暑熱順化・サウナ・水分補給……医師ランナーが解説!夏のランニングで意識したい熱中症対策法とは?
Aug 05, 2026 / HEALTH
Aug 05, 2026 Updated

目標レースに向けて暑い時期もトレーニングを続けたい一方で、熱中症に不安を感じるランナーも多いのではないでしょうか。今回は、医師として働きながらマラソンに取り組む塚崎さんに、夏のランニングで知っておきたい熱中症対策や暑熱順化、水分・ナトリウム補給について伺いました。

塚崎さんは、ランナーが身体の仕組みを理解し、自らパフォーマンスを設計できるよう、Instagramアカウント「Medical Run Design」を通じて、医学的な観点から情報を発信しています。
塚崎さんが大切にしているのは、速さだけを追い求めるのではなく、正しい知識に基づいて適切に走り、ランニングを健康につなげること。本記事では、暑さと上手に付き合いながら、安全に走り続けるためのポイントを紹介します。
塚崎さんが大阪マラソンで気づいた「汗の塩」

暑さに備えるうえで鍵となるのが、身体に熱をためにくくし、熱を逃がしやすくする「暑熱順化」。具体的には、発汗量の増加や血流の最適化によって、深部体温の上昇を抑えるなど体温調節機能を高める変化を指すと塚崎さんはいいます。

塚崎さんが暑さへの備えを改めて意識するきっかけになったのは、2026年2月の大阪マラソンでした。3時間20分でのフィニッシュを目標に、ハーフ地点までは想定したペースで進んでいたものの、30km付近から日差しが強まり暑さを感じたそう。最終的には3時間45分でゴールしました。
レースを振り返り、後半にペースを保てなかった一因として暑熱順化の不足を挙げた塚崎さん。その手がかりとなったのが、走り終えた身体に多く付着していた塩でした。

塚崎さんによれば、暑熱順化が進むと、汗腺でナトリウムを再吸収する働きが高まり、汗の塩分濃度が下がるとのこと。そのため、走ったあとに身体に残る塩も少なくなるといいます。

大阪マラソンで見られた自身の状態から、暑熱順化が不十分だったために発汗量が足りず深部体温を下げきれなかったことに加え、ナトリウムの再吸収も進んでいなかった可能性があると塚崎さんは分析します。
暑熱順化の目安は約2週間|「ランニング直後にサウナ」という選択肢

暑い環境で走ると、身体は熱を逃がすために皮膚への血流を増やします。その影響で、ほかの部分を流れる血液が相対的に減り、心拍数が上がりやすくなるそう。

そこで重要になるのが、血液の液体成分である血漿量を増やし、循環する血液量に余裕を持たせること。体液の循環が崩れにくくなり、暑い環境でも身体へかかる負担を抑えやすくなるといいます。塚崎さんは、この変化を「血液のタンクを大きくする」と表現します。

暑熱順化にかかる期間の目安は約2週間。ただし、暑い環境で無理に運動を続けると熱中症のリスクが高まります。

そこで塚崎さんが順化の促進に有効な方法として挙げるのが、ランニング直後にサウナへ入る「追いサウナ」。途中で暑さを感じたら外へ出て休む、サウナの代わりに入浴に置き換えるなど、体調に合わせて負荷を調整しながら取り入れるようアドバイスします。



60分を目安に「水」と「スポーツドリンク」を使い分ける

暑熱順化のほかに、熱中症への備えとして塚崎さんが挙げるのは日頃の食事の見直しです。普段の食事にみそ汁を加える、梅干しを取り入れるなど、日常から「ナトリウム」を不足させないことが大切だといいます。

ランニング中に飲み物を摂取する基準は、運動時間が1つの目安になるそう。60分ほどであれば水で足りる場合が多く、1時間を超えて走るときは、ナトリウムも補えるスポーツドリンクを選択肢に挙げます。

走り終えたあとに多くの水分を失ったと感じる場合は、経口補水液を摂取することも一案とのこと。ただし経口補水液はナトリウム量が多いため、短時間に大量摂取することは必ずしも適切ではないと話します。

暑い時期も安全に走り続けるためには、暑熱順化を促すとともに、運動時間や発汗量に応じて水分・ナトリウムを補給することが大切。身体の反応に目を向けながら、無理のない範囲でトレーニングを進めていきましょう。
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