【初心者必見】トレイルランニングを始めるときに知っておきたい知識・マナーとは?
Mar 14, 2022 / HOW TO
Mar 23, 2022 Updated
春になったらトレイルランニングを始めてみようと思っている方も多いのではないでしょうか。トレイルランニングにはロードを走るのとは異なり、山を走るためのマナーが存在します。安全に楽しむためにどのようなことを意識すると良いのでしょうか。
今回はトレイルランニングを始める時に知っておきたいマナー、知識について、東京都立川市のトレイルランニング専門店『Trippers(トリッパーズ)』店長で、ご自身もトレイルランレースを走る朝長拓也さん、Runtripお馴染みのスポーツMC 岡田拓海さんとともにお届けします。
山の基本マナーとは
岡田:これからトレイルランニングを始めてみようと思っている方、興味がある方のために『基本の基』を教えていただきたいです! まず、どのようなマナーを覚えておくといいですか?
朝長:難しいマナーはありませんが、トレイルランは山を走るので山のマナーを守りましょう。
岡田:山のマナーとは、どういったものがありますか。
朝長:例えば、登りが優先、ハイカー優先。挨拶をする。ゴミを捨てない。トレイルから外れないなどが挙げられます。
登っている方を優先
岡田:まずは、登りが優先なのですね。
朝長:基本は登りの方が優先です。「どうぞ」と言われることもありますので、状況に合わせてコミュニケーションをとりながら、譲り合い、お互い気持ちよく使うことが大切です。
岡田:次に大切なのが、挨拶ですね。なんと言って挨拶していますか。
朝長:「こんにちは」と挨拶しています。朝早い場合は、普通に「おはようございます」と言う場合もあります。山で遭難してしまった時にそこで会ったなというのを覚えてもらったりする意味合いもあるので挨拶はしっかり行いましょう。
ハイカーに対する配慮
朝長:登りの方が優先ということに加えて、すれ違い、追い越しは必ず歩くというのがあります。とても重要で、これを知らないまま山に行ってしまうとトレイルランナーはマナーが悪いという評価につながりやすく、配慮しながら走りましょう。
登山道は狭いので、ランナーが来るとハイカーはすごく恐怖心を感じるのです。走る側はハイカーに当たらないから大丈夫だと思って走っているんですけど、ハイカー側は受け取り方が全然違うので、そこはトレイルランナーが非常に注意しないといけないと思います。追い越す時も突然背後から来られると驚きますので、事前に声をかけたり、挨拶して、自分の存在を気づいてもらって、道幅の広いところで、歩いて追い越させてもらうというのが基本的なマナーですね。
ゴミは持ち帰る
朝長:続いてゴミですが、山はゴミ箱が用意されていないので捨てずに持って帰らなければなりません。
岡田:ロードのように近くにコンビニがないですからね。ザックに入れてゴミを持ち帰ることが大切ですね。
登山道(コース)から外れない
朝長:整備されている登山道を踏み外してしまうと山の植生を壊してしまい、登山道が無駄に広がってしまいます。自然に大きな影響を与えてしまうことになるので、登山道から外れないというのがマナーになります。
岡田:しっかりと整備されているところを走るという、基本のマナーですよね。トレイルを走っているとつい気持ちが良くなってきて、忘れてしまうことがあるので注意しなければなりませんね。
登山向けアプリの使用
朝長:トレイルランは街中でのランニングと違い、一般的な地図には載っていない道が数多くあります。
登山道には道標があるので「なんとなく行けるだろう」と思ってしまいがちですが、道標がないところもありますので、しっかりと自分でルートを調べなければなりません。
Googleマップをはじめスマホで地図アプリを使うと思うんですけど、山の中に入ってGoogleマップを開いても多くの登山道は載っていないので、走っている道がどうなっているのか分からなくなってしまいます。登山向けの地図が載っているアプリの用意やウォッチへ自分が走るコースのGPSデータを入れるという準備をしてください。
岡田:以前、登山向けのアプリを紹介した際には『YAMAP(ヤマップ)』、『山と高原地図』、『ヤマレコ』を紹介しましたね。ぜひトレイルランへ行く時にはそちらを見てダウンロードしてください。
命を守るための準備が大切
岡田:ここまでマナーや地図について話してきましたが、用意した方が良いアイテムはどんなものがありますか?
朝長:トレイルランはロードでのランニングとは異なり、急な天候の変化への対応や長時間動き続けることへの準備が必要になります。
水・食料
朝長:まずは、水や食べ物が必要ですね。量は行く山によって変わります。夏場に、途中で水が汲めない場合は2〜3ℓほど必要なこともあり、ある程度事前に調べて用意してください。
岡田:もし、地図上に湧き水のマークがついていても、実際に行ってみると湧いていないこともあります。そうした状況を予想して備えることが大切ですね。
朝長:そうですね。さらに、水が汲める場所があったとしても、辿りつけないこともあります。本当に準備はしっかりしないとならないですよね。
防寒着
朝長:山の場合、100m標高上がると0.6℃気温が下がります。1000m登ると気温が6度下がって、さらに風速1mごとに体感温度は1℃下がります。登って風が強く吹いていたら、だいぶ体感温度は低くなります。そうしたことを想定して、防寒着の準備もしなければなりません。
岡田:標高が上がるほど予想以上に冷えますね。天候の変化も考慮すると、防寒着はしっかりとした準備が必要ですね。
応急手当品
朝長:さらに、山の中なので何かあった時、ある程度自分で対応しなければなりません。マメができたり、足を捻っても自力で下山するしかないので、絆創膏やテーピングなど自分の身を守るための装備も必要ですね。
岡田:ある程度の応急処置は自分で対応できるように、救急セットを用意していると安心ですね。
登山届・山岳保険
岡田:登山に行くときの登山届というのもありますよね。
朝長:登山届というのは登山口にポストが置いてあって、入山日、ルート、人数などを書いたものを提出します。もしその予定ルートで帰ってこない場合は遭難しているということになり、捜索が始まるので、何かあった時に探してもらうために登山届があるというのは知っておいた方がいいと思います。1人で山に入る時や長い距離を走る時は出しておいた方がいいですね。最近は『YAMAP』などのアプリからルートを作って提出することもできます。
また、山岳保険というのがあります。山岳保険と傷害保険との違いとは、山岳保険は主に救助隊の費用、ヘリコプターの出動費用や山の遭難に合わせて発生する費用を補填するための保険。トレイルランをする方は加入することをおすすめします。
岡田:そうですね。今回の内容は命を守るためのものなで、事前に知っておきたいことですね。
トレイルランを始める時に知っておきたいマナーや知識をご紹介しました。これからトレイルランにチャレンジしてみたい方は、朝長さんの解説を参考にして安全第一で楽しんでいきましょう。
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朝長 拓也さん
トレイルランニング専門店 Trippers 代表/ JAFTスポーツシューフィッター
2012年にトレイルランニングに目覚め、2017年にTrippersを立ち上げる。
※前職はアパレル企業で服の型紙を作るパタンナー
2018年トレニックワールド彩の国100mile 完走
2020年 KOUMI100 完走