薬膳の専門家が指南「レース中にどうやってエネルギーを持続させるか」
Dec 11, 2018 / FOOD
Apr 26, 2019 Updated
こんにちは! スポーツビューティアドバイザーの橋本ワコです。
最新ウェアのスタイリングやUVケア、スポーツメイクアップに関して、紹介していきます。
週末ごとにフルやハーフのレースが目白押しとなるこの時期、皆さまのコンディションはいかがでしょうか。
さて、私、この春に、一般社団法人薬膳セラピスト協会認定の薬膳セラピスト®になりました。この協会は『食によって自分自身の心身を健やかに保つ』という薬膳セルフケアの考え方を広く世の中に広め、より多くの方の健康の実現をサポートする活動をしています。私は資格取得後も薬膳の勉強を続けています。
この薬膳。スポーツとはあまり関係がないと思われる方も多いかもしれませんね。即効性がなさそうだし、面倒そう……。薬膳は、人それぞれの体質を考え、日々続けることで身体への効果を期待できるものなので、レースや練習の前後はもちろん、レース中でも簡単に取り入れることができて、コンディションを高めることもできるのです。
今回は、薬膳セラピスト協会の代表で、薬膳を知り尽くし、テレビやメディアでも活躍中の薬膳料理家・阪口珠未(すみ)先生に、薬膳の知識がない方でも、レースで活用できる薬膳のノウハウを教えていただきました。
本場中国では、オリンピッククラス級の選手でも薬膳!
阪口先生は、1990年代に北京に留学し、『北京体育大学(旧中央体育学院)』で語学を勉強していたそうです。ここはオリンピックを目指す選手やオリンピック選手の学生が多く在学し、70人以上のオリンピックメダリストを輩出しているスポーツの名門大学。大学では、中医学の先生が健康のケアをしてくれる医務室が完備され、選手が記録を出すために漢方を活用している様子を見てきたそうです。
1993年ごろ、女子中距離種目の世界記録を相次いで更新した馬(マー)軍団は、漢方を活用して世界的に話題に。それだけ、中国では漢方への信頼が厚いんですね!
レースでは、いかにエネルギーを持続できるか? レース前とレース中に大事なのはホキ! ホキってなに?
マラソンのレースで大事なポイントは、いかにエネルギーを途中で切らさず、持続するかです。ここで大事になってくるのがホキです。漢字で書くと『補気』(ほき)。薬膳では、エネルギーチャージのことをこういいます。文字通り、『気を補う』食べ物や飲み物を積極的にとりいれると効果的と言われています。
ではここから具体的な『補気』の食材のお話です。
1.レース前のエネルギーチャージ「補気」の代表的な食材
皆さまもご存知の、以下のような食材がエネルギーチャージをしてくれます。
・ナッツ類(くるみ、アーモンド、マカダミアンナッツ)、なつめ、クコの実
・豆類(黒豆、豆腐)
・穀類(白米、玄米)
・ドライフルーツ
・きのこ類
・消化の良い肉類(鶏肉、脂身のない赤肉)、魚介類
ナッツや黒豆、ドライフルーツなどはコンビニで手に入りますね。レースの数日前から、おやつなどで意識的に摂ることができそうです。また、きのこ類や豆腐などは遠征先の居酒屋でもメニューにありそうですね! またカーボローディングを兼ねて、炭水化物であるごはんを積極的に食べるのもエネルギーチャージになります。
2.レース前、レース中のドリンク
レースの2日前くらいから1日に2~3回摂取。レース中に摂取して、エネルギーを持続させることもできます! エネルギーが切れないスペシャルドリンクをご紹介しますね。これらのドリンクはすべて、ウコギ科の植物が使われています。ウゴキ科の植物はパワーチャージに特別な働きがあります。
・高麗人参茶
皆さんも聞かれたことがあるのでは? 高麗人参のお茶です。エネルギー持続させ、疲労回復効果が高いお茶です。粉末をお湯に溶かして。Webなどでも簡単に入手できますが、あまり安すぎるものは要注意。
・西洋人参烏梅(ウバイ)
こちらは特に男性向け。血圧が高い人や暑がり、汗の量が多い人にぴったりです。「汗は『タダ』ではありません」と阪口先生。汗をかきすぎると体力を消耗させ、力が持続できません。収れん効果があり、汗の出すぎを防ぎます。スポーツドリンクに、西洋人参烏梅をプラスするとスペシャルドリンクになりますよ!
・五加参(ゴカジン)
こちらは、女性なら40代以上、男性なら50代以上の人向け。年齢を重ねてきた人のエネルギーチャージ! 以前に比べて疲労が抜けにくい、故障しやすい、関節痛がある人に。予防を兼ねた飲み物です。
また、おなかの状態が悪いと力が出ないので、レース前夜は、きのこ汁やわかめスープ、寝る前の甘酒(麹ベースのもの)をとりいれると整腸作用が期待でき、効果的!
3.レース後の身体を労わるには?
レース終了後は、身体全体が緊張状態に。身体を元の状態に戻すため、胃の働きをスムーズにする必要があります。具体的には、以下のような食材がおすすめです。
・薬味(生姜、ネギ、大葉、パクチー)、バジル、ローズマリー、ミントなど
薬味やバジルなど、シソ科のものは胃腸の働きを整え、リラックス効果があります。
・キャベツ
胃腸の働きを高める代表的な食材。打ち上げの居酒屋なら、コールスローサラダなどで。
・梅干し
胃腸の働きをアップしてくれる梅。体力を消耗させないようにする効果も期待できます。
・汁物
汁物にすると、消化しやすく、吸収もしやすくなります。薬味やキャベツなどが入った汁物なら消化もよさそうです。私は鶏の手羽先やキャベツ、ニンジンなどを煮込んだスープに、生姜やネギなどの薬味を沢山入れて食べるのが大好きで、大量に作っては冷凍しておき、走った後に解凍していただいています。
皆さまも、賢い食事を! そして、楽しさ無限大のラントリップを!
阪口先生、ありがとうございました!
阪口珠未プロフィール
株式会社漢方キッチン代表。国立北京中医薬大学提携 日本中医薬大学講師。
文科省国費留学生として、北京中医薬大学に中医学を学び、同大付属病院にて、臨床、サッポロビール合資ホテル『天橋賓館』薬膳レストラン『時珍苑』で料理を学ぶ。帰国後、漢方薬店にて漢方カウンセリングと薬膳喫茶の経営に関わる。
『おいしく、カラダとココロをリリースする』をテーマに、1999年株式会社漢方キッチン設立。東京恵比寿にて薬膳スクールと薬店を主宰。清代の西太后をはじめとした宮廷薬膳を研究。企業や自治体でコンサルティング実績も多い。著書に『西太后のアンチエイジングレシピ』「毎日使える薬膳&漢方の食材事典」などがある。
旅とアウトドアが趣味。雑誌『キャンプカーマガジン』の編集者も務める。
■阪口珠未先生のオフィシャルサイト: http://kanpokitchen.com/