仲間と一緒に走るよりは一人で走った方がいい? 「脳機能」について専門家が解説
Oct 21, 2016 / COLUMN
Jun 02, 2017 Updated
仕事のできる人や、会社の経営者にランナーが多いといった話を聞いたことがあるかと思います。エグゼクティブだからランニングをするのか、それとも、ランニングをするからエグゼクティブに近づけるのか。今回は、そんなランニングの“隠れた効果”について触れてみたいと思います。
脳科学とリハビリテーションの分野の研究を行い、現在は、運動の視点から脳を鍛える、脳を若返らせることをテーマに活動をしている、書籍『走れば脳は強くなる』の著者・重森健太さん。
そんな重森さんが、「ランニングを一人で走る時と、団体で走る時の脳機能の違い」について同書で解説をしています。そもそも、皆さんは走る時は一人ですか? それとも、複数の仲間と一緒に走っていますか?
複数の仲間と走っていると会話が続いて楽しいので、いつもより距離が短く感じることもあるのでは。しかし、脳機能を高めるという点では、ランニングは一人で走った方が良いようです。
何よりの違いは、「ペース」にあるようです。
まず、その前に運動強度の説明を。
脳を効果的に鍛えるためには、「運動強度を意識する必要がある」と重森さんは語ります。やみくもにスピードをあげて走ったり、また、だらだらとゆっくりペースで走っていてもよくありません。脳機能を高めるためには“適切な基準”というものがあるのです。それが、運動強度。
「運動強度60~80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月」という基準で走ることが最も効果的と同書で紹介されています。
英国ケンブリッジ大学のある博士の研究によると、運動不足はアルツハイマー病の22%に影響し、1週間に3回、20~30%の有酸素運動で改善効果が現れるのです。他にも1日40分の有酸素運動を週3日行うことで海馬が大きくなったなど、様々な報告があがっているのです。
細かいことを言うと様々な設定があるのですが、同書でまずわかりやすい指標として、「運動強度60~80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月」をおすすめしています。
話を戻しましょう。
一人で走るか、複数で走るか。複数の仲間で走った時のデメリットは、この運動強度をキープできない点があります。皆と同じペースで走ると、いつもより少し早かったり、少し遅かったりと、何かともどかしいペースになりがち。
それでは、なかなかご自身の運動強度で走るのが難しくなってしまいます。ですので、脳機能を高めたい場合は、ぜひ、一人で走ってみましょう。
逆に、ストレス解消に楽しく走りたい場合や、まだ、自分のペースがはっきりしていなくて、ランニングを習慣化させる場合は複数の仲間と走ると良さそうですね。この辺り、使い分けてみてはいかがでしょうか。