【最新版】話題の厚底レーシングシューズ7選!2022年箱根駅伝注目のシューズは?

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Runtrip代表 大森(左)とシューズアドバイザー 藤原岳久さん(右)

昨今、エリート選手から市民ランナーまで多くのランナーがレースで着用している『厚底レーシングシューズ』。特に2021年は各シューズブランドから注目モデルが登場した1年でした。

Runtrip Magazineでは以前にも厚底レーシングシューズの比較記事をお届けしましたが、今回はその後登場したモデルやアップデートされたモデルも含め『2021年最新版』としてシューズアドバイザー 藤原岳久さんと解説します。

■前回の厚底レーシングシューズ比較はこちら

藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わり20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、50歳になった現在も走るシューズアドバイザーです。

2021年に登場した注目モデルは?

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(左から)「FuelCell RC Elite v2」/ 「METASPEED Sky」/ 「ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2」/ 「ADIZERO ADIOS PRO 2」/ 「ENDORPHIN PRO 2」

大森:話題の厚底レーシングシューズについてシューズアドバイザー 藤原さんに解説していただきます。よろしくお願いします!

藤原:よろしくお願いします。

大森:こちらに5足の厚底レーシングシューズが並んでいますが、各シューズにどのような特徴がありますか?

藤原:はい。中央にあるのが、ナイキ『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2』ですね。キング・オブ・レーシングシューズとも呼べるほど、言わずと知れた王道シューズです。近年は『ヴェイパーフライ』が長距離界を席巻していましたが、2021年は多くの厚底レーシングシューズが登場しました。まずはアディダス『ADIZERO ADIOS PRO』シリーズ最新モデル『ADIZERO ADIOS PRO 2』です。

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アディダス「ADIZERO ADIOS PRO 2」

大森:初代『ADIOS PRO』から見た目がだいぶ変わりましたよね。履き心地は初代『ADIOS PRO』と『ADIOS PRO 2』の間にどのような違いがありますか?

藤原:『ADIOS PRO 2』は非常にヴェイパーフライに近い仕上がり。中足部の凹みにより軽量感もありますが、接地時に動きが出るようになりました。そのため、初代モデルの方が安定感を感じられます。『ADIOS PRO 2』は接地時の横振れを作り出しているので不安定さがあります。ランナー自身が横振れを制御しないといけないところがヴェイパーフライの構造と共通しています。

個人的には初代『ADIOS PRO』の方が好きなんです。世界的に見ても未だに『ADIOS PRO 2』ではなく初代『ADIOS PRO』を履いている契約アスリートがいるほどです。

大森:つまり、アスリートの中にも安定感を好む選手がいるということでしょうか?

藤原:そうですね。初代『ADIOS PRO』は非常に安定感とクッション性を感じます。しかし、揺れのある動きに変わったことで推進力は『ADIOS PRO 2』の方が感じられると思います。

あと、2021年のトピックスとしてはニューバランス『FuelCell RC Elite v2』も登場しました。他のモデルと比較しても遜色なく、さらに扱いやすいです。

大森:そうですよね。さらに、“厚底ビギナー”でも履きやすい走り心地を感じられました。

箱根駅伝に向けて注目の厚底シューズ

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藤原さんが箱根駅伝で台風の目になると予想するアシックス「METASPEED Sky」

藤原:それから、もうすぐ箱根駅伝がありますよね。箱根駅伝で台風の目になるシューズを紹介したいと思っていて、私はこれだと思いますよ。アシックス『METASPEED Sky』。

大森:おお! 『METASPEED Sky』! たしかに、駅伝シーズンに入りレースでこのシューズを着用する選手が増えてきていますよね。

藤原:はい。世界的な流れを見ても、ナイキの契約アスリートがアシックスへ変更する動きがありました。アスリートたちにとって『METASPEED Sky』が好感触だったのだと思います。その選手たちが結果を出しているので、2022年の箱根駅伝でも着用する選手が多いと予想しています。『METASPEED Sky』は先ほど話した初代『ADIOS PRO』にも似た、安定感と軽さを両立したシューズなんですよね。

大森:たしかにそうですよね。このシューズを履いて走ると、私も走りやすいと感じるほど安定性を感じました。

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サッカニー「ENDORPHIN PRO 2」

藤原:また、サッカニー『ENDORPHIN PRO』も2代目『ENDORPHIN PRO 2』が登場しました。今作はアッパーのみのマイナーチェンジ。前作『ENDORPHIN PRO』の非常に良い履き心地を引き継いでいます。価格も他の厚底レーシングシューズと比較するとお手頃な¥19,800(税込)です。

大森:たしかに市民ランナーのなかでも、愛用者が増えてますね! 前作のフィーリングが非常に良かったので、マイナーチェンジだったことを歓迎する雰囲気がありますよね。

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サッカニー「ENDORPHIN PRO+」

藤原:さらにこのシリーズはアスリートの声に応えた最上位モデル『ENDORPHIN PRO+』が登場しました。ENDORPHIN PRO+のレビューでも話しましたが、『ヴェイパーフライ』や『ADIOS PRO 2』に近いつくりに仕上げられています。

大森:接地時に揺れるような動きがあるということですか?

■ENDORPHIN PRO+のレビュー記事はこちら

藤原:そう。その理由はアッパーにあります。ソールユニットは『ENDORPHIN PRO 2』と同じですが、スパイクシューズのような薄いアッパー素材を採用しています。甲周りのサポートがなくなった分、接地時の揺れをより感じるようになりました。まさにスピードを出すためのつくり。箱根駅伝を目指すような学生ランナーも好みの走り心地だと思いますね。

大森:そうですね。アッパーの見た目からもサポートがない様子が伝わってきます。

藤原さん注目の規格外シューズ

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“規格外シューズ”とも称されるアディダス「ADIZERO PRIME X」

藤原:最後に紹介するシューズはこれ。アディダス『ADIZERO PRIME X』。

大森:規格外シューズ『ADIZERO PRIME X』!

藤原:そう、まさに規格外の超厚底シューズ。ミッドソールの厚さが50mm、5本骨状カーボンバー『エナジーロッド』とナイロンバー『エナジーブレード』を2層に配しています。世界陸連の規則で公認ロードレースは、ミッドソールの厚さ40mm以下のシューズのみ着用が認められているため50mmの『ADIZERO PRIME X』は規則に反した “イリーガルシューズ” 。私はこのシューズで下りの10kmコースを走ったら32分35秒でした!

大森:めちゃめちゃ速い!(笑)

藤原:実際のところ、着地時に強い衝撃が加わる下り坂では強い反発力をアドバンテージにできましたが、平地では扱いづらい印象がありました。しかし、このシューズは “規格外” というルールを逸脱したコンセプトにこそ存在意義があります。世界陸連が定めるルールに縛られず、アディダスが培ってきたテクノロジーが各所に散りばめられたモデル。この感覚を体験したい方に、ぜひおすすめしたいシューズです。

大森:そうなんですね! ぜひこの走り心地を体験していただきたいですね。

各シューズおすすめの選び方

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大森:藤原さんの解説をまとめると、私たち市民ランナーがレースで着用する場合は『ENDORPHIN PRO+』『ADIZERO PRIME X』以外の5足がおすすめということですね。

タイプ別に分けると、着地時に揺れを感じるタイプがナイキ『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2』、アディダス『ADIZERO ADIOS PRO 2』。安定性を重視したタイプはニューバランス『FuelCell RC Elite v2』、アシックス『METASPEED Sky』、サッカニー『ENDORPHIN PRO 2』という分類が分かりやすいでしょうか。

藤原:そうですね。揺れを感じるタイプは厚底レーシングシューズ特有の特徴を大きく感じられるモデル。自分の脚でブレを制御しなければなりませんが、よりスピードを出したいランナーへおすすめです。安定性重視のタイプはエリートランナーだけでなく、多くのランナーが短い距離から試していただきたいシューズです。

大森:そうですね。たとえば、レース後半で脚筋力を保てる自信がないランナーは安定性重視のシューズがフィットすると思います。一言に『厚底レーシングシューズ』といっても、そうした選び方をしていくことが大切ですね。ぜひ、藤原さんの解説を参考に選んでみてください。藤原さんありがとうございました!

シューズ詳細情報

1.ナイキ|ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2

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出典:nike.com

価格:¥26,950(税込)

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多くのシリアスランナーが着用する厚底カーボンシューズ
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多くのシリアスランナーが着用する厚底カーボンシューズ

2.アシックス|METASPEED Sky

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出典: asics.com

価格:¥27,500(税込)

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安定性が高く長い距離の使用におすすめのレーシングシューズ
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安定性が高く長い距離の使用におすすめのレーシングシューズ

3.アディダス|ADIZERO ADIOS PRO 2

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出典: shop.adidas.jp

価格:¥26,000(税込)

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5本骨状カーボンバー『ENERGY RODS』を搭載し、強い推進力を生み出すシューズ

4.ニューバランス|FuelCell RC Elite v2

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出典: shop.newbalance.jp

価格:¥28,600(税込)

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反発弾性が高いミッドソール素材『FuelCell』が採用され、カーボンプレートとの組み合わせにより推進力を発揮する厚底シューズ
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反発弾性が高いミッドソール素材『FuelCell』が採用され、カーボンプレートとの組み合わせにより推進力を発揮する厚底シューズ

5.サッカニー|ENDORPHIN PRO 2

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出典: abc-mart.net

価格:¥19,800(税込)

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反発性の高い素際『PWRRUN PB』をミッドソールに採用し、フィット感が向上したENDORPHIN PROシリーズ2代目
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反発性の高い素際『PWRRUN PB』をミッドソールに採用し、フィット感が向上したENDORPHIN PROシリーズ2代目

6.サッカニー|ENDORPHIN PRO+

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出典: abc-mart.net

価格:¥23,100(税込)

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アスリートの声に応えENDORPHIN PROシリーズの軽量化とスピード向上が追求されたレーシングシューズ

7.アディダス|ADIZERO PRIME X

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出典: shop.adidas.jp

価格:¥36,300(税込)

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厚さ50mmのミッドソールを搭載した“規格外”シューズ

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藤原 岳久さん
F・Shokai 【藤原商会】代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
藤原商会オフィシャルサイト

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