西日本のランクルーが集結開催された“RUN CREWS EKIDEN”とは

日本が世界に誇るスポーツ文化である “駅伝” 。

箱根駅伝、ニューイヤー駅伝、全国高校駅伝、都道府県対抗駅伝など競技性の高いトップレベルのものから、日本全国で行われる小さな駅伝大会まで様々。市民ランナーにとって、駅伝は交流を深める場であることも多い。

そして、令和元年の6月、大阪城公園で “RUN CREWS EKIDEN” が行われた。西日本にある7つのランクルーがそれぞれの “らしさ” を表現し、交流を図った。この駅伝の姿に迫った。

「西日本のランクルーが集結開催された“RUN CREWS EKIDEN”とは」の画像

そもそも “ランクルー” とは?

まず、 “ランクルー” とは何か?

一般的にランニングチームといえば、○○ランニングチーム、○○ランニングクラブ、○○走遊会、○○AC、○○RCなどの名称で活動しているチームが多く(そうでない場合もあるが)、自己記録を更新する目標のために、集団で練習に取り組む。そこには、コーチや監督がいることも少なくない。

一方、ランクルーは、どちらかというと少数の集団で、設立者の理念や目標などをメンバーが理解し、それに基づいて活動するというスタンス。その特徴として、クルーのリーダーとメンバーの関係性は上下関係に縛られず、概ねフラットである。

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今回参加したランクルーを例に出してみよう。

例えば、 “AFE OSAKA” のキーワードはファッション。週に1回のグループランを行い、メンバーはTシャツもシューズもナイキの製品を愛用する。そこには、AFEのメンバーならではの “ランニング×ファッション” というカルチャーがある。

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“アミノサウルス” は、アミノ酸サプリメント開発メーカーの社長が率いるランクルー。走った後の疲労回復や運動時のエネルギー補給に役立つサプリメントを通じて、ユーザーと社長がランニングで直接交流を図っている。

“コマネチランニングクラブ” は『つらいときほどコマネチ』という関西人のノリが特徴。チーム名にランニングクラブという名前が入っているが、練習でもレースでも、コマネチのポーズをすることを忘れないランクルーである。

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岡山のランクルー “UDC” 代表の仲原祐樹さんは、次のように話す。

「ランクルーは、同じ目標に対して、各々が自主性を持って取り組みます。そして、クルーのリーダーは自分の考えを強要するわけではありません」

ランナーも十人十色であるが、ランクルーにも様々なタイプがある。記録を目指すチーム、カルチャーを発信するチーム、遊び心を忘れないチーム。それらを繋いでいるのは、いうまでもなく『ランニング』である。

それぞれの垣根を越える1日

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今回の “RUN CREWS EKIDEN” には、大阪のAFE OSAKA、アミノサウルス、NBRC、ララ学園、MATSU RUN、神戸のコマネチランニングクラブ、岡山のUDCの計7つのランクルーが参加。この駅伝は、公園管理者の許可を得て行ったプライベートイベントだが、参加者だけではなく、クルーのメンバーを応援しようと多くのランナーが大阪城公園に集まった。

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RUN CREWS EKIDEN主催者の松垣さん(右)

今回の駅伝の主催者は、MATSU RUNの松垣省吾さん。

「今回は様々なランクルーが参加しましたが、共通項が “走ること” でした。 各クルーのカルチャーをもって、互いに刺激し合い、それぞれの垣根を越えて1つに繋がる1日を作りたい。そんなイベントを目指しました。計測もゼッケンも無く、順位もつかない駅伝でしたが、各クルーのカルチャーが存分に出ていて、それぞれが駅伝を楽しんでいる姿がとにかく印象的でした」

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松垣さんは今年の1月、東京で6つのランクルーが集まった駅伝に参加。そこで着想を得て、今回の駅伝を企画した。大阪や神戸だけでなく、岡山や鹿児島など西日本のランクルーにも呼びかけたという。

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気持ちのこもった襷渡しのシーンや走り終わった後の労いの握手など、駅伝ならではの印象的なシーンが多く見られた。タスキに想いを込めて速く走る、もしくは楽しく走る。それぞれのランクルーのカルチャーが表現された今回の駅伝は、大いに盛り上がった。

日本全国のランクルーの交流

駅伝当日は、大阪城公園のランニングステーション “RUNNING BASE 大阪城” を利用し、荷物の管理や駅伝後のシャワー、そして梅田に移動して開催された懇親会までスムーズに行われた。総勢50名ほどが参加した懇親会では、ランクルーごとの各テーブルを行き来して交流を深める人たちの楽しそうな様子が印象的であった。

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主催者の松垣さんは1日を振り返ってこう話す。

「応援に駆けつけてくれた人や偶然大阪城公園に遊びに来た人も含めて、みんなが駅伝に溶け込んでいる雰囲気は最高でした。 走ることを通じて、年齢や性別、ジャンルや活動地、様々な垣根を超えてランクルーが1つに繋がる1日になりました。 今回は参加できなかったランクルーもありましたが、これからも他のランクルーとイベントを開催していきたいですね」

大阪と東京に支部を持つMATSU RUNの松垣さんは、今後も全国のランクルーとの交流を図っていきたいと考えている。

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また、岡山から参加したUDCも同じような考えを持つ。UDCは、岡山県の蒜山高原などで “キャンプ × ランニング” のイベントを企画するなど、アウトドア派。関西や関東、鹿児島など全国のランクルーからゲストを招いて、積極的に交流を図っている。

UDC代表の仲原さんはこう話す。

「僕たちの地元である岡山から、SNSを通じて自分達がやりたいことだけを発信していたら、気が付けば様々な方々と交流することができました。都心のランクルーのスタイルを真似するのではなく、今後も自分達の環境、自然を生かしたスタイルで、面白いことができたらと思います」

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それぞれのランクルーがランニングを通じて交流を図る。その後、週末のレースだけでなく日頃のグループランやイベントなどで互いに関わりを持つ。

そして、これからも “RUN CREWS EKIDEN” は日本のどこかで行われ、彼らはさらなる交流を図っていくだろう。

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文・写真:Sushiman Photography

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