女性芸能界最速ランナー西谷綾子。その澄んだ瞳の先に見るもの。

フルマラソンの自己ベストは3時間1分32秒。「芸能界最速ランナー」と輝かしい記録を持つ彼女の名は西谷綾子。容姿端麗で誰からも好かれるであろう明るく穏やかな性格。そんな彼女がランニングを始めたきっかけは、少々、驚きのあるものでした。

なぜ、走り始めたのか

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小学生から9年間バスケットボールに明け暮れたスポーツ少女は、生まれ故郷である鳥取県からモデルになるために二十歳で上京。芸能事務所に所属しました。しかし、初っ端から出鼻をくじかれたという……。

『そんな体型ではモデルには到底なれない』

バスケットで鍛え上げられた筋肉質な身体に対し、非情な一言を受けたのです。

『その時の私には何もなかった』と、振り返る彼女。モデルも女優もタレントにもなれない。毎日1食というストイックなダイエットを実施し、体型は十分すぎるほどスリムになりましたが、逆に健康さを失ってしまい心も荒んでいった。私が戦えるフィールドはどこなのか、誰にも負けない武器は何なのか。悩みに悩んだといいます。そして行き着いたのが、幼少の頃からスポーツに励み培った”スポーツ魂”だった。『自分にとってこれが一番だ』そう思った彼女が初めてランニングに触れたのが、仕事で参加したとあるランニングイベント。まずは健康を取り戻したい。何をするにも健康でなくては何もできない。そう思い、走り始めました。

過度なダイエットで様々な身体の不調を感じていた当初は、「走り始めたことで体質が改善された」とのこと。冷え性やむくみの改善、さらに食事をきちんと摂ることに対する罪悪感が無くなり、自分と痩せることにしか興味がなかった日々から脱却。明るく開放的な生活をおくるようになっていったようです。

そして、根っからのスポーツ魂を内面に潜めていた彼女は、走ることに楽しさを感じていました。イキイキとした表情で走るその姿を目にしたランニングメディアからスカウトされ、表紙モデルを担うことになる。ランニングメディアの表紙を飾るからには走れる身体でありたい。自分を表紙モデルに選んでくれた人たちに恩返しをしたい。そう考え、フルマラソンに出場することを決意。自己流で練習を重ね、初めてのフルマラソンを3時間40分で完走しました。

人生を変えた出会い

その後、素晴らしい出会いがさらに彼女を成長させる。

シドニーオリンピック 女子フルマラソン金メダリストの高橋尚子さんです。もっと速くなりたいと思っていた彼女は、イベントで出会った高橋選手に『3時間半を切りたい』と目標を共有し、出会いから4ヶ月後のターゲットレースに向けてアドバイスを受けるようになります。

そして迎えた目標の舞台、シドニーマラソン。ここは高橋さんがシドニーオリンピックで金メダルを獲得した場所でもあります。

スタートしてから淡々とペースを刻んでいましたが、38km地点で一緒にレースに参加していた高橋尚子さんの姿を見つけます。「ペーサーではなく自分の後ろを走りなさい!」といった高橋さんの言葉に励まされ、ペースを上げて無我夢中で食らいつきました。結果は3時間27分。地獄のような苦しさのラスト5km。そして、ゴールと同時に倒れこむ。辛かったのは間違いないですが、それ以上に、前を走ってくれた高橋さんへの感謝の気持ちが胸に溢れ、「夢のような時間だった」とふり返ります。

国際マラソンの標準タイムを切る領域に踏み込んでいった彼女。モデルも女優も無理。虚無感しか感じられなかった過去が嘘のように、出会いに恵まれ努力を積み重ね、次々とステップを踏んでいきました。

さらにマラソン以外にも特技を得て、「強みの掛け合わせ」をしたいと考えた彼女は、ジュニアアスリートフードマイスターや睡眠改善インストラクターの資格を取得。特に睡眠改善においては真剣に取り組み、自分でも実証実験を行うことで良いアウトプットができるようになり、仕事にも繋がっている。

走っていて楽しい瞬間

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誰しもが目標を達成時には、歓喜に溢れます。

彼女も勿論そう。ですが、最大の喜びは「周囲が喜んでくれること」。長くお世話になっている人、日常的に関わり目標や夢を共有している人。自分のことのように励ましてくれる大切な仲間たちの心からの『おめでとう!』の言葉が何よりの幸せだと語る。

『仕事がうまくいかなかった時、落ち込んでいる時。いつも走っている場所に行き、いつもの仲間に会えば、失敗してもまた頑張ればいいと思える』

利害関係のないギブアンドテイクが、彼女に介在価値を感じさせ、自信となって心に宿っているのでしょう。

ランニングを始めて世界が拓けた

小さな目標の積み重ねであるランニング。例えば、5km走れたこと、歩かずにレースを完走できたことといった喜びがエネルギーになり、次の目標へチャレンジする糧になります。そんな小さな成功体験の積み重ねで、いつの間にか自分に自信がついている。そんな楽しみや心の変化を、ビギナーランナーにはまず感じてほしいと語ります。

かつて上京したばかりの彼女は、東京に行けばモデルになれる、テレビにも出られると目先のことばかりに着眼し、大きな目標だけを定めては猪突猛進を繰り返していました。しかし、マラソンは計画的かつ継続的にトレーニングを積まないと結果は出ません。マラソンを通じて中長期視点で物事を捉えられるようになり、また、目標から逆算した小さな日々の努力がいかに大切かを学びました。

さらに、レース中は自分のリズムで自分の中の目標とだけ対話するため、人と比べることがなくなりました。容姿や才能で比較されがちな彼女の生きる世界。そんな中でもしっかりと軸を持ち、ブレずに生きることができるようになったのです。

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職種や年齢を超えたたくさんの素晴らしい出会いに支えられ、彼女は今を生きている。

ランニングを通して、何をするにも現状把握し、目標にプラスして”自分が納得できる最低ライン”を決め、その最低ラインは必ず達成する。目覚めてまずはそんなことを考え、寝る前に自分をちゃんと褒めてあげる。気持ちの持ち方、心の在り方そのものが変わりました。

次の目標

彼女が目指す先は、フルマラソン3時間切り。決して簡単なことではありませんが、彼女の頭の中は達成することしかありません。

『今年の目標は実力のベースを厚く、そして上げること。ベースが高くなれば、仮に100%の力を出しきれなかったとしても、どんな状況であっても、目標達成ができる』

力強くそう話す彼女の瞳の先に映る世界を、一緒に見てみませんか?

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西谷綾子(Nishitani Ayako)

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オスカープロモーション所属。モデル時代に表紙を飾ったランニング雑誌を通じて本格的にマラソンに打ち込む。2010年の初フルマラソンで3時間40分40秒を記録。以降、毎年自己ベストを更新し現在2016年東京マラソンで、3時間1分32秒(女性芸能人最速記録)東京マラソン女性芸能人部門5連覇中。その他にも、睡眠改善インストラクターとして講演会やセミナーなども行っている。

西谷綾子オフィシャルサイト
http://www.oscarpro.co.jp/talent/ayako_nishitani/index.html

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