【アシックス】「GEL-KAYANO 30」は脱ぎたくなくなるシューズ!?前作からのアップデートをシューズアドバイザーが徹底解説
Sep 15, 2023 / SHOES
Jun 25, 2024 Updated
長年に渡って、多くのランナーの足元を支えてきたアシックスの『GEL-KAYANO』シリーズがこの夏、30代目にアップデートして登場。前作からの変更点など気になる方も多いと思います。
そこで今回もRuntripおなじみのシューズアドバイザーの藤原岳久さんにシューズの特徴についてレビューしていただきました。藤原さんは多くのシューズブランドを渡り歩き、シューズ販売に携わり20年以上。47歳でマラソン自己ベスト2時間34分28秒を出し、現在も走るシューズアドバイザーです。
30代目は「ゲームチェンジャー」シューズ!?
大森:アシックスの『GEL-KAYANO 30』ですが、まだ紹介していなかったんですね。いよいよ藤原さんの解説が聞けるということで楽しみです。
藤原:簡単にいうと、このシューズは『ゲームチェンジャー』になるシューズだと思います。まさに発明と言っても過言ではないです。
大森:個人的には前作よりも気に入っています。
藤原:まるでナイキがヴェイパーフライを世の中に出したことで速く走る概念を変えたように、これはスタビリティーの概念を変える可能性があります。
大森:なるほど。ゲームチェンジャーの意味が分かるような気がします。
藤原:30代目ということで大きく注目されましたが、その節目でアシックスが大きく変えてきたこともトピックスですよね。そこにGEL-KAYANOに対するアシックスさんの力の入れ方を感じます。
大森:変える方もプレッシャーだったでしょうね。
藤原:非常に多くのサンプルを作って、相当のトライ&エラーを繰り返したといいます。
大森:まさに30代目に懸ける想いが反映された一足ですね。
「支える」から「跳ね返す」に変える4D GUIDANCE SYSTEM™
大森:それではアップデートポイントを見ていきたいと思います。
藤原:前作までのモデルと比べると、内側のサポートが全然違います。スタビリティーシューズは安定感がある分、硬くなってしまうのが宿命でした。内側をサポートするためにある種の硬さが必要でしたけど、今作は4D GUIDANCE SYSTEM™という内側のパーツが柔らかくて、内側に倒れこむ足を抑えるのではなく跳ね返してくれるんですよね。
大森:スタビリティーというと硬いイメージでしたが、弾き返すという概念を取り入れたことで柔らかいんですよね。クッション性と安定性を両立させている感じがします。
藤原:『GEL-NIMBUS 25(ゲルニンバス 25)』と比べても違いが分からないほど柔らかいですよ。GEL-KAYANO 30は内側をサポートするんですけど、それを気付かせないんですよね。
大森:まさにゲームチェンジャーですね。
特殊技法でサステナブルを実現
藤原:さらに、今作では『サステナブル』もテーマの1つですよね。
大森:インソールにもカーボンフットプリントが印字されてますよね。
藤原:アッパーの生地は作ってから染めるのではなく、糸自体を染める技法を使っています。まさに地球環境に貢献して、ランナーも救済するシューズですね。
大森:フィット感は本当に良いですよね。
藤原:足入れは非常にゆったり感がありますね。ワイドタイプもありますので足型も選ばないですし、ガセットタン構造でフィット感も高いと思います。
プラットフォーム拡大で安定感も抜群
大森:プラットフォームが広がりましたよね。
藤原:昔はソール面積を広げるとフルグラウンドコンタクトといって、どこでも足をつける安定感がある一方で重くなってしまっていたんですけど、軽量化も実現しています。
大森:素材の進化ですね。
藤原:面積が広くなると、ねじれへの耐性や接地安定感も上がりますよね。どうしても多少重量はありますので、速く走るためのシューズではないですからね。
「GEL-KAYANO 30」は脱ぎたくなくなるシューズ!?
大森:だいぶ変わった30代目のKAYANOですけど、往年のKAYANOファンの方も気に入ると思います。スタビリティシューズを履いたことのない人にもおすすめで、ランナーを選ばないシューズだと思います。
藤原:そうですね。基本は内側に倒れ込むような不安があるランナーに履いてもらいたいです。
大森:内側のトラブルは具体的にはどんなものがありますか。
藤原:膝の内側、足首回りや股関節、シンスプリント等の痛みとかですね。そのあたりに不安のある方はオーバープロネイト気味なのでGEL-KAYANOを履いてみてほしいですね。
大森:1足持っておいて損しないシューズだと思います。
藤原:これからこういった発想のシューズがいろんなメーカーから出てくるかもしれませんね。まさにスタビリティーシューズの新定番になる可能性がありますね。
大森:履いたフィーリングは『NOVABLAST 3』や『SUPERBLAST』の方が楽しい感覚なんですけど、このシューズはある程度履きこなしてくるとより良さが分かってくると思います。だから僕の中では履きたくなるシューズはNOVABLAST 3やSUPERBLASTで、GEL-KAYANO 30は『脱ぎたくなくなるシューズ』だと感じます。
藤原:名言が出ちゃいましたね(笑)。
大森:履いていると、後半に心地いいんですよね。
藤原:履きたくなるシューズと、脱ぎたくないシューズを両方あったら良いんじゃないかなと思いますよ。
『ゲームチェンジャー』や『脱ぎたくなくなるシューズ』など、気になるフレーズが盛りだくさんのGEL-KAYANO 30。こちらのレビューを参考に、ぜひ一度GEL-KAYANO 30を試してみてはいかがでしょうか。
詳細情報
アシックス|GEL-KAYANO 30
・価格:¥19,800(税込)
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藤原 岳久さん
FS☆RUNNING(旧藤原商会)代表
ランニングシューズフィッティングアドバイザー
日本フットウエア技術協会理事 /JAFTスポーツシューフィッター / 元メーカー直営店店長,販売歴20年以上
ハーフマラソン:1時間9分52秒(1993)
フルマラソン:2時間34分28秒(2018年別府大分毎日マラソン)