「夢は自分の競技場をつくること」白方 健一さんが目指す日本の未来

2007年、第1回東京マラソンの開催を機に世の中は空前のランニングブームに突入したと言われています。それから8年が過ぎました。ランニングは単なるトレーニングではなく「カルチャー」でもある、という認識が広がってきています。

こうしたランニングカルチャーを普及させるべく、常に国内のランニングシーンの最前線を走り続けてきた「開拓者」と呼ばれるのは、今回インタビューをさせていただいた白方健一さんです。白方さんはトップギアランニングクラブのコーチ業を務めつつ、他社企業のマーケティング支援や本の出版など幅広く活躍されています。今回は改めて、白方さんから見る「ランニングの未来」についてインタビューをしました。

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創業時から変わらない思い。「ライフスタイル」としてのランニングの普及

–白方さんは多岐にわたる活動をされていますが、ご自身の中での仕事の切り分け方というか、どういったスタンスで取り組まれているのでしょうか?

自分の中では大きく3つの柱で仕事を分類しています。1つめは非ランナーにランニングへの興味を持ってもらう「きっかけづくり」となる活動。ビギナーが楽しめるようなイベント実施や、音楽や旅行など他のジャンルとのコラボレーションなどを企画しています。2つめは市民ランナーがいつまでも楽しく走り続けられるような「生涯スポーツの支援」のための活動。具体的にはランニングクラブの運営やパーソナルトレーニングなどです。そして3つめが「トップアスリート支援」の活動です。もちろん彼らの結果に貢献することが前提ですが、それだけに留まらず、セカンドキャリアとして活躍できる環境の整備などまで意識して活動しています。これらの3つの活動に取り組むことで、ビギナー層からトップ層までのトライアングルを大きくしていきたいという風に考えています。

–なるほど、すでにある市場の中で勝負するのではなく、市場そのものを作っていくというイメージですね。これまでの取り組みで何か変化を感じますか?

はい。創業当時は「体育」の延長というか、昔から走っていてとにかく記録を伸ばしたいという目的の男性がほとんどでした。勉強熱心な方が多くて「世の中にあるランニングメソッド系の本はほとんど読みました・・」みたいな(笑)ものすごく専門知識があるお客様が多かったので、ある意味でこの10年はとても勉強させていただきました。また、走らない方からは「走ってる時何考えてるの?」という質問を本当に多く受けましたね。今はランニングをポジティブに捉えてくれる方が増えていて、参加されるお客様の客層も大きく変わりました。女性も増えていますね。

–そもそも、白方さんはどうしてトップギアを設立されたんですか?

もともとサラリーマンをやっていて、脱サラしました。そのあとアートスポーツでランナー支援をやってきました。その頃から「ライフスタイルとして」ランニングを普及させたかったので、「多様性」のある楽しみ方を意識してたのですが、組織に所属しているとどうしても自分がやりたいと思う活動に取り組めない時もあるんです。だから、仕事を自分でコントロールできる環境にいたかったというのが独立した理由です。

一方で、「多様性」を考えるとやっぱり一人では限界があって、お互いの足りない部分を補い合えるような「チーム」で活動したいとも思っています。だから個人ではなくトップギアという組織を作っています。

–ライフスタイルとしてのランニングというのは今も昔も変わらない軸なんですね。白方さんが考えるランニングの魅力って何ですか?

まずシンプルに道具がいらない、そして人と比べる必要がない、感覚が研ぎ澄まされる、コミュニケーションツールにもなる、そしてご飯がおいしい(笑)そんな風に様々なポテンシャルを秘めているのがランニングの魅力じゃないでしょうか?私個人で言えば、ランニングを通じて本当にいろいろな方と出会えたというのが最大の魅力ですね。ランニングに感謝しています。

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–これからの10年、トップギアの白方さんとしてどんな夢を描いていますか?

まずはトップギアの拠点を増やしていきたいと思っています。トップギア沖縄の開設に向けて準備中です。実はアメリカに事務所を構えないかという話も来ています(笑)だからグローバルで多世代の展開を行いたいとも思っています。日本初のグローバルなプロダクトやチームがあっても面白いじゃないですか。最終的には「白方競技場」をつくるのが夢ですね(笑)

マラソンは3つのステップで3時間を切れる

–ちなみに、白方さんは本も出版されましたよね。こちらの見どころについて教えてください。

サブスリーのメソッドについて説明した本なんですが、後半に藤原新さんとの対談が入っていて、そちらを先に読まれる方も多いようです(笑)

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特徴としては、どうしてもマニアックで長くなりがちなランニングのメソッドを、全て3つのステップに絞っているので非常にわかりやすいという点でしょうか。あまり深堀りしすぎていないので、導入編としてはぴったりだと思います。もっと詳しく掘り下げたければ、パーソナルやレッスンなどもありますし、他にも良書はたくさんありますからね。そう意味では、800円でここまで書いてあるとしたら「コスパがいい」とお褒めいただくことが多いです(笑)


白方さん、今回はインタビューにご協力いただきましてありがとうございました。「ライフスタイル」としてのランニングの未来、これからの展開を楽しみにしています!

プロフィール

名  前 白方健一(Shirakata Kenichi)
所  属 トップギアインターナショナル合同会社
経  歴 1978年生まれ。東京都出身。TopGearインターナショナル合同会社代表ヘッドコーチ。自身も生涯ランナーをモットーに、ウルトラマラソン、トレイルランなどで快走中。あらゆるランナーへライフスタイルにフィットしたオリジナルメソッドの提案をしている。大会主催やランニングクリニックも多数開催し、メディアにも多数出演中。

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