死ぬまでにやりたいことの1つ? アリゾナ州セドナのトレイル
Nov 06, 2019 / COLUMN
Nov 06, 2019 Updated
ぼくは、トレイルの目的地であるDevil’s Bridgeまで行ったわけではない。その直前まで行って引き返してきた。そこは突き出した岩のてっぺんが幅の狭い橋のようになっていて、人々が絶景を見下ろす格好の撮影スポットになっている。
実は、ぼくは高所恐怖症で、そのような場所に立つことを想像するだけで体が震える。名前の通りに悪魔的に恐ろしい橋なのだ。癒しを求めてセドナに来て、わざわざ恐怖で足がすくむような場所に行く人の気が知れない。だから、このDevil’s Bridgeそのものの写真はない。前述したように、ネットにはそこで記念撮影した写真が溢れているので、興味がある人は “Sedona Devil’s Bridge” をキーワードにして画像検索してみてほしい。
癒しを求めて、と書いたけど、そうしたスピリチュアルなものを求めてセドナにやって来る人は多い。セドナ市内にはボルテックスと呼ばれるパワースポットが何箇所もあることで有名だし、セドナ全体がボルテックスなのだと言う人もいる。ボルテックスとは、本来は『渦』という意味で、そうしたスポットに行くと、幹が渦のようにねじれた木が何本もあるそうだ。セドナ4大ボルテックスと呼ばれるのがエアポート・メサ、カセドラル・ロック、ベル・ロック & コートハウス、ボイントン・キャニオンで、そこには大地からのエネルギーが満ちていると言われている。
「あるそうだ」とか「言われている」とか、他人事のように書いたのは、ぼく自身には全くそのような神秘的な事象に縁がないからだ。それに元々好きなことだけをやって暮らしているので、和らげるべきストレスも癒されるべき苦しみもない。そのようなわけで、せっかく長い間の念願だったセドナに行ったのだけど、そして、それはとても嬉しい体験であったわけだけど、ぼくの魂には取り立てて目立った変化はなさそうだ。
それでもセドナは美しかった。その中を走るのは楽しかった。ぼくのBucket Listにあった1つ『セドナのトレイルを走る』は実現した。だけどこのリストは短くなったわけではない。なぜなら、そこには『セドナのまだ見たことのない場所に行ってみる』という項目が今回追加されたからだ。
セドナのトレイルマップを見ると、長さも険しさも様々なトレイルがそれこそ数えきれないほどある。今度はもっと腰を据えて、セドナに何日も滞在してやるぞ、と心に決めた。死ぬまでに1度でいいから行ってみたいって思うような場所は、1度来たら必ずもう1度来たくなるものだ。それじゃキリがないじゃないかとも言えるだろうが、ぼく自身はこうして楽しみが増え続けることに文句はない。そんな風に思える場所が実はセドナの他にもたくさんある。毎日飽きもせずに体を鍛えているのは、いつでも旅に出ることができるようにしておくためでもあるのだ。