【ミズノ】新作「WAVE REBELLION PRO」の履き心地は?スパイクからヒントを得た新形状の厚底レーシングシューズ
Feb 01, 2023 / SHOES
Feb 01, 2023 Updated
ミズノ厚底レーシングシューズの最新モデル『WAVE REBELLION PRO』。その独特な形状がランナーの走りにどのような影響をもたらすのか注目しているランナーも多いはず。
本記事では、シューズアドバイザーの藤原岳久さんが同モデルを徹底分析。藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わり20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、現在も走るシューズアドバイザーです。
陸上スパイクからヒントを得た特殊形状
大森:今回紹介するのはミズノの『WAVE REBELLION PRO』です。独特な形状のため、気になる方も多いのではないでしょうか。かかとが反り上がっていて、ハイヒールのような構造になっています。この構造のシューズと言えば、『WAVE DUEL PRO』と『WAVE DUEL PRO QTR』がありましたが、今回はそのWAVE REBELLIONシリーズから出たのも気になりますね。
藤原:WAVE REBELLIONシリーズもWAVE DUEL PROやQTR同様に、構造は陸上スパイクからヒントを得ています。スピードを出していくときには、ジャンプの動作が早くなっているのでフォアフット寄りでの接地になります。
大森:前足部から接地していく走り方ですね。
藤原:これまでも、様々なレーシングシューズが前足部にクッションを入れてきました。これはスパイクをイメージしているところが大きな特徴です。スパイクだとふくらはぎを使ってしまう心配もあるんですけど、『スムーズスピードアシスト』というテクノロジーを使うことでふくらはぎの伸張を減らし、負担を抑えることができるように作られています。
さらにWAVE REBELLION PROは接地面が広がっていて、WAVE DUEL PROよりも傾斜が5度緩やかになっています。
レーシング・テンポアップの特性を兼ね備えたオールインワンシューズ
大森:このシューズは正月にもCMが流れていて、それを見てこの構造を理解した人も多かったんじゃないでしょうか。
藤原:これはミズノのスーパーシューズの渾身作と言っていいのではないでしょうか。ミッドソール上層は窒素ガスを注入した『MIZUNO ENERZY LITE +』を配し、下層にPebaxを使った『MIZUNO ENERZY LITE』の2層構造に作られています。
大森:その間にカーボン素材が混在しているMIZUNO WAVEというプレートを入れているんですね。
藤原:その通りです。ミズノのデイリートレーナーの代表作『WAVE RIDER』などにも使用されている植物由来のWAVEプレートにカーボン繊維の素材を混入しました。この組み合わせはテンポアップシューズとレーシングシューズの要素も持ち合わせる、まさにオールインワンシューズですね。
大森:なるほど。全部盛りということですね!
藤原:さらに面白いのが形状です。ロードレースの公認大会では厚さ40mm以内がシューズの規定ですが、計測する箇所以外はどれだけ厚くても関係ないんです。このシューズは中足部あたりが5mm近い厚さがあり、スムーズスピードアシストを組み合わせることにより中足部付近で接地できるように作られてるんですよ。
大森:非常に考えられてますよね。
藤原:あとミズノの『G3グリップ』が全面についてるので、グリップ感も抜群だと思います。
フォームを見直したいランナーにもおすすめ
大森:このシューズの走り方のコツみたいなものはありますか。
藤原:基本的には前足部を使っていきますが、WAVE DUEL PROやQTRに慣れているランナーにとってはフラットに感じるくらいクセがないと思います。そこにバウンド感もしっかりあるので、レースでも使えるシューズだと思います。
大森:ハーフマラソンの距離くらいだとかなり使えそうですね。ヒール接地のランナーよりも、中足部から前で接地するランナーには相当恩恵がありそうです。
藤原:裏を返すと、これが履きづらいというランナーはトライしてみると接地も変わってくることも考えられそうです。
大森:純粋にフォームが良くなりそうですよね。
藤原:速く走っている時は当然移動も速くなっているので、理論的にヒール着地になるのは難しいんですよ。
大森:最後の蹴り上げとかなくなるような感じですね。
藤原:そうですね。スプーン状のプレートが入っている一般的なカーボンプレートシューズよりは足を置くという接地イメージが近いと思います。
大森:フォームの矯正的な使い方もできそうですね。
藤原:215g(メンズ27.0cm)という軽さも魅力。次の厚底レーシングを探している方はぜひ候補に入れて見てもらいたいと思います。
大森:ぜひ試してほしいですね。
藤原:あとサイズ感は、私は1サイズ上げています。スムーズスピードアシスト構造の影響なのか、前が詰まる感覚があります。まずはしっかり足入れをして、サイズ感を確かめてもらいたいです。
一見、奇抜でありながらミズノのシューズテクノロジー満載の『WAVE REBELLION PRO』。シューズアドバイザー・藤原さんも今後のレースで着用予定というこのシューズをぜひ試してみてはいかがでしょうか。
詳細情報
ミズノ|WAVE REBELLION PRO
・価格:¥22,000(税込)
藤原 岳久さん
FS☆RUNNING(旧藤原商会)代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)
藤原商会オフィシャルサイト