【初心者必見】ロング走なしでフルマラソンは完走できる?プロランニングコーチが練習のコツを解説
Nov 10, 2025 / HOW TO
Nov 10, 2025 Updated

秋・冬に各地で開催されるマラソン大会で「今年こそ完走したい」と思っているランナーへ、フルマラソン完走や記録更新のコツを伝授する当シリーズ。
第3弾のテーマは「ロング走(30km走)なしでマラソンは完走できる?」です。スポーツMC・ヤッホーカレンさんとともに、プロランニングコーチ・黒川遼さんのおすすめする練習法を伺いました。
記録更新を目指すランナーにとって30km走は必須?

フルマラソンは長時間にわたる特異な競技です。トップランナーはもちろん、市民ランナーでも30〜40kmのロング走を事前に実施してレースに臨む人が多いでしょう。
「ロング走の目的は大きく3つある」と黒川さんは語ります。まず『持久力の向上』。長時間の運動に体を慣らすことで、後半までエネルギーを維持できる体づくりにつながります。
次に『ペース感覚の習得』。本番に近い距離を走ることで、自分のリズムや疲労の感覚を体で覚えることができます。
そして『筋力強化』。特にレース後半で脚が重くなる感覚を体験することで、どのように体が疲れるのかを事前に知り、対応しやすくなるのです。
後半の失速原因となる「筋肉のダメージ」を軽減するには?

自己ベスト更新を狙うランナーにとって、走行ペースの維持は重要。その反面、多くのランナーが30km以降で失速してしまいます。黒川さん曰く「失速の主な原因は“筋肉のダメージ”にある」とのこと。
筋肉のダメージを軽減するために有効なのが、継続して筋肉に負荷を与えることだと話します。これは「繰り返し効果」と呼ばれる現象に基づいており、繰り返しダメージを受けた筋肉は、同じ負荷をかけても損傷しにくくなるのです。
「ロング走などで筋肉のダメージを経験しておくことで、レース当日の失速を防ぐ効果が期待できる」と黒川さん。ロング走などを通して本番に近い負荷を体に覚えさせ、筋肉の耐性を高めておくことが、フルマラソンを一定のペースで走り切るためのカギといえるでしょう。
完走を目指す人には「短時間の下り坂走」がおすすめ!

一方で「記録更新ではなくフルマラソン完走が目的であれば、ロング走を他のトレーニングで代替することが可能」と黒川さん。「仕事や家庭の事情など、長い距離を走る時間が取れないときには、下り坂を上手に使うとよいでしょう」と話します。
例として本番2週間前に起伏のあるコースを走る、数百mの下り坂を5本前後走る(下り坂走)などを取り入れると効果があるとのこと。
下り坂走は大腿四頭筋(ももの前側)に負荷がかかりやすいため、刺激を与えることでフルマラソン後半の疲労を事前にシミュレーションすることができ、30km以降の脚の重さを軽減する助けにもなるのだそう。ただし下り坂でのランニングはスピードが上がってしまうため転倒に注意が必要です。
また黒川さんは「短い時間で強度を上げることも重要」と付け加えます。忙しいなかでも30分程度の高強度ランを取り入れることで筋持久力が向上し、レース後半の粘りにつながると話します。
ロング走ができなくても、筋肉に負荷をかける工夫を取り入れることで、フルマラソンの完走や走行ペースの維持を目指すことができるでしょう。
自分の目標と生活リズムに合わせて、最適な練習スタイルを選ぼう!

今回は後半の失速原因の多くは筋肉のダメージであり、失速を防ぐには繰り返し効果で疲労への耐性を身につけること、練習時間が多く取れなくても”下り坂走”などを取り入れることで後半のペース維持につながる点を解説いただきました。
自己ベスト更新を狙うならロング走、フルマラソン完走が目標であれば下り坂走や短時間の高強度ランなど、それぞれの目標や事情に合ったトレーニングを行い、目標達成に向かって進んでいきましょう!
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