【心理学でクリア】「走れない夏……」月間走行距離が短くて悩む前にすること

ランニングをしていて、ゴールが見えてきた時、これまでクタクタだった体のどこからかパワーが宿り、最後のペースアップができた感覚はありませんか?特に、用意周到に準備してきたハーフマラソン・フルマラソンのレースで、ゴールの競技場が見えてきたら……。もうここまで来たら、あともう少しでゴールですもんね。

ことランニングにおいては、気分よく走れていると、ある特殊な状態になることがあります。『Xスポット』です。今回は、このXスポットについて。

競技場前まで来るのに、もう既に長い距離を走っているにも関わらず、急に元気がでる感覚。これは市民ランナーだけでなくトップランナーでもそう。最後の数kmを全速力で駆け抜けてゴールする選手は少なくありません。

「国際マラソン医療責任者協会(IMMDA)理事長を務めるルイス・マラハム医師によると、この瞬間、脳内でエンドルフィンなどの化学物質が大量に分泌されることで、スポードを上げてゴールするのに必要なエネルギーが体に供給される。長距離走などの競技経験者なら、この現象を何らかの形で味わったことがあるはずだ」

これは書籍『The Barcelona Way』での一文ですが、ゴールが視界に入った時、このレースの完走が『可能』になったのではなく、『ほぼ確実』になった時に、体が強力な反応を示して、全力で走れるようになるのです(同書では、Xスポット付近は42.195kmのなかで最も心筋梗塞になりやすい箇所なので、医療関係者をこの近くに配置している国際マラソンが多いとも語られています)。

このXスポットという感覚はどのランナーも持っていることでしょう。ランニング以外のシーンでもXポットを感じるシーンがあります。例えば、お店でのポイントカード。最初はゆっくりためていたところ、残りあともう少しとなったタイミングで急にポイント獲得ペースがあがる。お店の訪問回数が増えてしまったことはないでしょうか。これは心理学的にも用語があって『目標勾配効果』と言います。

何かの目標を掲げた時、その目標より遠い初期段階よりも、目標が近づき達成の可能性が高まっていくことで、その目標に価値を感じるようになるのです。

私たちの日々のトレーニングにも、これを生かさない手はないですね。

「【心理学でクリア】「走れない夏……」月間走行距離が短くて悩む前にすること」の画像

例えば、月間100kmを目標としていた時に、ネガティブな気持ちにならないことが肝です。「まだ30kmしか走っていない」「今月は雨が多いから走れていない」と、ネガティブな気持ちになっていては、目標勾配効果をうまく使えていません。

逆に、「昨年の同時期よりも目標距離数がのびている」「晴れている日しか走らない短期集中型にシフトできている」といった、すでにできていること(起こっている事象)を見つけ、そのことを認識するのです。そういった積み重ねが、目標への距離を近づけ、気がついたらもう目の前という状況に。あとは、一気に走り抜けるのです。

この夏は非常に暑く、思っていた以上に走れていないランナーもいるかもしれません。そんな際にネガティブ思考になっていては、余計にパフォーマンスも下がってしまいます。ここは、目標勾配効果を上手に取り入れて、この夏を乗り切ってみませんか。

ワニの左手が書いた新着記事
RUNTRIP STORE MORE
RANKING
「RUNTRIP」の新着記事

CATEGORY