サッカーの“地域選抜”に選ばれていた短距離走者・桐生祥秀選手が、陸上界に入った理由

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陸上競技のトップクラスの選手たちは皆、幼少期からずっと陸上に携わっていたのでしょうか。

答えは否。

現在、活躍する陸上選手の中には、まったく違う競技に熱中していた選手がいます。その中の一人が短距離走を得意としている桐生祥秀選手(東洋大)。

桐生選手といえば、17歳の時に100mを10秒01で走り、(当時)世界ジュニア記録に並ぶ驚きの結果を出した選手です。その後、東洋大に進み19歳の頃には、テキサス州オースティンで行われたテキサスリレーで、9秒87という驚異的な記録を出しました。この時は追い風のため参考記録に。追い風が3.3mもあったため、もう少し風が弱ければ(公認は2.0mまで)、日本人初の9秒台という大騒ぎになっていたのです。

桐生選手は滋賀県の出身で、ご両親とお兄さんの4人家族。幼少期からお兄さんにくっついて遊ぶことが多かったようで、一緒になってテニス、ドッジボール、サッカーに没頭していたようです。お兄さんも身体能力が非常に高かったようで、小学校の頃から非常に足が速く、桐生選手よりも先に、「ジェット桐生」のニックネームが付けられていました。そんな兄の影響を受けてサッカーに取り組んでいた桐生選手は、めきめきと上達し、滋賀県彦根市選抜に選出されるほどに。

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もし、桐生選手がそのままサッカーを続けていたら……。一体どのような選手になっていたのでしょうか。タッチラインをもの凄いスピードで駆け上がるような選手になっていたかもしれませんね。

想像する楽しみはありますが、実際は中学生になる頃には、サッカーではなく陸上を選びました。そのターニングポイントとなったのが、父・康夫さんの存在。毎日子どものことを大切に育てていた康夫さんは、ここで大きなアドバイスを桐生選手におくります。

「サッカーではなく、陸上の方がいいのでは」

書籍『天才を作る親たちのルール』のなかで、康夫さんが当時を振り返っています。

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「僕も足は速い方なのに、5年生になると本気で走っても適わなくなった。小学校の頃は団体競技で仲間の大切さを学んで欲しかったからサッカーが良かったけど、気が優しいのかすぐに相手にボールを奪われてしまうんです。このままサッカーをしていても埋もれてしまうと思い、まだ陸上の方が個性を伸ばす可能性があるのではないか、と妻に話したのです」(同書より)

ずっと子ども姿を見てきた康夫さんだからこそ気づけた桐生選手の特徴。また、多感な時期であろう桐生選手にそれを言い聞かせることができるほど、親子関係は良いものを築けていました。

サッカーから陸上に活躍の場を移した桐生選手。そこからの活躍はご存知の通り。当時の康夫さんの判断は正しかったといえますね。

こういった桐生選手のように、他の競技から陸上に移った方もいるのではないでしょうか。確かに、サッカーでもバスケットでもテニスでも、陸上競技に繫がる動きは少なくありません。各スポーツで、高い素質を持っている彼らは、得意のスポーツのみならず、陸上競技でも活躍することは可能。それほど、陸上という競技は受け皿とし大きいと言えますよね。

また、ラントリップ読者の中にも、他競技経験者が多そうですね。皆さんは何の競技に携わっていましたか?

さて、過去の競技を思い出しながら、今週末もラントリップしますか。

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