山から海へと続くトレイル。南カリフォルニアのトレイルランは春に限る

州立公園に入るとトレイルは最高地点を越え、“Ridgeline”と呼ばれる山の稜線を走る。両側にはなだらかな山が連なり、遠く前方には海が見える。視界を遮る人口の建物は何もない。空は青く、雲は白く、トレイルの脇には鮮やかな緑と色とりどりの花が咲いている。これ以上の景色を望むことが出来るだろうか。

「山から海へと続くトレイル。南カリフォルニアのトレイルランは春に限る」の画像

山から海へと向かっているわけだから、ここからは基本的にはなだらかな下り坂が続く。それでも、ラクダのこぶのような起伏がいくつかあり、それを登ったり下ったりしながら、1つこぶを乗り越えるごとに海が近づいてくる。ワクワクしてくるが、もっとこの景色の中を走っていたいというのも正直な気持ちだ。

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南カリフォルニアのトレイルランがいつもこんなに素晴らしいわけではない。炎天下の下、厳しい日差しを遮るものが何もない荒地の道をあえぎ走ることも多い。しつこく繰り返すようだが、今が1年でも貴重な、ほんのつかの間のベストシーズンなのだ。そのことを思い、かみしめるようにゆっくり走った。ぼくの走力が足りず、疲れたわけでは決してない。

1時間半ほどで海岸に着いた。そこもまだ州立公園の中なので、住宅や商業施設の開発は厳しく制限されている。岸壁に囲まれた、静かな砂浜の海だ。

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売店、自動販売機すらないので、バックパックに背負ってきた水を飲み、ナッツを齧りながら、海を眺めつつ迎えの車を待つ。何かとてつもなく贅沢な時間を過ごしている気分になるが、実際には家を出てから2時間も経っていない。

遠くに行くことだけが旅ではない。ただのジョギングでも、少し普段と違う場所を走ってみるだけで、こうして非日常を味わうことができるのはランナーの特権だと思う。次は少しルートを変えるか、あるいは州立公園内のキャンプ場に1泊するのも面白いかと考えている。

■今回のRuntripのコースはこちら。

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