【ナイキ】厚底シューズの履き分け方は?新作「ズーム フライ 4」など4足を比較
Dec 21, 2021 / SHOES
Mar 09, 2022 Updated
多くのランナーが履いているナイキの厚底シューズ。2021年12月には厚底シューズの新モデル『ズーム フライ 4』が登場し、さらに注目を集めています。自分に合う厚底シューズを探している方も多いはず。
今回はナイキの厚底シューズが気になる方に向けて、ラントリップお馴染みのシューズアドバイザー 藤原岳久さんにナイキの厚底シューズ4足の特徴や履き分けについて解説していただきました。ぜひ、シューズ選びの参考にしてみてくださいね。
藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わり20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、50歳になった現在も走るシューズアドバイザーです。
ナイキ厚底シューズ4足の特徴
大森:ナイキから新作『ズーム フライ 4』が発売されたばかりですが、改めてナイキの厚底シューズ各モデルの特徴を比較していきたいと思います。藤原さんよろしくお願いします!
藤原:よろしくお願いします!
大森:比較するシューズは『ズーム フライ 4』を中心に『ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2』、『エア ズーム テンポ ネクスト%』、『エア ズーム ペガサス 38』の4足です。特にレーシングシューズとして『ズーム フライ』と『テンポ ネクスト%』を履いたことがある方は多いのではないでしょうか。
藤原:そうですよね。私も『テンポ ネクスト%』と『ズーム フライ』を履いている方をよく見かけます。
履く人を選ぶ「ヴェイパーフライ」
藤原:さっそく、それぞれの違いについて話していきます。まず、『ヴェイパーフライ』はいわゆる “スーパーシューズ” です。反発力が強いので履きこなせる人を選びます。さらに、着地時に横に揺れる動きが起きるため身体を支えるための筋力が必要。自分の身体で行わなければいけないことはサポートがあるシューズよりも増えてしまいます。
大森:やはり、位置付けはエリート選手向けのレーシングシューズということですね。
藤原:そうですね。そのため、『テンポ ネクスト%』と『ズーム フライ』は廉価版というわけではなく、しっかりと役割があります。たとえば、これらのシューズのミッドソールは密度の高い素材『Reactフォーム』が配されて安定感を作り出しています。それに対して『ヴェイパーフライ』は最低限のサポートに留め、「安定性を自分で補うシューズ」です。
大森:なるほど! 『ヴェイパーフライ』は「自分でやることは増える代わりにスピードを出せるシューズ」。『テンポ ネクスト%』と『ズーム フライ』は「安定性は高いが、やや重さを感じるシューズ」ということですね。
「テンポ ネクスト%」と「ズーム フライ」の履き分け
藤原:『テンポ ネクスト%』と『ズーム フライ』の違いは、テンポ ネクスト%は前足部に『ズーム エア ポッド』が搭載されています。同じく『ズーム エア ポッド』を搭載している『エア ズーム アルファフライ ネクスト%』のトレーニング用という位置付け。また、カーボンプレートが搭載されている『ズーム フライ』は『ヴェイパーフライ』のトレーニング用と言っても良いシューズです。
大森:両モデル、上位モデルであるレーシングシューズを意識したつくりになっているんですね。ほかに大きな違いはありますか?
藤原:大きな違いはもう1つあります。『テンポ ネクスト%』はミッドソールの厚さが45mmのため、世界陸連が定める公認ロードレースで使用できる「厚さ40mm以内」のルールに抵触します。つまり、公認レースでこのシューズを履いた場合、失格になってしまうということです。
大森:『ズーム フライ 4』のミッドソールは39mmなのでギリギリ公認レースで使用できる厚さですね。
藤原:はい。とはいえ、市民ランナーの皆さんは公認大会以外のレースを走ることも多いと思いますのでご自身の感触に合わせてシューズを選んでみてください。『テンポ ネクスト%』は『Reactフォーム』・『ズームXフォーム』・『ズーム エア ポッド』の3つが複合的に搭載されています。どこで接地したら良いか捉えどころのないシューズではありますが、良いタイムで走れることが多いです。
一方、『ズーム フライ』はカーボンプレートと『Reactフォーム』の組み合わせ。非常に扱いやすいシューズです。履きやすさを重視するランナーは『ズーム フライ』がおすすめです。
大森:用途が似ている2つのシューズですが、こんなにも違うシューズだったんですね。ぜひ、足を通して両者の違いを体感していただきたいですね!
ベースとなるランニングシューズ「ペガサス 38」
藤原:『エア ズーム ペガサス 38』は、ガイドがありクッション性の高いデイリートレーナーです。私の見解では、前に紹介した3足はこのシューズを軽量化してレース仕様へ洗練させたシューズだと言えます。走り続ける時間と走るスピードによって必要な要素は変わります。ですから、マラソンを2時間台で走るランナーであれば『ヴェイパーフライ ネクスト% 2』、3〜4時間程度で走るランナーは『テンポ ネクスト%』と『ズーム フライ 4』、4時間以上のランナーには『ペガサス 38』という具合に選び方が変化していきます。
大森:まとめると「短く・速く」走るランナーは『ヴェイパーフライ ネクスト% 2』、「長く・ゆっくり」走るランナーは『ペガサス 38』が適している。その中間であれば、『テンポ ネクスト%』や『ズーム フライ 4』がおすすめということですね。
藤原:そうですね!
大森:用途や目的によって履き分けることは大切なことですよね。今回は特に『テンポ ネクスト%』と『ズーム フライ』の違いについての解説が興味深かったです。シューズを使用する用途やご自身の目標に合わせてシューズ選びをしてみてくださいね!
シューズ詳細情報
1. ズーム フライ 4
・価格:¥18,700(税込)
2. ズームX ヴェイパーフライ ネクスト% 2
・価格:¥26,950(税込)
3. エア ズーム テンポ ネクスト%
・価格:¥24,200(税込)
4. エア ズーム ペガサス 38
・価格:¥14,300(税込)
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藤原 岳久さん
F・Shokai 【藤原商会】代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
藤原商会オフィシャルサイト