【ミズノ】新作レーシングシューズ『ウェーブリベリオン プロ 3』『プロ LOW』徹底レビュー! シューズアドバイザーが解説する2足の違いは?
Jan 11, 2025 / SHOES
Jan 11, 2025 Updated
ミズノがレーシングシューズに搭載するSMOOTH SPEED ASSIST(スムース スピード アシスト)。かかと側に角度をつける独自構造のスーパーシューズとしてシリーズ化されている『ウエーブリベリオン プロ』の3代目モデルに加え、今回は新たに『ウエーブリベリオン プロ LOW』を同時発表。この2つにどのような機能性の違いがあるのか、使い分けができるか気になるところです。
そこで今回もRuntripお馴染みのシューズアドバイザー・藤原岳久さんに解説いただきました。藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わった期間は20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、現在も走るシューズアドバイザーです。
アングル角が異なる2足のレーシングモデル
大森:今回紹介するシューズはミズノの『ウエーブリベリオン プロ 3(以下、プロ3)』と、『ウエーブリベリオン プロ LOW(以下、LOW)』の2足です。ウェーブリベリオン プロと言えば、SMOOTH SPEED ASSISTと呼ばれる独特の形状が特徴ですが、今回はその角度が違う2種類が発売されました。
藤原:2足ともSMOOTH SPEED ASSISTを採用しつつ、異なったアングル角で搭載されています。ここは少しトリックですが、かかとの厚みはプロ 3が39.5mm、LOWが40mmと、数字上はLOWの方が厚くなっています。これは計測位置によるもので、プロ3は実際に一番厚いところだと60mm近くあります。
大森:明らかに40mm以内ではないですよね。
藤原:それがこのシューズ最大のトリックです。
大森:最厚部はプロ 3の方があるけど、公式ではLOWの方が厚いということですね。
藤原:その通りです。ちなみにドロップはプロ 3が4mm、LOWが4.5mmとなっていますけど、差は0.5mmなので、そこまで違いは感じません。
大森:今作ではこれまでとミッドソールの素材が変わったんですよね。
藤原:『MIZUNO ENERGY XP』に変わりました。最も反発弾性がある素材を厳選したそうです。
大森:それは気になりますね。多くのレーシングシューズで採用されている『PEBA』由来の素材ではないんですか。
藤原:PEBAではなく、ミズノ独自の素材のようです。プレートも他社ブランドと違いがあり、樹脂が多めのカーボン繊維強化プレートを使っています。ここもミズノのこだわりがあって、普通のカーボンはレバーの役割をして蹴り出し助力があるのですが、こちらはSMOOTH SPEED ASSISTの着地を安定させるために搭載しています。
大森:明確に役割が違うんですね。
藤原:確かに着地すると安定感を感じますよ。
大森:今回2つのタイプを出した意図が気になります。これは接地方法の違いで分かれているのですか。
藤原:そうですね。プロ 3はフォアフット、LOWはミッドフット接地が推奨されるでしょう。アングル角が緩いLOWの方が接地面が広くなります。
大森:かかとに近いところで接地する人はLOWがおすすめですね。
藤原:LOWはスピード的には遅めを想定していると思われますが、僕はこちらの方がスピードの切り替えが効いて走りやすいんですよね。接地面積が広く、3分30秒/kmで走ってみたのですが、とても走りやすかったです。
大森:LOWの方がスピードが出しやすい感覚ですか。
藤原:今までのウェーブリベリオンプロはペースを上げたい時、スピードの切り替えにラグがある感覚があったのです。良い意味で一定のペースに乗っかってしまうのですよね。LOWだと「行こう」と思った時に素早く切り替わえい、スピードを出すことができると思います。
大森:こちらの方が記録を狙うには良さそうですか。
藤原:そうですね。いわゆる多くのスーパーシューズのようなレバーが効く感じですね。
藤原:プロ 3の特徴が強すぎたため、使いやすさがあるLOWを出したという面もあると思いますね。
大森:概念が新しいですからね。
藤原:プロ 3は履いたらスタブロ(※短距離で使用するスターティングブロック)に乗っているような感覚です。
大森:なるほど。陸上部だった人には理解できますね。
藤原:フォアフット気味に足がついている状態で、速いスピードを想定しているアングル角にしていますね。
2足の使い分け方法とは?
大森:2足ともふくらはぎの伸張を軽減させてくれる機能が特徴ですが、僕みたいにヒールストライク(かかと接地)気味に接地する人にはLOWの方が良いでしょうか。
藤原:実はこれが逆だなと感じました。LOWは見た目以上に角度がついているので、逆に厚みがあるプロ 3の方がかかとから接地しやすいです。
プロ 3はまだ使い慣れてないかもしれないけど、使い方としてはフォアでは走り切れないので、角度がない真ん中あたりをついてクッションを感じるような走り方がしっくりきますね。スーパーシューズを履いた時に、ふくらはぎからやられるという経験がある方は良いと思います。
大森:確かにリベリオン プロは前作を履いてみたときに、そこまで違和感を感じませんでしたね。
藤原:下の台形の部分を狙っていくと、60mmの厚みがあるのでLOWよりしっかりクッションを感じられます。ミズノさんとの見解とは逆になってしまうかもしれませんが、意外とロングで使いやすいんじゃないかと思いますね。
大森:確かにそれは新しい考えですね。
藤原:でも、これはメーカーの開発担当者の方にも伝えてありますから(笑)。
大森:プロ 3は一定のペースで押していく方が使いやすいんですかね。
藤原:そうですね。もう少し使い慣れてみたいです。
フィット感は抜群! ソックスの選択や試し履きを推奨
大森:フィット感はいかがですか。
藤原:ヒール部分に縫い目があるので、ソックスは少し気を付けて選ぶと良いと思います。
大森:丈が少し長めのソックスを選ぶと解決しそうですね。
藤原:そうですね。履き直してみたら問題なかったです。あとSMOOTH SPEED ASSISTの特性で、足が前に行く感じがあります。フィット感が良くても足が前に動いて、指先があたるという時は少しサイズを上げることも考えてよいと思います。
大森:それはどちらもですか。
藤原:特にプロ 3の方がその傾向が強めではありますね。ふくらはぎの伸張を抑えるメリットのもらう代わりに、サイズ感の調整はしてもらうと良いですね。
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他のブランドとは一線を画した形状と機能を搭載してミズノのスーパーシューズから出た2足。自分の走りや距離に合わせて、最適な方を選択できることで、今後より多くのランナーからを支持されそうです。
詳細情報
ミズノ|ウェーブリベリオン プロ 3
・価格:¥29,700(税込)
ミズノ|ウェーブリベリオン プロ LOW
・価格:¥29,700(税込)
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藤原 岳久さん
FS☆RUNNING(旧藤原商会)代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)