トースターでソールを溶かしたのがきっかけ!? 「TORIN2.5」(アルトラ)をレビュー
Nov 30, 2016 / SHOES
Apr 26, 2019 Updated
みなさんこんにちは。シューズアドバイザーの藤原です。
今回はアルトラのTORIN(トーリン)2.5のレビューをご紹介します。
このシューズは「踵の厚みがない」というより前足部に厚みがあるシューズです。つまり分厚くとても平らなシューズ。
スタックハイト(ソールの厚み)は24mm。ゼロドロップ(前後差なし)だから、後ろも前も24㎜です。
例えば、アシックスのダイナフライトで踵部 25mmだからほぼ同じスタックハイト(ソールの厚み)ですが、こちらは前足部が17mmと傾斜があります。つまり前方方向に適度にバランスを崩していく構造なのに対して(前に進むとは前方方向への不安定感!)、この「トーリン2.5」は、傾斜構造にない代表格。そのため、意識的に走りだしの動作を考える必要があります。
傾斜がないシューズで前方に効率的に進むためには、接地ポイントや前傾具合をはじめとした“フォーム”を意識することになります。つまり、このタイプのシューズを履きやすいと思えた時には、着地のインパクトを効率的に推進力に変えられている状態だと言ってもいいでしょう。
もともとアルトラは、高校のクロスカントリーチャンピオンであったゴールデン・ハーパーという選手が、オーブントースターでシューズのソールを取り外して(溶かす?)、ゼロドロップソールを取り付けるカスタマイズをしたことからブランドをスタートさせています。彼は、踵の厚みがいらないとずっと感じていいたそう。ちなみにわたしは、トラディショナルに傾斜があるシューズでも、ゼロドロップシューズでも、どちらが正解ではなくて、どちらも正解だと考えています。なぜなら、結局は「スムーズに前に進む」という最終目的が一緒で、方法が違うだけだからです。
フォームを意識する際は「前傾」とよく言われますが、そうした体の傾きをどうしても作れないというランナーにオススメの一足です。うまく前傾ができないという場合、をれは要因が着地にあるケースが多く、体の傾きが作れないのではなくて体を起こしてしまうような強いヒールストライク動作をしているということが考えられます。そんな人はハーパーのようにゼロドロップを試してみてもかもしれません。
このゼロドロップは踵の厚みがないため、従来のシューズよりも踵に体重を預けることができません。つまり、間接に負担をかける動作を回避させられる構造にもなっています。
しかし、厚みがないわけではないというのがミソ。履いてみると踵がないという印象の後にすぐ、つま先がフワフワしてクッション性を感じるでしょう。トーリン2.5はアルトラの中でも、マキシマルスタイルパラダイム(スタックハイト31mm)というシューズの次に厚みがあるシューズですので、フォーム改善のパートナーとして是非お試しください。
わたしは、トラディショナルなシューズと交互に履くことを提案します。何故なら、慣れてしまえばどちらのフィーリングもすぐに薄れてしまうものだからです。交互に履くことで、毎回「おっ!」という新鮮な感覚があり、きっとフォームへの意識やランニングの楽しみを長続きさせてくれるはずです。
ランニングという単調な動作に、奥行を感じさせてくれるのもシューズの魅力の1つですね。