【2023年秋】トレランロングレースにおすすめのシューズ3選!トレラン専門店・Trippers店長が徹底解説
Nov 30, 2023 / SHOES
Nov 30, 2023 Updated
ランナーからの関心が年々高まっているトレイルランニング(以下、トレラン)。ときにフルマラソン以上の道のりを走るトレランにおいて、長距離レース向けのシューズが多く発売されています。
今回はロングレースにおすすめのトレランシューズ3種を徹底解説。トレイルランニング専門店『Trippers(トリッパーズ)』店長で、ご自身も数多くのトレイルランレースを走破してきた朝長拓也さんとともにお届けします。
長い距離を走るために必要な機能は?
岡田:今回は2023年秋、朝長さん注目のトレランシューズ。特にロング(長距離走)向けのシューズを紹介します。今回はロング向けなんですね。
朝長:はい、レースのカテゴリーだと90kmから100マイル(約160km)を想定しています。ただ、これはあくまでも目安として、90km以下の距離でも自分にとって長い距離と感じるレースに挑戦してみたいという方におすすめのシューズだと思っていただければ。
岡田:つまり長い距離、時間を走るうえでクッション性や快適性に優れたシューズということですね?
朝長:はい、今回はクッション性があるものや履いている際の快適性、そしてグリップ性に優れたものを3足紹介します。
さまざまな機能を詰め込んだ「AGILITY PEAK 5」
朝長:1足目はメレル『AGILITY PEAK 5』です。
岡田:先日100マイルのレースでMCをしていたのですが、このシューズを履いているランナーを多く見かけました。
朝長:本シリーズは人気のシューズですね。前モデル『AGILITY PEAK 4』よりも機能性が上がっているのに軽くなっており、アッパーのフィット感も良いので履きやすくなっています。
朝長:本シューズのアウトソールには『Vibram MEGAGRIP』を採用しており、濡れた岩でもガッチリと地面を掴んでくれます。加えて『Vibram TRACTION LUG』というプチプチとした細かいラグ(突起)もついているので、グリップ性は非常に高いです。
朝長:またソール部分には前足側3/4に『ESSロックプレート』という樹脂プレートが入っており、デコボコした地面からの突き上げを防いでくれるほか、接地時の安定感も出してくれます。アッパーも通気性が良くて、フィット感も良い素材で少しゆったりめにつくられているので、足幅の広い方におすすめです。
岡田:履き口の内側のクッションを見ても快適さを感じます。クッション性はどうですか?
朝長:他メーカーと比べると少し硬いクッションになっています。そのため安定感に優れていますね。重さは286gで、価格は税込19,800円です。これほど多くの機能を詰め込んでいるシューズの中では安いと思います。『Vibram MEGAGRIP』を使ってるシューズで2万円を切っているものはほとんど存在しないですね。
バランスの良い1足「THUNDERCROSS」
朝長:2足目はサロモン『THUNDERCROSS(サンダークロス)』。サロモンのラインナップのなかで、“CROSS”と名の付くシューズはグリップ性に優れており、ぬかるみなどの滑りやすいところに向いてるモデルです。
こちらのシューズはグリップ性も優れつつ、走りやすさもあるといったバランス型な1足です。サロモンのモデルだと『SENSE RIDE』シリーズと『SPEEDCROSS』シリーズのいいとこ取りをしたシューズだと言えます。
岡田:私もこの『THUNDERCROSS』をよく履いています。走りやすさもさることながら、アッパーがしっかりとしているのに通気性が非常によくて、履いていてもシューズの中があまり蒸れませんでした。
朝長:このシューズは前足部から足首周りまで同じ素材でアッパーがつくられているため、足首周りから砂などが入らない構造になっています。そのため路面の荒れたコースでも異物がシューズに侵入しにくいです。
朝長:アウトソールもラグがしっかりと付いており、1枚の素材が全面に張られているのでアウトソールの一部だけ剝がれてしまう心配もなく、耐久性も非常に優れています。
岡田:しっかりとしたラグが全体に付いているとグリップ性には期待できますね。
朝長:サロモンのシューズはメレルのシューズよりも幅がややタイトかなとは思います。足幅の広い方には、もしかしたらちょっときついかもしれません。
朝長:本シューズの重さは290g。価格は税込20,900円です。ソールの厚さが31mmで、先ほど紹介した『AGILITY PEAK 5』と同じくらいの厚さとなっています。
岡田:両シューズともにクッションのボリュームはありますが、見た目はシュッとしているシューズですね。
かかとのホールド感が心地よい「MTN RACER 3」
朝長:3足目はトポアスレティック(以下、トポ)『MTN RACER 3』です。
岡田:見た目が非常にかっこいいですね。デザインが他のシューズと少し異なる印象を受けます。
朝長:このシューズは足形に特徴的です。前足部がゆったり目につくられているのですが、土踏まずからかかとにかけてはかなりシェイプが効いてるので、履いてみるとカチっとしたホールド感を味わうことができます。
朝長:他メーカー・アルトラのシューズも前足部がゆったりとしたつくりなのですが、どちらかというトポのシューズの方が、土踏まずやかかとのつくりが細くなっています。そのためアルトラが合う方もいれば、トポが合う方もいるという印象です。お店などで両メーカーのシューズを試着すると、どちらのシューズが自分に合うか判断しやすいと思います。
朝長:このシューズの厚さは33mmとなっており、先ほどの2足よりも厚くなってます。またミッドソールの素材がややソフトなものとなっています。
岡田:今回の3種類のシューズの中で、このシューズのミッドソールが最も柔らかそうだと感じました。
朝長:アウトソールは『Vibram MEGAGRIP』を採用しているのでグリップ性は申し分ないです。またアウトソールがしっかりと全面に貼られているので、このシューズの耐久性も間違いないと思います。
岡田:かかと部分のシェイプが効いているからか、クッションのボリュームがあるのに見た目は軽快さを感じますね。
朝長:このシューズの重さは286gであり、他の2足とあまり変わりません。
岡田:個々に履き心地の違いもありますが、今回ご紹介した3足の中ではこのシューズが最も厚く、ミッドソールのボリュームがあるシューズなんですね。
朝長:価格は税込27,500円。正直トポのシューズは全体的に価格が少し高いですが、フィット感が非常に良いのでぜひ履いてみてほしいです。
新しいブランドのシューズを探している方や、今のシューズが「どうもしっくりこない」と思っている方は、もしかしたらこのシューズを履くと足がぴったりハマるかもしれません。
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トレランシューズのなかでもロングのレースにおすすめの3足。文字通り“山あり谷あり”なトレランを足元から支えてくれる、あなたにぴったりな1足と出会えることを願うばかりです。
ぜひ、朝長さんのレビューを参考にシューズを選んでみてください。
詳細情報
MERRELL|AGILITY PEAK 5
・価格:¥19,800(税込)
Salomon|THUNDERCROSS
・価格:¥20,900(税込)
TOPO Athletic|MTN RACER 3
・価格:¥27,500(税込)
【動画からご覧になる方はこちら】
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朝長 拓也さん
トレイルランニング専門店 Trippers 代表/ JAFTスポーツシューフィッター
2012年にトレイルランニングに目覚め、2017年にTrippersを立ち上げる。
※前職はアパレル企業で服の型紙を作るパタンナー
2018年トレニックワールド彩の国100mile 完走
2020年 KOUMI100 完走