「山を速く走るコツは○○」。トップトレイルランナー・上田瑠偉が語るこれから
May 30, 2017 / MOTIVATION
Apr 26, 2019 Updated
前編ではトレイルランニング界のプリンス・上田瑠偉選手のルーツを辿りました。後編ではトレランの魅力や今後の展望、さらには自身がマーケティングを担当するコロンビアモントレイルについてを話していただきました。
トレランは「走ることが純粋に〝楽しい〟と思わせてくれる」
写真提供=ご本人
――トレランの魅力はどんなところにあると考えていますか?
「自由」というか、「ギスギス感が無い」ところですね。トレイルはトップランナー同士でも喋りながら走るし、何なら全部走らなくてもいい。トラックはどちらかというと、自分の限界を高めたい人向けというか、キツイことの達成感を味わえる競技。トレイルは景色も楽しめて、いろんな場所を走れて、走ることが純粋に「楽しい」と思わせてくれる競技ですね。
――山を速く走るコツってあるんですか?
僕は「才能」かなと(笑)。才能って言っても、もちろん今までのベースがあっての話ですよ。例えば下りって「ワン・ツー、ワン・ツー」という陸上のテンポでは走れないんです。足の置き方など、わりと不規則なリズムで山を下らないといけないですから。
陸上選手って球技が苦手とか不器用な選手が多いんですけど、僕はサッカーを9年間やってきたので、その時にやっていた「アジリティトレーニング」とか「ラダートレーニング」が下りで生かされているんです。あとは不整地を走るので、道の先まで足場を予測しなければいけません。サッカーをやっているとボールが来る前に周囲を見渡すという習慣が身に付くので、それも役に立っているのかなと思います。
登りに関しても、高校時代に「4時間ウォーク」という山をキロ8分くらいでひたすら歩いて登る地獄の練習があったんです。そのトレーニングは部で1番速くて、そういう順調じゃなかった陸上生活やサッカー生活のひとつひとつが、トレイルをやる上で今の自分につながっていると思いますね。
新生コロンビアモントレイルの強みとは
自社製品について解説をしてくれた上田瑠偉選手
――今年からモントレイルは『コロンビアモントレイル』として新たにリブランドされました。これによって特に変わったことはあるのでしょうか
シューズに関してはほとんど変わっていないですね。以前からあったモントレイルのDNA・テクノロジーを引き継いでいます。元々モントレイルは日本でファンが多かったので、そういう人たちにとっては安心して履けるシューズのままなのかなと思います。それにプラスして、コロンビアのテクノロジーを使ったアパレル商品が開発・販売されるようになったので、そこは今までと違うところですね。
――他のブランドと比べての特徴、良さを挙げるとしたらどのようなところでしょうか。
安定感があるシューズが多いところですね。他社メーカーではゼロドロップや厚底をコンセプトにしていますが、コロンビアモントレイルが1番癖がないシューズだと思います。履き心地もいいので、僕たちトップランナーも使用しているほどです。
トレランを始めたい人向けに位置付けられているというか、ビギナーの人が履いていることが多いマルチタイプのモデルが人気なので、トレランをやっている人だったら誰しもが1足は持っているブランドですね。他のブランドはそれぞれの良さがありますが、コロンビアモントレイルは1番中間の位置にいるブランド。まずはコロンビアモントレイルのシューズを履いてみて、そこから自分に合ったシューズを探すのがいいと思います。
アスリートとしてだけではなく、マーケティング担当という〝社員〟としての顔も持つ
「コンスタントに結果を出していくことが大事」
――最後に、今後出場予定のレースと、今年の目標を教えてください
7月にイタリアで行われる『Dolomites Skyrace(ドロミテ・スカイレース)』と、その翌週にアンドラで行われる『Skyrace Comapedrosa』というレースに出場することになっています。8月にもフランスに遠征で行くのですが、そちらの方はUTMBの内の1レースで、会社としても重要度の高い大会です。その後は9月10日に蔵王(山形)で『アジア選手権』があって、10月は『ハセツネCUP』に出場予定です。どれに1番力を入れる、というよりは、全部のレースでコンスタントに結果を出していくことが大事かなと思っています。
――これは昨年と同じ流れなのですか?
そうですね、7月に2週間海外に行って、8月にフランスのシャモニーに行くというところまでは一緒です。ただ昨年はUTMBのCCC(101㎞)に出て力を使い果たしてしまい、9月、10月以降は全然走ることができませんでした(昨年はハセツネCUP途中棄権)。今年はそれに比べて距離も短いので、シーズンを通して走り切れたらと思います。ハセツネでは条件さえ良ければ自分の持っているコースレコードに挑戦したいですね!
――貴重なお話をありがとうございました。今後の活躍を期待しています!
プロフィール
上田瑠偉(うえだ るい)
1993年10月3日生まれ。長野県大町市出身。中学まではサッカーと陸上を両立し、3年時には都道府県対抗男子駅伝の長野県代表として全国優勝を果たす。駅伝の名門・佐久長聖高校に進学後は3年時にキャプテンを務めるも、3年間ケガに苦しんだ。早稲田大学在学時にトレイルランニングと出会い、初出場のレースで大会新V。以降、国内外のレースで優勝を積み重ね、現在最も注目を浴びるトレラン界のプリンス。
<主な戦績>
2014年 ハセツネ30k 優勝
2014年 日本山岳耐久レース(ハセツネCUP) 優勝(大会新)
2015年 CCC(UTMB) 年代別優勝
2016年 Gorge Waterfalls 100K(米) 優勝(当時大会新)
2016年 SKYRUNNING世界選手権 Combined準優勝
2016年 ユースSKYRUNNING世界選手権 U23優勝
2016年 CCC(UTMB) 準優勝
2017年 ハセツネ30k 優勝
2017年 Korea 50k 優勝