スピードを引き出す“中厚底”とは?ショートディスタンスで活躍するレースシューズ3選
Jul 20, 2026 / SHOES
Jul 21, 2026 Updated

厳しい暑さが続く夏は、長い距離を走るよりも短い時間でスピードを鍛えるトレーニングが適しています。マラソンシーズンである秋冬に向けて、この時期に取り組む5kmや10kmのスピードがレースシーズンの走りを大きく左右するでしょう。
そんなショートディスタンス(短い距離)のレースに向けて注目したいカテゴリーが「中厚底」シューズです。薄底のダイレクトな接地感と厚底特有の推進力といった、両方の機能性を味わえることが、この中厚底シューズの面白さです。
こちらの記事では、シューズアドバイザー藤原さんがショートディスタンスレースにおすすめのシューズを3足紹介します。自己ベストを狙いたい方は、ぜひチェックしてみてください。
いま最も熱いのは“中厚底”。ランナーの力を引き出す一足

ショートディスタンス向けのシューズといえば、かつては足が地面に近い薄底モデルが主流でした。足で地面を捉え、素早く反応するためには、薄いソールが適していたからです。一方、近年はフォーム素材やプレートの技術が進化し、クッション性を備えながらも、レスポンス性の高いレーシングシューズが増えています。
「薄底の良さは接地感にあります。ただ、今は適度なクッション性を備えながら、接地と足の動きを合わせやすいシューズがあります。今回紹介する3足は、そのバランスがいいモデルです」と藤原さんは話します。
最大40mmのスタックハイトを生かすマラソン向けのスーパーシューズに対し、今回の3足はソールの厚さを抑えた設計です。
高ピッチで駆け抜けたい方には『アディゼロ タクミ セン 11』

駅伝やロードレースで支持されてきた『アディゼロ タクミ セン』シリーズ。11代目は、反発性に優れた『LIGHTSTRIKE PRO』ミッドソールと、グラスファイバー製の5本指ロッド『ENERGYRODS 2.0』を組み合わせています。
ヒール33mm、前足部26mmという厚みを備えながら、軽快な接地感を得られることが特徴です。前作よりも柔らかくなったフォームにより、リズムよく足を回転させる走りと相性が良いです。
「200mのレペティションのような短いトレーニングで、とても気持ちよく走れます。アディダスで短い距離を走るなら、僕はこのシューズを選びます」と藤原さん。
速いピッチで足を置くように走るランナーや、1マイルから5kmのレースを中心に楽しむ方におすすめです。5km以上の距離でより厚いクッション性を求める場合は、『アディゼロ アディオス プロ』シリーズとも履き比べてみるとよいでしょう。
スピードを最大限に引き出しやすい中厚底『ヴェイパーフライ 4』

2足目は、ナイキの『ヴェイパーフライ 4』です。
短い距離では『ストリークフライ』をイメージするかと思いますが、藤原さんがあえて選んだのはヴェイパーフライでした。『ストリークフライ』が薄底・スパイクに近い“素の走り”を引き出す一足なのに対し、『ヴェイパーフライ 4』はクッションと推進力を備えます。
「最初は短い距離には少し厚いかと思いましたが、1000mのインターバルのような場面では、驚くほど軽快に走れる」と藤原さんは振り返ります。
選手からの評価も高く、スピードを最大限まで引き出したいランナーに向いています。3足のなかでは、最も接地感を感じられる一足でもあり、厚みがありながら地面をとらえる感覚が残っているのも魅力です。
ミズノ初のインソールレスが生む反発と接地感『ハイパーワープ ピュア』

3足目は、ミズノの『ハイパーワープ ピュア』。本作では、シリーズで初めてカーボンプレート『Smooth Speed Plate』を搭載。さらに、3足のなかで唯一インソールを持たない、ミズノ初のインソールレス構造を採用しています。
約137g(27.0cm)という軽さながら反応は鋭く、「厚底以上に反発を感じ、足が自然に返ってくる」と藤原さんは表現します。冬場の駅伝でこの一足を履き、向かい風のなか5kmを16分台で走破。「55歳の自分でもこのタイムを出せたのは、このシューズのおかげです」と振り返ります。
プレートによる推進力を前面に出したレース仕様のため、インターバルで接地感を鍛えるというより、5km〜ハーフマラソンなどのここぞという“晴れ舞台”で力を発揮します。
短い距離がフルマラソンの土台になる

藤原さんは、「この時期にスピードトレーニングをどれだけ積めるかが大切」と強調します。
「5kmの余裕度が上がれば、結果的にフルマラソンの余裕度も上がっていきます。短い距離のレースやスピード練習を、シーズンに向けたベースづくりにしてほしいですね」
5kmのランイベントといえば、毎週末世界各地で開催されている『parkrun(パークラン)』もおすすめ。誰でも参加でき、速く走っても、ゆっくりでも、歩いてもかまいません。こうした場で今回の3足を試してみるのもよいでしょう。
今回ご紹介した3足は、そんなスピード強化のフェーズでこそ、走りを一段引き上げてくれるシューズたちです。
【動画からご覧の方はこちら】
あわせて読みたい
【プロフィール】
藤原岳久さん

FS☆RUNNING(旧藤原商会)代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 / JAFTスポーツシューフィッター
元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
・ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
・フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)






