ゴールまでに登る階段は5164段!! 四つん這いで駆け上がる過酷レースとは
Jun 08, 2016 / EVENT
Jul 10, 2019 Updated
目を見張るような景色の中を走れる「絶景マラソン」。せっかくラントリップするのなら、ここでしかない風景を求めて世界を旅したいものです。
今回ご紹介するマラソン大会は、「世界七大奇跡」のひとつと言われている世界遺産の建造物が舞台。実に2000年にわたって築かれた世界最長の城壁……そう、中国の「万里の長城マラソン」です。
ランナーを待ち受けているのは、大地の起伏を縫うように、はるかかなたまで続く長城の絶景。しかもコースとなる天津郊外の長城は、石やレンガで作られた重厚な部分だと知られています。敵監視台、狼煙台などがコース上に分布しており、それら芸術性の高い建造物もコース中のハイライトです。
またコースには長城だけでなく、美しい田んぼや素朴な家々が並ぶ農村部分も含まれています。沿道でランナーを見守るのは、散切りおかっぱ頭の少女や、噛みたばこで口が真っ赤に染まったご老人。発展めざましい中国の都市部では決して見られない、古き良き中国の素顔も見られるのもこのレースならでは。
とはいえ、景色の美しさにうっとりしているうちにいつの間にかゴール!……というわけにはいきません。この「万里の長城マラソン」は絶景を眺められる一方で、世界でも過酷なレースのひとつとしても知られているのです。
というのも、コースは実に5164段もの階段が織りなす、アップダウン満載のもの。スタートから7キロまでは高低差300メートルをひたすら登り、それが終わったかと思えば今度は一気に300メートル下り……。いやはや、ここまで膝にくるマラソン大会は世界でも他にないのでは? 実際、ランナーの中には登り階段では両手を使い、四つん這いスタイルで登っていく人も少なくありません。「万里の長城マラソン」は、ランナーに「手を使えて良かった……」と思わせる希有なレースなのかもしれません。
しかも毎年レースが行われる5月の気温は最高30度を超えることが多く、湿度も86パーセント以上とアナウンスされます。優勝タイムは2016年が3時間30分、2015年が3時間41分。2000人以上が参加してこのタイムだというのを考えても、その過酷さがわかりそうです。ちなみに制限時間は8時間。
大会にはフルマラソンに加え、ハーフと8.5キロのミニ・マラソンもあり。世界に名だたる遺産だけあって、2015年には実に60カ国から2500人のランナーが集いました。国際色豊かなのもこのレースの特徴です。「あそこの階段がきつかった!」「中国人はなんてものを造ったんだ!」。レース後にランナー同士、そんなトークで盛り上がること必至です。
■万里の長城マラソン(Great Wall Marathon)英語サイト
http://great-wall-marathon.com/