「アルファフライとは別物」鈴木健吾選手が明かした、ナイキ『エイペックス』驚異の実力
Oct 01, 2026 / SHOES
Oct 01, 2026 Updated

10月1日(木)、ナイキが新たなレーシングシューズ『エイペックス』を発表した。ミッドソール内には2層の『エア ズーム ユニット』が重ねられ、『アルファフライ』以上の反発力を期待できるレーシングモデルだ。
発表前からこのシューズを試してきたのが、日本人初のマラソン2時間4分台を記録した鈴木健吾選手。数多くのレーシングシューズを履いてきたトップランナーの目に、新作はどう映ったのか。エイペックスの第一印象から『アルファフライ 4』との違い、次戦のニューヨークシティマラソンで選ぶ一足までを聞いた。
2層に重ねた『エア ズーム ユニット』。『エイペックス』は「足を入れた瞬間にわかる」

『エイペックス』の最大の特徴は、2つ重ねて搭載された『エア ズーム ユニット』だ。また、高いエネルギーリターンを実現した『ZoomX LT フォーム』を搭載するミッドソールは、前足部とかかとの高低差がない0mmドロップという大胆な設計が施されている。
初めて足を入れたときの印象を尋ねると、鈴木選手は「本当に『すごい』としか表現できない」とその驚きを語った。

また、『アルファフライ 4』との違いを聞いても、鈴木選手は次のように断言する。
「全然違います。前に進む推進力がすごい。たぶん、足を入れただけでわかると思います」
『アルファフライ 4』と比べても『エア ズーム ユニット』の厚みははっきり感じられ、エア部分にも強いパワーを感じるという。ドロップがないにもかかわらず、足を入れただけで前に進みそうな感覚があるのも不思議なポイント。鈴木選手も「履いただけで前に行きそう」と感触を表現した。
最初はシューズに合う「走り方がわからない」ほどの反発を感じた

履き始めたのは9月ごろだという。この3週間ほどで3、4回のワークアウトに投入してきたが、最初に走ったときはシューズに合う「走り方がつかめなかった」と鈴木選手は語った。
「『エア ズーム ユニット』が入っているので、『アルファフライ』に近い感覚かなと思っていたんです。でも実際に走ってみると、まったくの別物でした」
非常に強い反発力に、最初は体が驚いたと語る。それでも、その反応にも「楽しいというか、ワクワクする」と表現し、この画期的なシューズを履きこなしていきたい思いが伝わってきた。履きこなすために「フォームを変えたくはない」と鈴木選手。自分の良さはなくさず、走り方をうまくコントロールしていきたいと話す。
軽さと薄くなったアッパー。使いこなした先にある手応え

『エイペックス』は『アルファフライ 4』より軽量な168g(メンズ26.5cm)。ただ、鈴木選手は多少のシューズの重さがあっても、その重さを推進力に変えられるタイプだと自身を分析する。
それでも、反発を保ったまま軽くなるメリットは感じているという。回転数がある程度上がるぶん、ペースも上げていけるからだ。アッパーは今までより薄くなった『フライニット X アッパー』が採用され、フィット感も十分だという。レーシングシューズに反発を求めてきた鈴木選手にとって、『エイペックス』はその理想に近づきつつある一足でもある。
40km走を設定より5秒速いペースで走破。扱いやすさが向上した『アルファフライ 4』

一方の『アルファフライ 4』は、これまでレースで『アルファフライ 3』を履いてきた鈴木選手にとって馴染んだ履き心地を体感できる一足だ。前作よりも安定感が増し、より扱いやすくなったという。
本作で走った最長距離は40km。1kmあたり3分30秒ほどで収めるつもりが、調子の上がりきらない時期にもかかわらず、平均ペースは3分25秒前後だった。その結果について、体の状態だけでなく、シューズの影響もあったと振り返る。

これまでの『アルファフライ』では、自身の走りに馴染むまで少し時間を要することもあったが、本作は早くに馴染んだという。レースペースに近いスピードに「うまくはまっていく」感覚があると鈴木選手は言葉にした。
ニューヨークシティマラソンは、起伏を見据えて『アルファフライ 4』で

11月に出場するニューヨークシティマラソンで履くのは、今のところ『アルファフライ 4』の予定だ。『エイペックス』はどちらかというと、フラットなコースでタイムを狙うイメージだという。
同大会が起伏のあるコースであることも、シューズ選びにつながっているようだ。また、ペースメーカーのつかないニューヨークシティマラソンを選んだ理由は、次のMGCを見据え「勝負レースを経験しておくため」と話す。直近は記録を狙うレースを重ねてきた鈴木選手だからこその選択だと言える。

出場者には、アンドレアス・アルムグレン選手やコナー・マンツ選手など世界で活躍する選手たちも名を連ねる。しかし、鈴木選手は「別に失敗してもいい」とリスクを厭わず、先頭集団についてチャレンジしたいと意気込む。また、2019年のMGCでは、自ら仕掛けてレースを動かした。ああした展開は楽しいかと聞くと、「楽しいですね」と鈴木選手は即答。
「根底には、かけっこが好きという気持ちがあるんです。どうなるかわからないレースは、すごくワクワクします」
プロに転向し、東京マラソンでMGCの出場権をつかんだ今年は、高地トレーニングを続け、DM三井製糖のサポートを受けた補給の見直しにも取り組む。この1年を「色々試せる時間」と捉え、チャレンジそのものを楽しんでいる様子だった。
「履きこなせたら速く走れる」。鈴木選手が感じた『エイペックス』の可能性

「アルファフライとは別物」と、その推進力で鈴木選手ほどのトップランナーを驚かせた『エイペックス』。同じナイキのレーシングシューズでも、2足の立ち位置は大きく異なる。
ニューヨークシティマラソンでは履き慣れた『アルファフライ 4』を選ぶと話すが、鈴木選手が『エイペックス』を着用して記録を狙うレースもどこかで見られるかもしれない。
「これを履きこなせたら、たぶん速く走れると思います」
鈴木選手もそう期待を寄せる、ナイキのレーシングシューズ『エイペックス』。シューズの実力と可能性に今後大きな注目が集まるだろう。
詳細情報
ナイキ|エイペックス

・価格:¥55,000(税込)
・発売時期:2027年1月
ナイキ|アルファフライ 4

・価格:¥39,600(税込)
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