ランナーの乾燥に『いちじく』。鉄や亜鉛などのミネラルで便秘解消、お肌の潤いにも

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猛暑が過ぎ去り、爽やかな汗をかく時期になりましたね。この時期、「外側からも内側からも、しっかりとケアをしてコンディションを整えたい! 」というランナーは多いはず。

国際中医薬膳師でフードコーディネーターの荒井直子さんが『ランの前後に摂るといいオススメ食材』を紹介する連載です。
9月のテーマは、たくさん汗をかいた後にオススメの食材『いちじく』。

前回は夏バテ予防として、『茄子』をご紹介しました。

たくさん汗をかいた後には『いちじく』

朝晩に爽やかな秋風を楽しめる季節となりました。今年は、夏が少し短かった印象ですが、それでも猛暑日が続き、滝のような汗をかきながらラントリップを楽しんだ方も多いのではないでしょうか。

夏にしっかり汗をかくことは、健康のためにとても大切です。体内の老廃物は、主に腎臓でろ過されて、尿として体外に排出されますが、一部は汗からも排出されます。汗からのほうが排出しやすい有害物質もあると言われているので、汗をしっかりかくことを、皆さんにおすすめしています。

ただ、汗によって失われるものもあるので、『不足したものを補う』という意識を持つと、常に快適なランを楽しむことができると思います。
この時期、私がおすすめするのは『いちじく』です。

いちじくという果物に馴染みの薄い方もいらっしゃるかもしれませんが、ランナーさんにはおすすめの成分がたくさん含まれている果物なので、ぜひ取り入れてもらいたいと思います。

亜鉛やマグネシウムも補える『いちじく』

いちじくには、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛など、豊富なミネラルが含まれます。

カルシウムや鉄はご存知のとおりですが、からだに必要なミネラルはそれだけではありません。マグネシウムは、カルシウムと一緒に筋肉の収縮に関わっていて、不足すると、筋肉の痙攣を起こしやすくなり、心疾患や動脈硬化のリスクが高くなります。

また、亜鉛は、骨の成長や新しい細胞をつくるのに必須のミネラル。不足すると、味覚障害や生殖機能の低下といった問題を招きやすく、人生の楽しみを奪いかねません。ストレスや過労が原因で不足しやすいマグネシウム、インスタント食品など添加物の多い食事で不足しやすい亜鉛、どちらもからだにとって大切なミネラルです。思い当たることがある人は、注意しましょう。

亜鉛を多く含む牡蠣やレバーに比べると、いちじくに含まれる亜鉛の量は少ないのですが、たまにたっぷり牡蠣を食べるより、毎日の中で少しずつ摂るほうが、日々のからだを健やかに保てると思います。自分に合ったスタイルで、上手に摂取してください。

薬膳ではどういう食材?

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薬膳では、いちじくは『汗で失われた水分を補い、肺を乾燥から守る食べ物』として知られています。

秋になると、空気が乾燥し始めます。肺は乾燥に弱いので、この時期に『肺を乾燥から守る』意識を持つと、この先の咳やのど痛みなどのトラブルを防ぐことができます。
夏に汗をたくさんかいた人は、今の時期、からだが少し乾燥している可能性があります。「顔やからだの皮膚の乾燥がちょっと気になるな……」という人に、いちじくはとてもおすすめです。

中医学では、肺―肌―腸には深い結びつきがあると考えられています。肺を調えることは、肌や腸に潤いを与えることにもつながります。腸は、潤いが足りなくなると便秘になりがちで、便秘の人は肌が荒れやすい……。からだはつながっているということを意識できるといいですね。

「いちじくは苦手……」という人に他におすすめはある?

肺を乾燥から守ると言われるフルーツには、他に、柿、梨、バナナなどがあります。バナナは別として、梨も柿も秋が旬の果物です。旬の食材には、やはり、その時期に必要な栄養が詰まっているんですね。

苦手なものを無理に食べる必要はありません。『苦手な食べ物=からだに合わない食べ物』のことが多く、無意識にからだがその食べ物を避けている可能性もあります。私自身、子供の頃に苦手だった食べ物は、体質に合ってないものがほとんどです。食べるものを選ぶ時には、知識だけではなく、からだの声にも耳を傾けてあげてください。

おすすめの食べ方

包丁で切らなくても、手で皮をむいてパクッと食べられるのが、いちじくの良いところです。

ラントリップの途中、農家さんの直売所などがあれば、ぜひ探して食べてみてください。汗によるからだの渇きを鎮めることができますよ。ミネラルの摂取という意味では、ドライフルーツとして食べるのもおすすめです。但し、乾燥したものをたくさん食べると、からだがより乾燥に傾く可能性があるので、秋の乾燥シーズンには、紅茶やワインに浸したり、ナッツ類と一緒に食べるよう工夫して、乾燥から身を守りましょう。

また、いちじくは、デザートとしてだけではなく、お料理としても楽しむことができます。
切ったいちじくに、生ハムやブルーチーズをのせれば、さっとおしゃれなオードブルに変身!

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豆腐や白胡麻を使って『白和え』にしても、さっぱりと美味しくいただけます。日本酒がおいしくなる季節、そんな白和えとお酒を楽しむのもいいですね。
このレシピは、次回、ご紹介したいと思います。

上手に水分を補って、初秋も元気に楽しみましょう!

(写真 福田邦久/フードスタイリング 平岩紗千代)

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