台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー

こんにちは、すしマンです。今回は、『台北マラソン2014』で並走した市民ランナーの高橋幸二さんへインタビュー。「ちばアクアラインマラソン2014」で総合4位 (千葉県内1位)となり、2014年の台北マラソンに派遣されました。台北マラソンでは6位(日本人1位)という成績をおさめ、最近では2015年のホノルルマラソンを日本人1位でゴールするとなるなど、その勢いはさらに加速しそうです。今回はこの1年の振り返りと、台北マラソンやホノルルマラソンの感想を伺いました。

初めての海外マラソン

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像 (台北マラソンでは6位入賞)

すしマン「台北マラソンとホノルルマラソン、日本人1位おめでとうございます。」

高橋さん「ありがとうございます。」

すしマン「まずは、台北マラソンの感想からお聞かせください。台湾といえば、料理が美味しいですよね。」

高橋さん「レース当日まで、食事でストレスは感じませんでした。台湾らしい料理を食べたのは、レース翌日の月曜だけですね。それでも、小籠包だけですけど…。実際のレースでは、まず午前7時スタートということに驚きました。海外では普通なのかもしれませんが、初めて海外マラソンに出場する私にとってはビックリ。もちろん、こんな時間にレースしたこともなければ、2時に起床したこともありません。実際、あまり睡眠は取れなかったです。5時30分に会場入りしましたが、まだ外は真っ暗。しかし会場には激しいBGMが流れ、大勢の大会関係者の姿が。海外マラソンは1つの『フェスティバル』なのだと感じ、上手く雰囲気を飲み込んで、気負わずスタートできたのは良かったのかもしれません。」

すしマン「初の海外レースでいろいろ戸惑いながらも、スタートラインには良い状態で立てたんですね。さすがです。ちなみに、ちばアクアラインマラソン2014で千葉県内1位となり、台北マラソンに派遣されたと伺いました。何か、マラソン以外に体験されたことはありますか?」

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像 (台湾のランナーと千葉県のランナーの交流会)

高橋さん「千葉県と交友関係にある台湾と、マラソンを通じて交流を深める。そんなコンセプトで、当日マラソンを走るまでに台湾ランナーとの交流や、マラソンフォーラムの参加など貴重な経験をさせて頂きました。」

すしマン「台湾のランナーは日本のランナーを尊敬していますから、彼らにとっても良い交流だったのではないでしょうか。」

高橋さん「そうですね。男子はJackとBranko、女子はLuluとArielとLiuの5名とEnglish nameで交流を深めました。」

 

台北マラソンでは違う種目に…


すしマン「2014年のいわい将門ハーフマラソンで、高橋さんはハーフのベストを更新されました。それから5,000mと10,000mでも自己ベストを連続更新され、その勢いで翌月の台北マラソンを迎えたと思います。レースを振り替えっていかがでしたか?」

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像 (中央が高橋さん右がレースで並走した前田さん)

高橋さん「私はスタート開門で前列を確保しましたが、エリート参加の外国勢と日本からの大会派遣勢は、我々より1分早くスタートしていました。当然、すぐに追いつくことはできないので、マイペースでのスタートです。レースは2週間前に福岡国際マラソンを2時間22分台で走った、大阪の前田さんと進めました。終始1人ぼっちだと思っていたので、前田さんがいらしてとても心強かったです。約20km地点で、棄権した選手や歩いているケニア人を何人も追い抜いたので、『もしかしたら入賞できるかな?』と。いや、『賞金もらえるかな?』が正しいですね。そんな心情でした。35kmまで前田さんと引っ張り合い、ここまできたら日本人1位!という一心のロングスパートで逃げ切ったレースでした。千葉県から一緒に参加した女子フルマラソンの菅生さんも、日本人1位で入賞することができたので余計に嬉しかったですね。」

すしマン「お金が見えたら頑張る!私もわかります。それにしても、ちゃんとそれを獲得するあたりが流石ですね!」

春の故障と夏の奮起

すしマン「次に、2015年について振り返らせてください。春にシーズンインして、トラック競技の3,000mSCで怪我をされているかと思います。その後の走れない日々、あるいは、夏の富士登山競走までの経緯をお聞かせください。」

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像

高橋さん「2015年上期は3,000mSCでの関東選手権出場と、富士登山山頂入賞を目標にしていました。4月の県記録会で出場した3,000mSCは、当日まで一回も障害練習を行わずに挑んだ結果、ラスト1周手前の水濠着地で失敗。左足首から、『ムニュ』とこれまで聞いたことのない音が聞えました。次の障害は飛んだものの激痛。陸上人生初となる、トラック競技での途中棄権でした。そこから2週間は松葉杖生活で、走り始めたのは6月上旬。ただ足首は安定せず、痛みと緩みは癒えないままだったんです。そのため、富士登山試走も諦め、当日まで足首に負担がかからないよう不整地とカーブは避けました。なるべく直線を走るトレーニングと体幹トレ、高所に備えてパワーブリーズで呼吸筋を鍛えるなど。やれることを全力で頑張りました。」

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像 (自分を変えることが出来たレース)

すしマン「そういった不安がある中で、富士登山競走のスタートラインに立ったわけですね。それでも結果は、山頂コースで並み居る日本トップクラスのスカイランナー達を相手に4位入賞。お見事です。」

高橋さん「実は、レースで初めて“恐い”と感じたのが富士登山競走でした。捻挫や練習不足も理由の1つですが、それよりも、大きく聳え立つ富士山が何より恐ろしかったです。実際のレースも、自然が作り出した山道や分刻みで変わる気象コンディションに、幾度となく身体を苦しめられました。それでも果敢に挑めたことは、人生の糧になると言ったら大袈裟ですが、それくらい経験値が上がった大会でしたね。」

すしマン「素晴らしいですね、感動しました。」

フルマラソンで覚醒

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像 (2015年の北海道マラソン)

すしマン「怪我からの復帰と、富士登山競走でのスカイランナーとの競り合いで、また新たな境地が見えたと思います。30歳を前にした今期、マラソンの自己記録を伸ばしながらさまざまな大会で優勝する中で、さらに一段とレベルアップできたのではないでしょうか。」

高橋さん「富士登山競走の後は、8月の北海道マラソンで自己記録の2時間26分09秒を出し、福岡国際マラソンのA資格を獲得しました。9月の田沢湖マラソンでは、15kmから一人旅でフルマラソン4勝目でホノルルマラソン派遣を獲得。10月の新潟シティマラソンでは38kmまで2位と競り合うも、フル5勝目で自己記録の2時間25分01秒。そして12月の福岡国際マラソンでは、2時間20分切りを目指すも15kmからマメの影響で苦しみました。しかし、自己記録の2時間24分25秒でまとめることができています。さらにホノルルマラソンでは、福岡国際マラソンからの連戦と慣れない海外という心配がありながら、終わってみれば総合7位(日本人1位)でした。夏から秋にかけて調子が良かった反動で、12月の福岡国際ではコンディションが少し下降気味に。これは反省点ですが、夏からは全体的に上手くまとめられたと思います。」

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像 (ホノルルマラソンでも日本人1位!!)

すしマン「続いて、ホノルルマラソンについてレースの感想をお聞かせください。」

高橋さん「福岡国際マラソンの翌週のため、ファンランの予定でした。しかしファンランと言いながらも、『せっかくハワイまで来たし、最初だけでも頑張ろう』と、スイッチがどんどん入っていったんです。盛大な打ち上げ花火やBGMと共にスタートし、それだけでテンションが上がって完全にスイッチON。女子先頭に行けるところまでついていこうと決めたんですが、その集団は男子の日本人先頭集団でもありました。周りの日本人ランナーたちが次第に脱落していき、7km過ぎで残っていたのは私だけ。約23kmから集団を抜け出して一人旅になると、ようやく空が明るくなってきました。30kmまでは順調だったんですが、どうも給水が口に合わず給水を取らずにいたんです。すると意識が朦朧し始め、左手に見える綺麗な海すら、残念ながら全く見る余裕がありませんでした。しかし、すれ違う選手やスタッフから「fight!」「go!go!」「ガンバレ!」などという熱い声援が。その声で、なんとかゴールまで辿り着くことができました。苦しいレースとなりましたが、台北マラソンに続いて日本人1位で戻ってこれたことは自信になりました。しかし、やはり世界レベルの選手とはもちろん大きな差があって、強い選手と走ると、それを身をもって思い知らされます。世界って広い。福岡国際マラソンの凡走からネガティブになっていましたが、今回ホノルルマラソンを経験したことで、『私もいつかそんな強者達に割って入りたい。もっと強く速くなりたい』と奮い立たせてくれました。またホノルルマラソンを走れる機会があれば、ぜひチャレンジしたいですね。」

すしマン「高橋さんの実力なら、もちろん2016年も駒を進めることでしょう。期待しています!」

高橋さんのお気に入りランニングコース

岩名運動公園内のクロカンコース

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像

千葉県佐倉市の岩名運動公園にある、1周1.6kmのクロすカントリーコース。トラックも併設されており、一時は毎週のように通っていたといいます。著名ランナーである有森裕子さん、鈴木博美さん、高橋尚子さん、千葉真子さん、最近では新谷仁美さんなどがここで練習を積み、世界へと羽ばたいていった練習コース。高橋さんも、このコースを走ると気が引き締まるそうです。

幕張〜稲毛の海岸線コース

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像

千葉県千葉市美浜区にある、幕張〜稲毛の海沿いのコース。こちらは千葉マリンマラソンのコースでもあり、潮風を感じて走りながら、富士山を眺めることもできます。また、近くには幕張イオンや三井アウトレットパークもあり、帰りにショッピングを楽しむことも。まさに、リフレッシュにはもってこいの場所です。

高橋さんの今後の目標

最後に、これからの目標について伺いました。

「今年のテーマは『スピードの徹底』。今一度、トラックに力を入れていきます。現在、実業団・大学生上がりの市民ランナーが増え、ロングならまだしもショートレースでは全く敵いません。そのため、少しでも太刀打ちできるようにトラックの強化を目指します。具体的な目標としては1,500m3分59秒、5,000m14分29秒、10,000m29分59秒。もちろん冬にはフルマラソンへスイッチして、東京マラソンのエリート出場(2時間21分切り)を目指します。そう簡単にこなせるものではありませんが、日々チャレンジしていきます。」

また、現在、高橋さんの奥さんが妊娠6ヶ月目とのこと。

「第一子とあって、これからは余計に忙しなくなると思います。どれだけやれるか分かりませんが、限られた時間の中でどれだけやれるかは、逆に楽しみです。“イクメンランナー”になれるよう、これからも頑張ります。」

千葉のイケメンランナーは、イクメンランナーにもなる日が近いようです。今後も、高橋さんの活躍から目が離せません。

プロフィール

「台北マラソン、ホノルルマラソンで日本人1位の高橋 幸二さんへインタビュー」の画像

高橋 幸二

1986年10月23日生まれ、千葉県出身の市民ランナー。ちばアクアラインマラソン2014で総合4位(千葉県内1位)となり台北マラソンに派遣。日本人1位の6位でのゴールを果たした。さらに、2015年の田沢湖マラソンで優勝し派遣されたホノルルマラソンでも日本人1位の7位。自己ベストは5,000m/ 14’44”70(2014年11月)、10,000m/31’02”54(2014年11月)ハーフ/1:07’52(2014年11月)、フル/2:24’25(2015年12月)。好きな“すしネタ”はイクラ。


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