇団と一緒ですよ。舞台の上では着飾っていますけど、裏では泥臭いことをしている。寮の消灯は22時ですし、朝練習は5時30分から。僕も毎朝5時に起床しています。だから、チャラくてもいいんですよ」(同書より)

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同大学が強くなったのは、様々な要因があり、この良好な空気はその一つと言えるでしょう。時に厳しく自立を促し、時には選手をリラックスさせる態度をとる。差が出にくい陸上競技の中で、監督の存在はやはり大きいようです。それもこれも、原監督には、「陸上しかやっていない」人とは違う、ビジネスの場での経験があるからなのです。

さて、今回の箱根駅伝で青山学院大学がどのようなパフォーマンスを見せるのか、今から非常に楽しみですね。

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