【女性ランナー必見】その不調、睡眠不足が原因かも? 女性と睡眠の関係について解説
Jul 20, 2025 / COLUMN
Jul 20, 2025 Updated
ランニングに勤しむなか、睡眠不足や慢性的な疲労感を覚えている人は少なくないでしょう。とくに女性ランナーの場合、仕事や家事、育児などの役割が重なり、睡眠時間の確保が難しくなりがちです。しかし睡眠不足は単なる眠気だけでなく、さまざまな体調不良を引き起こす可能性があります。
パラマウントベッド睡眠研究所・大槻朋子さんによると、体調不良の原因は睡眠不足が影響している可能性があるとのこと。本稿では女性の健康課題解決に特化した『フェムテックプロジェクト』を担当する大槻さんの解説をもとに、女性と睡眠の関係についてお届けします。
日本女性の睡眠不足は世界最低レベル?

OECDが発表した各国の睡眠時間比較データによると日本人の睡眠時間は非常に短いという結果が出ています。OECD加盟国の平均が8時間程度であるのに対し日本人の平均睡眠時間は7時間以下であり、各国の中で最も短時間です。
さらに注目すべき点は睡眠時間の性差。韓国以外のOECD加盟国は女性の方が男性よりも睡眠時間が長いのに対し、日本は女性の方が睡眠時間が短いという結果が出ています。大槻さんは「生物学的に見ると女性の方が男性よりも睡眠時間を必要とする生物だと考えられている」と話しており、かなり深刻な状況にあるでしょう。
ただ興味深いことに、1960年代の日本人の睡眠時間は現在より1時間ほど長かったという結果も出ています。この50年間で睡眠時間が短縮した原因は、人類の進化によるものではなく社会環境の変化。つまり意識的に改善することで、睡眠時間を回復させることは十分に可能なのです。
女性のライフステージと睡眠の変化
女性は男性に比べて、ライフステージによって体の状況が大きく変化します。思春期、成熟期、更年期といった各段階で、抱えやすい健康課題も異なります。もちろん睡眠に関しても、このライフステージの変化に大きく影響を受けると大槻さんは話します。
思春期の変化が睡眠リズムに影響
思春期の女性は、月経周期の不安定さや月経痛などの悩みを抱えやすい時期。睡眠に関しても生物学的な変化が始まります。
思春期になると睡眠のリズムが後ろ倒しになりやすく、朝起きるのが困難になりやすいとのこと。これは単なる怠惰ではなく、生物学的な変化によるものと大槻さんは話します。
親としては子どもの夜更かしや朝の寝坊を心配するかもしれませんが、思春期を迎えた体にとって、より自然なリズムであることを理解することが大切です。
20代〜30代は活動期による睡眠不足
20代から30代の女性は、いわゆる性成熟期と呼ばれる活動的な時期。この時期の睡眠不足の主な原因は、仕事への意欲や自分のやりたいことに時間を割くことにあり、「眠れない」のではなく「寝ていない」状態が多く見られます。
そんな性成熟期の注意すべきサインとして「生理痛がいつもより重い」「PMSの症状が悪化している」「午前中に眠気を感じる」といったものが挙げられます。「しっかりと睡眠を取っていれば、午前中に眠気を感じることはない」と大槻さん。これらのサインが見られた場合、睡眠時間を見直すことが推奨されます。
夜間の十分な睡眠が取れない場合、大槻さんがおすすめするのはパワーナップ(仮眠)の活用。午後2時までに20分以内の仮眠を取ることで、午後のパフォーマンスを向上させることができると話します。
30代後半〜40代は睡眠時間の工夫が必要
30代後半から40代は、多くの人が仕事だけでなく育児や家事といった役割を抱える時期。自分のことよりもパートナーやこどもといった他者のことを優先せざるを得ず、睡眠時間の確保が物理的に困難になります。
20代や30代前半までは睡眠不足でも何とかなったものの、35歳を過ぎると睡眠不足が日中のパフォーマンスに影響するようになる人も多くいるでしょう。
大槻さんによると、まだ幼いこどもがいる人は「こどもと一緒に早い時間に寝て、朝早く起きる」という生活パターンが効果的。また忙しい中でもリラックスする時間を確保することが重要であり、アロマオイルといった「香り」を活用したリラクゼーション法など睡眠の質を高めるために非常も有効だと話します。
40代後半〜50代は更年期の睡眠トラブルに注意
45歳頃から始まる更年期は、女性ホルモンが大幅に減少する時期。この時期には7割以上の女性が何らかの不眠症状を経験するというデータもあります。
更年期の睡眠トラブルは決して珍しいことではなく、多くの女性が経験する自然な現象。若い頃より眠れなくなったとしても、焦る必要はありません。大槻さんによると、年齢を重ねると睡眠時間が自然と少なくなる傾向にあるとのこと。日中の体調や活動状況が元気ならば過度に心配しなくても大丈夫だと話します。
睡眠を見直したい人におすすめの手帳とは?
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紙面では自分の睡眠をチェックできる項目が記されているほか、前述した睡眠・女性ホルモンの変化についてもまとめられています。手軽に始めることができる、自身の健康を見直すことのできるヘルスダイアリーです。「さっそく自分の睡眠を見直したい」と思った方はぜひチェックしてみてください。
女性ランナーにとって睡眠は単なる休息ではなく、パフォーマンス向上と健康維持のために重要な要素。日本の女性の睡眠時間は世界最低レベルにありますが、これは社会環境の変化によるものであり、意識的な改善により回復させることが可能です。
自身のライフステージに合わせた睡眠方法や対策を取り入れることで、より充実したランニングライフを過ごせるようになるはずです。
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