国内初開催「Wings For Life World RUN2015」の覇者|沖 和彦さん
Jan 11, 2016 / MOTIVATION
Apr 26, 2019 Updated
本日から、私すしマンが、レースでご一緒したランナーの方々にインタビューしていきます。
その第1弾は…
『Wings For Life World Run 2015』で日本大会の男子優勝に輝いた、沖和彦さんです!
「Wings For Life World Run 2015」とは?
2015年のゴールデンウィークに、琵琶湖北部の滋賀県高島市で日本初開催となった大会です。一定速度で追いかけてくる“キャッチャーカー”に捕まると、その時点でレース終了。そのため、走る距離(ゴール地点)が人によって違うというユニークな大会です。
※2015年大会の大会レビューはこちら
気持ちで掴み取った栄光の67km
大会の初代日本チャンピオンとなった沖和彦さん(写真左)。さっそく、お話を伺ってみましょう。
すしマン「優勝おめでとうございます!とても気迫の感じられる走りでしたね。」
沖さん「ありがとうございます。レース前の作戦としては、1km4分ペースで60kmまで4時間かけて走り、そこからペースアップという作戦でした。レースは前半から飛ばすランナーもいたのですが、最初は自分の走りを徹底。20kmくらい走ったときに、イクラをかぶった人が後ろから…」
すしマン「笑…」
沖さん「ただでさえ重い被り物をしているのに、あんな暗い中で視界もさえぎられるわけですからね。しかも速かったので、強靭な体力を持っているんだなぁ…とリスペクトです。」
すしマン「ありがとうございます(笑)」
沖さん「それから暗い夜道を淡々と走っていたのですが、約40kmの地点で先頭ランナーに追いつき、そして追い越して、先導の自転車にずっとついていきました。しかし、暗い中でエイドステーションが5kmに1回程度しかなかったので、上手く補給を取れずにエネルギー切れ。また、ちょっと頑張り過ぎてしまったこともあり、50kmを過ぎた頃に一度歩いてしまったんです。」
すしマン「ただでさえ暗い中、エネルギー切れでヘロヘロ…。しかもゴールがいつ訪れるのか、そして、後ろからランナーが来ているかすらも分からないわけですもんね。さまざま不安要素があったわけで。」
沖さん「はい、そうです。しかし、先導していただいたレッドブルジャパンの城戸暢(きどみつる)さん が励ましてくださり、それでまた頑張ろうと思いました。」
すしマン「とてもいいお話ですね。」
沖さん「はい。ただしこの大会のルール上、後続ランナーとの差やキャッチャーカーが来る時間などは、レース中に聞いても一切教えて頂けませんでした。そこは、ちょっと辛かったですね(笑)やはり、早く終わらないかなーと。でも、辛い・苦しいことの先にこそ、栄光の67kmのゴールがありました。」
すしマン「そして、初代の日本チャンピオンとなったわけですね!」
沖さん「はい、本当に嬉しかったです。普段からお世話なっている方々や地元の友人など、皆さんに勇姿が見せられたかなと思います。」
すしマン「まさに素晴らしい走りでした。」
沖さん「一度は止まって歩いたのに、また再び走り出せたこと。その影には、いつも私を支えてくださっている皆さんの存在が大きかったです。もちろん今回は、先導の城戸さんからの声掛けにも助けられました。自分は、いつも誰かに支えられているんですよね。この大会を通じて、自分も誰かを元気にさせたいとか、勇気を与えたいなんて思えるようになりました。間違いなく自分の人生において、一番の出来事だったと感じています。そしてこの大会が『脊椎損傷の為の研究に、この大会の参加料を全額提供する』というチャリティー大会であることも、私たちが誰かを支えるという素晴らしい仕組みです。」
沖さんのお気に入りランニングコース
・神戸ハーバーランド〜明石までの海岸線のコース
以前、神戸で働いていたので、このコースをよく走っていました。眺めがよく、気分のいいときはペースを上げて長い距離を走っていたお気に入りコースです。また、阪神大震災からの復興を日々感じられる場所でもあります。ここは、神戸マラソンで走る海岸線のコースです。
※神戸付近のRuntripコースはこちら
・滋賀県・比叡山の横川(よかわ)のトレイルコース
1人でゆっくりトレイルランするときに走る場所です。土の上を走ったり、岩場があったり。猿や鹿もいる自然の中で、のびのびと走っています。
私は山を走るのも好きなので、その他に周辺では兵庫県の六甲山もよく走っています。
※比叡山付近のRuntripコースはこちらから。
沖さんの今後の目標
2015年大会を勝利し、翌年大会の招待権(日本だけでなく、どの国の大会でも可能)を獲得された沖さん。果たして『Wings For Life World Run 2016』では、どの国の大会に出場されるのか。2016年に向けた目標を伺いました。
「レベルの高いオーストリア大会 (2年連続で世界チャンピオンが誕生)も良いのですが、まずは世界を見るためにアジア近郊で考えました。そのうえで、台湾の宜蘭 (YILAN)での大会を選択しようかなと。やはり世界を肌で感じ、そうやって行動を起こすことで、皆さまに勇気や感動を与えられたらいいなって思っています。」
そこで再び優勝できれば、また次の年にはどこかの大会へ出場できます。
「これまでフルマラソン主体で取り組んできましたが、丹後でのウルトラマラソン(100km)へ出場を検討しています。Wings For Life World Runでの活躍は、より多くの距離を走ること。そのため、ウルトラマラソンなど私にとって新しいフィールドで勝負できるようになりたいですね。そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、アスリート支援も行っていきたいです。フィットネス業界のグンゼスポーツという企業に所属しているのですが、仕事で出会うお客さまだけでなく、普段の練習やレースで出会うランナーとの関わりから、自分以外の選手の支援にもより一層力を入れていきます。」
沖和彦 (おき かずひこ)
1986年10月4日生まれ、滋賀県出身。グンゼスポーツ所属。
社会人になってから本格的に走り始め、着々とフルマラソンのタイムを更新。2時間27分台のタイムを持って、2015年3月には地元・滋賀で開催された『びわ湖毎日マラソン』に初出場を果たす。さらに同年には『Wings For Life World Run2015』の日本大会に出場し、初代日本チャンピオンに輝いた。
「人に感謝されること、人を元気にさせること、そしてそのために行動を起こすこと」
をモットーにしている。好きな“すしネタ”は鯖寿司。