アシックスを代表するシューズ「ターサー」の歴代モデルと特徴
Apr 09, 2020 / SHOES
Apr 09, 2020 Updated
アシックスのランニングシューズといえば、『ゲルカヤノ』や『GT-2000』など、ランナーにお馴染みのシューズを思い浮かべる方も多いのでは。最近では、走行効率を追求したシリーズの『メタライド』や『グライドライド』、Runtrip Magazineで “ポンポン系” シューズとしてご紹介した『NOVABLAST』などが登場し、注目を集めています。
学生時代に陸上競技に取り組んでいた方、目標タイムを持ってシリアスに走られてきた方には、『ターサー』シリーズも馴染み深いモデルの1つですよね。最近では、厚底シューズがランニングシューズのトレンドとなっています。長年かけて集めた日本人の足のビッグデータから、よりフィットすることを追求して作られたアシックスランニングシューズ『ターサー』。
今回は、ターサーが初代モデルからアップデートしてきたものや現在のモデルの特徴についてお伝えします。
目次
スピードを求めるシューズ「ターサー」シリーズの歴代モデル
1983年に初代モデルが登場した『ターサー』シリーズ。ターサーのネーミングは「疾風のごとく走る “虎” になれ! 」のコンセプトから『TIGER タイガー』と『RACER レーサー』を組み合わせて作られた造語(アシックス公式Webより)なのだそう。現在発売されているシューズには、シュータンにつけられた靴紐を通すシューレースループに “虎走” の文字が刺繍されています。
1984年には、フラットソールが一般的だったランニングシューズから、ストライド走法にフィットするようにソール中央部を湾曲状に抉った『スプリングミッドソール』構造を採用した『ターサーSPS』が登場。また、ランニングシューズに『成型EVA』ミッドソールが初めて採用されたモデルでもありました。
それから37年、常に進化し続けてきた『ターサー』シリーズ。アシックスの公式サイトには、歴代のモデルが発売年とともに紹介されています。
ターサーを履いて走る感覚が好きで、歴代モデルを履き続けているというランナーも多くいます。それだけ、履き心地にこだわりを持っているランナーが多いということですね。ナイキを筆頭に厚底シューズがトレンドになるなど、移り変わりの激しいランニングシューズのラインナップのなかで、これほど長きに渡って進化し続けているのは、アシックスが日本人の足を研究し、開発を続けてきたからこそでしょう。
廃盤になってしまった人気モデル「ターサージール」
ターサージールシリーズ
2012年に登場し、6作に渡りアップデートを繰り返して登場したターサージール。市民ランナーにも、速いスピードで走る際のトレーニングシューズとして、レースを走る際の勝負シューズとして履いている方は多いのではないでしょうか。前シリーズの『ターサーブリッツ』シリーズと比較すると、よりレーシングに適したシューズにアップデートされました。かかと部には衝撃吸収素材『αゲル』を採用。アウトソール前足部には、キック時のロスを軽減する『DUOソール』が採用され、アッパーには、シューズ内の温度上昇を抑え、通気性にも優れるメッシュが使用されています。
現在、ターサージールシリーズは廃盤となり、後半にご紹介する後継作『ターサーエッジ』が展開されています。
ターサージール6
ターサージールシリーズ、最後のモデルとなるターサージール6。『ターサージール』シリーズ6作の中でも、軽量化が施され、レーシングシューズとしての要素が強くなったモデル。前作のターサージール5と比較し、大きく異なる点は、アッパー素材が『Adaptメッシュ』と呼ばれるフィット性と通気性を追求した素材に変更されたこと。前作まで採用されていた、シューズ内側の側面にあった補強材(側面にあるラインの意匠)がなくなりました。他にも、あらゆる部分のデザインが削ぎ落とされ、軽量化されました。また、Adaptメッシュにより、フィット感がアップして、締め付けられる感覚がなくなりました。
ジールの後継作「ターサーエッジ」の実力
ターサージールシリーズの後継作として、2019年8月に登場した『ターサーエッジ』。ターサーエッジを紹介しているアシックスの特設ページには『変わらない信頼感。進化した加速感。』というメッセージが掲げられています。
ターサーエッジの特徴
ターサーエッジには、アウターソール外側のフラット構造、ミッドソール全面のFlyteFoam Propel、ソール底面のプロパルジョンプレートが搭載され、優れた反発性を発揮。足が路面に接地した際の力を推進力に変え、なめらかな走り心地とスピードが生み出されます。またアウターソール中足部には、シューズのねじれを抑制するトラスティックが配されています。
日本人の足に合わせて作られた代表作「ターサージャパン」
ターサーシリーズのフラッグシップモデルとして、2000年の登場以来、変わらない姿でランナーの足を支え続けてきた『ターサージャパン』。登場から約20年、全モデルが日本国内で生産されてきました。そして、一貫して変わらないのがシューズのラスト(靴型)。ターサージャパンのラストは、初代から変わらずに展開を続けてきたそうです。ターサージールの足囲が比較的細い作りに対して、ターサージャパンは緩い作りになっています。
ミッドソールには、弾性の高い『SpEVA』が採用され、高いクッション性と反発性を発揮。かかと部には衝撃吸収素材のαゲルを使用。アウトソールの前足部には、キック時のロスを軽減するDUOソールが採用され、シューズ内の温度上昇を抑え、通気性にも優れるメッシュが採用されています。
シューズも様々なトレンドがある中で、ブレずにシリアスランナーの走りを支えて来た『ターサージャパン』は、まさに日本人の足や走りに合わせて作られてきたシューズといえそうです。
駅伝ランナーの闘争心を表現した「TENKA」シリーズにもラインナップ
アシックスが頂点を目指す駅伝ランナー向けに展開している『TENKA』シリーズは、闘争心をイメージした赤色のスペシャルグラフィックデザインに包まれたモデル。TENKAシリーズには、レーシングシューズのソーティーやターサーの他、ランニングウェアなどがラインナップされています。ターサーシリーズは、最新作『ターサーエッジ』からTARTHEREDGE TENKA(ターサーエッジ テンカ)が登場。大事なレースで履く “勝負シューズ” として、レース本番に向けた気持ちを高めていくトレーニングシューズとして、燃える炎を想起させるようなターサーエッジ テンカで、普段よりペースアップして走れそうですね。
足幅がスリムなランナーに合うモデルも展開
ここまで『ターサー』シリーズから展開されているモデルをご紹介しましたが、足の幅など「自分の足にフィットするのかな……」と悩む方も多いはず。ターサージャパンをご紹介した際にもお伝えしましたが、ターサーエッジはレーシング向けモデルのため、足幅が比較的狭いつくりになっています。そのため、足幅が狭い方や標準の方にとっては、ズレる感覚なく走れると思います。
一方、足の幅が広い、とても幅が狭い方にとっては、フィットしない可能性もあります。そんな方のためにターサーエッジにはウイズ(足囲)がワイド、スリムなモデルも展開されています(ターサージャパンは標準サイズのみ展開)。足幅が気になる方は、ぜひスポーツショップなどで実際に足を通して、どのモデルが自分の足にフィットするか試してみましょう。
42.195kmという長い距離を走るフルマラソンでは、ランニングシューズのフィット感がパフォーマンスにも大きく影響します。フィットしているシューズで走るからこそ、良い結果に結びつきます。ぜひ、フィットするモデルを探してみてくださいね。
ターサーシリーズのレビュー。愛用しているランナーの声も
Runtrip Magazineでは、シーズンごとにスポーツショップの店員さんがおすすめするランニングシューズをご紹介していますが、こちらの記事でターサーエッジが登場しています。ぜひ、シューズ選びのプロであるスポーツショップの店員さんのレビューも参考にしてみてくださいね。
また、SNSなどでターサーシリーズのシューズを履いているランナーのレビューを見てみると「靴底が薄く、軽量でとても走りやすい」「DUOソールによる接地時の “カツカツ” と鳴る音や感触が好き」という声が多くありました。薄底で反発があり、スピードが出やすい反面、走力がシューズの性能に追いついていないと「長い距離履きこなせない」「膝を痛めてしまう」というランナーもいます。自分の走力を見極めた上で、ターサーシリーズを履いてみることをオススメします。
レース本番で履くシューズもレースに向けた日々のトレーニングで履くシューズも、自分の足に合ったシューズを履きたいもの。
ぜひ、ランニングシューズ選びの参考にしてみてくださいね。
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